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夢の心169
私は失った過去の記憶を取り戻すしか突破口はないと考えた。
自宅のベッドに横たわり、私は思索を続行する。
夢の迷路に入り込んで失ったものは過去の記憶だ。
その記憶喪失が夢の迷路自体をより不条理で理不尽なものにしている。
そう思い、私はとある猜疑心にとらわれた。
妻としての女性は私を白い闇の悪夢に誘い、狂わせ、過去の記憶を根こそぎ奪ったのだ。
ならば。
私は失った過去の記憶を取り戻すしか突破口はないと考えた。
そんな思索を巡らせていると、ドアがノックされ、子供達が入って来た。
「パバ、元気になったんだ?」
私は苦笑いしてから答えた。
「ああ、何とか元気になったよ」
「良かっね、パバ」
私は再度苦笑いを浮かべた後、子供達を突破口にして過去の記憶を取り戻せはしまいかと、思いを巡らせた。




