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夢の心101
「いや、快楽が持続する世界と、自我が崩壊する世界とでは全く違うじゃないか」と私は言った。
私は言った。
「いや、その勇気は今の僕にはないのさ」
妻が頓狂な声を出した後言った。
「貴方は一度は自殺した人じゃない。何故その勇気がないの?」
私は答えた。
「いや、死ぬのはいいのだが、僕が行きたい死の世界は黒い闇の快楽が持続する世界であって、自我崩壊する白い闇の世界ではないからな」
妻がせせら笑い言った。
「どちらも今の貴方にはお似合いだと私は思うけれども?」
私は言った。
「いや、自我崩壊する世界と、快楽が持続する世界とでは全く違うじゃないか」
妻が冷淡に言った。
「心の無い貴方にはどちらもお似合いよ」




