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夢の心14
苦しむのは嫌だと私は言った。
私は尋ねた。
「本来的な僕の心が桃の花の心に変換して貴女への愛が失せたのならば、それが元に戻るのは自然な現象なのではないのか?」
女性が反論した。
「いえ再三言いますが、ここは夢の中ですから、現実の理屈は通用しないのです」
私は顔をしかめてから言った。
「でも不条理だからこそ、逆に転ぶ可能性もあるのではないのか?」
「それは、ありますね」
私は再度顔をしかめて言った。
「その可能性を手繰り寄せる為には僕が苦しむ必要があるのだな?」
女性が肯定した。
「そうですね。今までの流れに沿えばそうなりますね」
私はため息をつき言った。
「でも苦しむのは僕じゃないか?」
間を置き女性が言った。
「苦しむのは嫌ですか?」
私は言った。
「そんなのは当然だろう」
女性が冷静な口調で言った。
「でも道はそれしかないのですから、仕方ありません」




