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夢の迷路  作者: 岩本翔
101/437

夢の心101

「いや、快楽が持続する世界と、自我が崩壊する世界とでは全く違うじゃないか」と私は言った。

私は言った。


「いや、その勇気は今の僕にはないのさ」


妻が頓狂な声を出した後言った。


「貴方は一度は自殺した人じゃない。何故その勇気がないの?」


私は答えた。


「いや、死ぬのはいいのだが、僕が行きたい死の世界は黒い闇の快楽が持続する世界であって、自我崩壊する白い闇の世界ではないからな」


妻がせせら笑い言った。


「どちらも今の貴方にはお似合いだと私は思うけれども?」


私は言った。


「いや、自我崩壊する世界と、快楽が持続する世界とでは全く違うじゃないか」


妻が冷淡に言った。


「心の無い貴方にはどちらもお似合いよ」

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