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夢の心141
「その通りだ」と私は女性に向かって言った。
間を置き私はうそぶくように言った。
「分かったぞ┅」
女性が訊ねて来た。
「何が分かったのですか?」
私は答えた。
「この不条理で矛盾だらけの欺瞞しかない世界で自分の心が信じられないのならば、逆に自分の心に嘘をつき続ければ、僕は黒い闇の快楽になれるのだというのが分かったのさ」
女性が反論した。
「それは逆だと私は思います。心に嘘をつき続ければ、目的は叶わないと思います」
私は言下に言って退けた。
「僕は貴女も信じられないからこそ、逆に自分に嘘をつき、貴女を信じて家に向かっているのさ」
女性が言った。
「それが貴方は、不条理で矛盾した欺瞞だらけの、この夢の迷路の捻れた信頼関係だと言いたいのですか?」
私は頷き答えた。
「その通りだ」




