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夢の心170
「これはパバと君達の秘密なのだから、ママには内緒にしてね」と私は子供達に向かって言った。
私は苦笑いを浮かべたまま子供達に尋ねた。
「パバが倒れる前、パバはどんなパバだった?」
下の子が答えた。
「優しかったよ」
私は上の子に尋ねた。
「本当にパバは優しかったの?」
上の子が瞬きをしきりにしてから言った。
「優しかったよ」
私は内心妻の言葉を思い浮かべ、子供達は偽善者を演じ嘘をついていると感じた。
下の子がそんな私を凝視して言った。
「パバ、何故そんな事を訊くの?」
私はゆっくりと息を吐き出してから答えた。
「何となくね、ママには言っちゃ駄目だよ」
上の子が言った。
「何故ママに言っちゃ駄目なの?」
私は答えた。
「これはパバと君達の秘密なのだから、ママには言っちゃいけないのさ」
下の子が無邪気に答えた。
「分かったよ」
私はこのやり取りが妻に伝わり、何かしらの糸口が掴めるのではないかと期待した。




