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夢の心145
私は心の中でこの女は敵だなと再認識してから、何食わぬ顔をして訊ねた。
再度嘆息してから私は訊ねた。
「僕はどうすればいいのだ?」
女性が即答した。
「道に迷ったのですから、正当な道順を辿って家を探し出すしかありません」
私は答えた。
「そうだな。ならば来た道を引き返すしかないのか?」
女性が答えた。
「そうです」
女性の答えを聞き私はせせら笑い言った。
「一度来た道を引き返すのは、この理不尽な世界では出来ないのではないのか?」
女性が慌てて言い直した。
「そうですね。それは無理な話しでした。すいません」
私は心の中で、この女は敵だと再認識してから、何食わぬ顔をして言った。
「もう一度迷路に戻って迷えばいいのだな?」
女性が答えた。
「そうです」




