夢の心129
「いえ、自我崩壊しているのに、同時に自我崩壊していないのです。それが夢の迷路の矛盾不条理法則なのです」と妻もどきの女性は言った。
私は砕け散リ、自我崩壊して無に帰した己の心の破片をじっと見つめながら、矛盾して落ち着いた口調で言った。
「だが僕の自我は崩壊などしていないし、こうして客観的に自分の自我崩壊した心を見れるではないか?」
妻もどきの女性が答えた。
「夢の迷路は自我崩壊しても自我崩壊しない夢幻空間なのです」
私は主張した。
「ならば、僕の心は夢の迷路にいる限り自我崩壊しないのだな」
妻もどきの女性が答えた。
「いえ、貴方の心が愛に目覚めないと貴方の心は白い闇の目に成り、自我崩壊するのです」
私は嘲笑い言った。
「だが僕の心は一向に愛に目覚めないのに、この通り自我崩壊しないではないか?」
妻もどきの女性が答えた。
「いえ、自我崩壊しているのに、同時に自我崩壊していないのです。それが夢の迷路の矛盾不条理法則なのです」
私は言った。
「自我崩壊しているのに、自我崩壊していないのならば、僕の心が自我崩壊していない矛盾不条理真理が真実であり、自我崩壊していないのが自我崩壊なのだな」




