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夢の迷路  作者: 岩本翔
163/437

夢の心163

「家族なんかもうとっくに崩壊しているわよ。私はただ貴方が破滅するのを楽しみながら待っているだけなのよ」と妻が冷笑してから言った。

ここは夢の迷路に違いないと私は内心思いつつ言った。


「酷い事言うなよ、ならば訊ねるけれど、どうして君は僕を追い出さないのだ?」


妻が代わる代わる女性の声に声変わりしつつ答えた。


「世間体よ、体裁に決まっているじゃない」


私はすかさず言った。


「世間体を取り繕って家族崩壊じゃ、洒落にもならないじゃないか?」


妻が答えた。


「家族なんかもうとっくに崩壊しているわ。私はただ貴方が破滅するのを楽しみながら待っているだけなのよ」


私は言った。


「僕が黒い闇の快楽になることは破滅することではないだろう?」


妻が冷笑して言った。


「貴方は黒い闇の快楽になんかなれないわ。白い闇の自我崩壊がお似合いなのよ」

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