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夢の迷路  作者: 岩本翔
173/437

夢の心173

「僕は誰と不倫していたのだ?」と私は妻に尋ねた。

次の瞬間私の心の花吹雪は止み、跡形もなく消え失せ、座っている妻がきょとんとした目で私を見やり言った。


「どうしたの?」


私は身震いして、青ざめた面持ちで言った。


「僕は浮気をしたのか?」


妻が訝り言った。


「何故それを知っているの?」


私は妻を詰るように言った。


「君が今僕の心を自我崩壊さながらはっきりと言ったじゃないか?!」


「狂った事言わないでよ、私は何も言っていないわ。でも貴方浮気をしていたのを思い出したの?」


私はかぶりを振り答えた。


「いや、思い出していない」


妻が私を睨み付けて言った。


「子供達から聞き出したの?」


私は咄嗟に嘘をついた。


「そうだ、子供達から聞き出したのだけれども、その話しは本当なのか?」


着が再度般若の如く面相をして私を睨み付け言った。


「それは本当よ。だから私は貴方を殺したい程憎んでいるのよ」


私は嘆息してから尋ねた。


「僕は誰と不倫していたのだ?」


妻が夢の迷路の女性の声で言った。


「貴方の夢に出て来る女よ」





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