夢の心178
「それで貴方は自分の罪が償えたと思っているの?!」と妻としての女性が怒鳴った。
白い闇の悪魔の縛りが消失した分、又ぞろ怒りがヒートアップして来たのを感じて私は固唾を飲み身構えた。
妻が続ける。
「貴方は家庭を省みず、他の女に走り、その結果家庭を崩壊させたのよ。その罪は万死に値するわ!」
僕は息を調え怒りを抑えて応戦する。
「僕は実際問題何も覚えていないのだから、罪を償う必要もないし、第一この家庭は崩壊などしていないではないか?」
妻が私を血走った目で睨み付けて言った。
「一家離散になるのを私の実家が援助してくれて今があるのでしょう、そんなのも分からないの?」
私は自己内部虚空を凝視して、心が夢幻崩壊していないのを確かめてから、冷静に言った。
「僕は君のせいで何も覚えていないし、この家庭は崩壊していないのだから、それでいいじゃないか?」
妻が目を見開き怒った。
「何故私のせいにするの?!」
私は即座に頭を下げて謝罪してから言った。
「すまない、失言だった、でも家庭は崩壊していないのだから、それでいいじゃないか?」
妻としての女性が怒りを顕にして怒鳴った。
「それで貴方は自分の冒した罪が償えたと思っているわけなの?!」




