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夢の心147
唐突に遠近法が失せ私は焦った。
唐突に遠近感が失せ、私は焦った。
近くの物が遠ざかって行き、逆に遠くの物が近付いて来る。
私は戸惑い女性に訊ねた。
「何だ、これは、目がおかしくなっちまったのか?」
女性が答えた。
「いえ、実際に夢の物質が遠近法を欠いたのです」
私は反論した。
「心が作り出す夢には物質はないだろう?」
女性が肯定した。
「そうですね」
その直後遠くにある民家の表札が私の眼球に迫り、衝突して貫通して行った。
だが私の眼球は不条理にも破壊はされていないのを感じた刹那、眼球に激しい痛みが走り、私の眼球は表札になり、壁に張り付いたのを、私の眼球は矛盾して遠くから見つめている。
そしてその眼球に再度激痛が走り、私は絶叫を上げた。




