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夢の迷路  作者: 岩本翔
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夢の心12

他者への愛に目覚めて、安息の地に赴くのが貴方の宿命なのです」と女性は言った。

私は女性の言葉を忌み嫌うように言った。

「桃の花の心にも宿命があるのか?」

女性が答えた。

「勿論あります」

私は反論した。

「失なわれた僕の心にも宿命はあったのだろう?」

女性が否定した。

「いえ、貴方の魄の部位は最初から桃の花の心でしたから、貴方の失なわれた心というのはないのです」

私は訝った。

「でも僕の心は桃の花の心になったのに相変わらず貴女を助けようとはしていないじゃないか?」

女性がいみじくも言った。

「いえ、貴方の桃の花の心はやがて他者への愛に目覚めて、安息の地に赴く宿命なのです」

私は怪訝な顔付きをしてから言った。

「他者への愛というのは貴女への愛に目覚めるということか?」

「そうです」

「その為に僕は苦しまなければならないのか?」

女性が答えた。

「そうです。それが貴方の宿命なのです」


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