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夢の心100
「再度言うけど、本当に死ぬかどうか試してみたら?」と妻は冷ややかに言った。
私は脂汗を再び拭い言った。
「ここが夢の迷路だとして、僕が例えば自殺したとしても、夢の迷路には生死の概念は無いから、訪れる死は死ではなく、白い闇の恐怖も死の恐怖ではないわけか┅」
妻が冷ややかな目付きをして私を見やり言った。
「逆の場合も当然有り得るじゃない。逆の場合は貴方が自殺すれば、その自我崩壊する白い闇は本当の死で、貴方はその住人になれるのでしょう?」
私は首を振り言った。
「僕が望んでいるのは黒い闇の快楽になることなんだ。あんな世界真っ平御免さ」
パジャマ姿の妻が椅子に腰掛けてから、腕を組み冷やかすように言った。
「だったら再度言うけど、本当に死ぬかどうか、自殺して試してみればいいのよ。と言うか、狂っている貴方には生死の見境がつかないかもしれないけれども、試してみたら?」




