昼間と太陽
夜街と夜星、とつながっています。
車の叫び声。住宅街の静けさ。この二つの間の道に、歩く音が鳴り響く。
さっきまでの、怒鳴り散らす会社の上司の声が、まだ鼓膜の中に残っていて、
それを隠すように、慌ててイヤホンをした。
(クソッ)それを発する為に、自分の口が動いていたことを言った後に気づき、
それを飲み込むように、さっき買った瓶の酒を飲む。目の前のようで違う夕日が、
自分を焼き尽くすのではないかと思うほど近かった。
酒の制か?そんな事を思いながら家に帰る。玄関を開けると
(ねぇ、どうだった?どうだったの!)と嬉しそうに聞く妻が居た。
どうだった?どうだったって……
(違うだろ!何故分からない!!)まだ鼓膜に残った声が聞こえる。
俺だって精一杯やったろ!分かってないのはお前だ!何も知らないで偉そうに…
お前に何が分かる!!
(ねぇってば…)
(うるさい!!)その直後に自分の右手に強い衝撃が伝わったのを感じた。
その後、パリーンという音が下から聞こえた。
(うっ!)妻が俺を見上げながら、恐怖と驚愕の入り交じったような顔をしていた。
自分はどんな顔をしているだろうかと、靴箱の鏡で見た。そこにあったのは、とてつもない
【恐怖】だった。急いで車に乗り出す。玄関には、妻と瓶が割れてこぼれた飲みかけの酒があった。
さっきまでの太陽は、夜空の暗闇に押さえ込まれるようにして、
山に沈みかけていた。
時計の針が少し回った頃、男は自分が飲酒運転をしていることに気づいた。
すると急に妻の事が心配にっていた。そういえばこのパフェ屋さんも
妻と来ていたなぁ、と思い出し外を見ていた。
なんとなく窓を開けてみる。
あっ、と思い出したように顔を前に向き直す。すると
目の前に一つのマフラーが飛んでいた。
(あっ)それが本当に自分の発した声かは、分からなかった。