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夢の心182
「趣向を凝らして貴方の前でじわりじわりと愛人を殺すのも面白いわね」と妻がほくそ笑みながら言った。
私は混乱しつつ尋ねた。
「君は君の分身たる愛人が、何処の誰だか知っているのか?」
妻が重複した身体を揺すり嘲笑ってから言った。
「馬鹿な事言わないでよ。貴方の愛人なんかまっぴら赤の他人だからなぶり殺すのよ」
その刹那私の脳裡に妻の白い闇の悪魔が入り込み、矛盾して私の眼差しの先で私の心が自我崩壊をぞくりと開始した。
私は焦りつつ尋ねた。
「だから君は愛人の居どころを知っているのか?」
妻が答えた。
「知っているに決まっているじゃない」
私は手に脂汗を滲ませながら尋ねた。
「どうやって殺すつもりなのだ?」
妻がほくそ笑み答えた。
「趣向を凝らして貴方の前でじわりじわりと殺すのも面白いわね」




