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夢の心114
「ここは現実世界なのか?」
「いや、夢の迷路だ」
と私は自問自答を繰り返す。
何とか事なきを得て、私は帰宅して、自室にこもり自問自答を繰り返す。
「ここはやはり現実世界なのか?」
「いや、両親の囁き声があんなに明瞭に聞こえるわけがないではないか」
「ならばここはやはり夢の迷路ということか?」
「そうだ、現実世界では聞こえる筈がない囁き声が、あんなに明瞭に聞こえる筈はないからな」
「だが、あれはもしかすると幻聴かもしれないではないか?」
「お前は自分が狂っているのを認めるのか?」
「認めない、俺はまともだ」
「ならばここは夢の迷路に間違いはないではないか?」
「そうだな。夢の迷路に間違いないだろう」




