136/437
夢の心136
「妻がいる世界は現実なのか夢なのか、どちらなのだ?」と私は夢の迷路の女性に訊ねた。
トイレに入ると私は眩い光に包まれ、目が眩み蹲って目を塞いだ。
徐々に眩しくなくなって来たので、私が目を開くと、そこには見慣れた家路が拓けており、私は驚き引き返そうとすると、夢の迷路の女性が諌めた。
「駄目です。先に進んで下さい」
私は息を吐き出してから訊ねた。
「ここは夢の迷路なのか?」
姿なき女性が答えた。
「そうです」
私は首を振り訊ねた。
「いや、違う。妻がいる世界は現実なのか夢なのか、どちらなのだ?」
間を置き女性が答えた。
「夢でもあり現実でもある夢の迷路なのです」




