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夢の心137
「君は妻のか、夢の迷路にいた女性なのか、どちらなのだ?」と私は女性に訊ねた。
私は訊ねた。
「僕は何処を目指せばいいのだ?」
女性が言った。
「桃の花の心たる家を目指して下さい」
私は訝った。
「家にはいたではないか。そこには妻も子供もいて、僕は家族愛に目覚めつつあったではないか?」
女性が言った。
「いえ、貴方は演技をしていたに過ぎません。夢の迷路では後戻りは出来ず、とにかく先に進むしかないのです」
私は再度訝り訊ねた。
「ならば訊ねるが、君は妻なのか、夢の迷路にいた女性なのか、どちらなのだ?」
女性が答えた。
「どちらでもあり、どちらでもないのです。とにかく貴方が目指す夢の迷路の突破口を開くには、ひたすら前に進むしか手立てはないのです」




