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夢の心173
「僕は誰と不倫していたのだ?」と私は妻に尋ねた。
次の瞬間私の心の花吹雪は止み、跡形もなく消え失せ、座っている妻がきょとんとした目で私を見やり言った。
「どうしたの?」
私は身震いして、青ざめた面持ちで言った。
「僕は浮気をしたのか?」
妻が訝り言った。
「何故それを知っているの?」
私は妻を詰るように言った。
「君が今僕の心を自我崩壊さながらはっきりと言ったじゃないか?!」
「狂った事言わないでよ、私は何も言っていないわ。でも貴方浮気をしていたのを思い出したの?」
私はかぶりを振り答えた。
「いや、思い出していない」
妻が私を睨み付けて言った。
「子供達から聞き出したの?」
私は咄嗟に嘘をついた。
「そうだ、子供達から聞き出したのだけれども、その話しは本当なのか?」
着が再度般若の如く面相をして私を睨み付け言った。
「それは本当よ。だから私は貴方を殺したい程憎んでいるのよ」
私は嘆息してから尋ねた。
「僕は誰と不倫していたのだ?」
妻が夢の迷路の女性の声で言った。
「貴方の夢に出て来る女よ」




