165/437
夢の心165
妻がしたたかに微笑み言った。
私は言った。
「嘘なんかついていないよ。第一僕は家族有っての僕だし」
妻が般若の如く冷笑してから言った。
「貴方は家族を失えば、天涯孤独ホームレスに落ちぶれるのだから、その言葉はエゴ丸出し保身の言葉よね?」
私は弁解する為にひたすら嘘を重ねた。
「確かにそうだけれども、家族は一緒にいれば情が移るじゃないか。だから僕は君らを愛し始めているのさ」
妻がしたたかに微笑み言った。
「私が貴方を追い出さないのは、貴方を追い出したら、貴方が破滅するのを見れなくなるからよ」
私は自虐的に一声笑い言った。
「頼むから、酷い事言わないでくれないか?」
妻が言った。
「私は酷い事なんか言っていないわ。事実を的確に言っているだけよ」




