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夢の心184
「だから殺される事に感謝しろと君は言いたいのか?」私は言った。
妻が続けた。
「今の民法では不倫に時効はないし、
貴方と愛人から三百万円づつ貰ってから双方に自殺して貰う手もあるわね」
私は小刻みに震えながら言った。
「僕にはそんな金はない」
妻が女性の声をミキシングして愉しそうに言った。
「だから私は貴方方をじわりじわりと苦しめて自殺に追い込むという善良策を講じているのが分からない?」
私は震える心のままに言った。
「だから、殺される事に感謝しろと君は言いたいのか?」
妻が言った。
「そんなの当然でしょう」
私は開き直った。
「そんなのは納得行かない。僕は君に狂わされ、記憶喪失になって、こんな顛末を迎えているのだから納得なんかするわけがないだろう!」
妻が言った。
「ならばじわりじわりと苦しめて自殺に追い込むしかないわね」




