第1話 ~一回人生振り返ってみようか?~
なるべくハイテンポで行こうと思っています。
シリアス系にはならないと思うのでよろしくお願いします。
とある学校のとある昼休み、昼休みということもあり、太陽は空の頂点まで上ってサンサンと紫外線を撒き散らしている。
季節は冬。
冬ということもあり、天気は快晴。 雲1つ見えない。
空は青く澄み渡り、まるで天然水の中に、水色の絵の具を混ぜ、それを空にぶちまけたようだ。
「……うん、我ながら下手な例えだ」
それになんだよ、なんで冬だからって快晴になるんだよ。
意味分かんない……
まぁいいや。 僕は今それどころじゃないんだ。 なんたってこれから人生で一回しか味わうことが出来ないスーパーバンジーをするんだからね!!
……ん? 僕が誰でどこにいるかだって?
名前は……まぁいいや、どうせまた分かるだろうし。
えっと、どこにいるのかって言われても……そんなの、とある学校のとある屋上に決まってるじゃん。
まったく、これだからゆとり世代は……あ、僕もゆとりだった。
「まぁ、ゆとりって言っても、途中からゆとり教育じゃなくなったんだけどね」
僕はそんなどうでもいいことを呟きながら、右手に筆ペン、左手には白い封筒を持つ。
よしっと小さく気合いを入れ、筆ペンの先を、その白く滑らかな表面へ走らせる。
「……うんッ、我ながら結構綺麗に書けたんじゃないかな!」
僕が書いた文字、それはこの世に絶望し、この世を恨んだ人が最後に書き残す言葉。
つまりは『遺書』の二文字である。
「まさか、この文字を実際に書くときが来るなんてなぁ」
でも仕方ない。
僕はあいつらを許せない、いや、絶対に許さない。
なんと言おうとも、どれだけ謝罪されようとも、いくらお金を貰おうとも、僕は許さない。
ま、謝罪なんてしないだろうけどね、あいつ等が……
僕は今し方完成させた遺書を脇に挟み、足元にあるカバンの中から数冊のノートを取り出す。
これは僕の日記だ。
高校入学から、卒業式前日である昨日までの出来事がキッチリと記されている。
ちなみに、1日たりとも欠かさず書いている。 今日で恐らく最後の書き込みになるだろう……あ、さっき言ったことで分かるだろうけど、今頃他の皆は体育館で卒業式やってます。 体調不良と言って卒業式を休みながらも、学校の屋上へ来てる僕、キャーッ素敵! 抱いて!
「…………さて、人生最後の日記ぐらい筆ペンでカッコ良く決めようか」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー[No.1~一年生編~]ーー
20XX年 3月31日
明日から高校生!
友達たくさん作れるかな?
中学まであまり友達がいなかったけど、高校からは勇気を出して積極的にガンガン行くぞぉー!
よしっ、今日は明日のために早寝しよう!
それじゃ、お休みなさい。
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20XX年 4月1日
今日は入学式と、その後あった”クラスメート顔合わせ会”に参加しました。
やっぱりどこの学校でも、校長先生の話って長いんだね。
あ、そうそう、顔合わせ会のときも凄かったなぁ。
同じクラスの人でね、とってもイケメンな人がいたんだ!
確か名前は……『城山宗呀』君だったかな?
顔面偏差値85ってところ?
もうね、城山君が教室に入った瞬間、ほとんどの女の子が城山君のそばに行っちゃったんだよ。
あーあ、僕もあんな魅力的な人になりたいなぁ。
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20XX年 5月1日
入学から1ヶ月が経ちました。
やっぱり友達作れなかったぁ……。
今更頑張っても、もうグループが出来上がってるし、諦めようかなぁ。
って、
思っていたら、な・ん・と!
あの城山君が、僕を城山君のグループに入れてくれるだってさ!
あの城山君のだよ!?
一年生の中でダントツ一番人気な城山君のだよ!
これ以上嬉しいことはないよ!
あぁ、やっぱり城山君っていい人だよなぁ……。
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20XX年 5月8日
城山君達と話すようになってから一週間が経ちました。 だいたいグループの人達のことが分かってきたかな。
城山君のグループは大体4人で構成されている。 ……あ、僕は除いて4人だからね。
男の子2人と女の子2人で、男の子の方は城山君と、あと瀬崎君っていう人です。
『瀬崎豊』君。 城山君や他の人達は彼をユタカって呼んでいる。
スポーツが好きで高身長、そしてガタイが良い。 でも少しチャラいかな。
顔面偏差値は結構良いぐらいの72。
女の子の方は『九条麗奈』さんと『清水凉』さんの2人で、九条さんはレイナ。 清水さんはリョウって呼ばれている。
九条さんは、あの”九条コーポレーション”の社長令嬢で、大金持ちだ。
長い髪を茶色に染め、制服を綺麗に着崩している。 あと彼女は城山君に惚れている……と思います。
顔面偏差値は瀬崎君と同じで72。
最後に清水さんについてです。
髪は黒で、肩のあたりで切りそろえている。 ちなみに、身長が低い。 150cm無いんじゃないかなぁ。 常に無口無表情で、あまり話したことがない。
聞くところによると城山君と幼なじみらしい。
顔面偏差値は脅威の82。
以上3人が、よく城山君と一緒にいる。
それで、そこに僕が入ったわけ!
明日も楽しみだなぁ。
……あ、そういえばね、今日は城山達に弁当買ってきてってお願いされたんだよ。 清水さんだけは、家で作った弁当があるからいいだってさ。
どうやら3人ともお小遣いがなくなってしまったらしく、来月までお金を貸して欲しいだってさ。
まぁ、城山君達ならちゃんと返してくれるだろうから安心だけどね!!
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20XX年 6月1日
6月になりました。
今日は城山君に殴られた……
なんで殴られたのか分からないけど、僕何か悪いことしちゃったかな?
……もしかして、お弁当のお金を返して欲しいって言ったからかな?
明日理由を聞いてみよう。
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20XX年 6月2日
城山君にお弁当のお金について聞いてみたら、また殴られた。 今回は瀬崎君と九条さんにも殴られた。
結構痛かった。
もうお弁当のお金について聞くのは止めよう。 そうすれば、もう殴られることもないよね?
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20XX年 6月3日
今日はお金のこと聞いてないのに、また殴られた。
どうして殴るのって聞いてみたら、面白いからって言われた。
本当に痛かった。
清水さんだけが僕を殴ることをせず、少し離れた所から、僕達を眺めていた。 相変わらずの無表情だったから、彼女が何を思っていたのかは、さっぱり分からなかった。
城山君がそんな清水さんに気付いて、”リョウも一緒にどうだ?”って聞いていた。
清水さんは何も言わずに何処かへ行ってしまった。
城山君の殴る力が増した気がした。
痛い。辛い。
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20XX年 6月4日
今日も殴られた。
痛い。辛い。苦しい。
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20XX年 6月5日
また殴られた
痛い。辛い。苦しい。痛い……
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20XX年 7月23日
さすがの僕でも、自分がイジメられていることを自覚し始めた。
体中が痣だらけで痛い。
痛い。辛い。苦しい。痛い。辛い。苦しい……
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20XX年 9月4日
今日はあまり殴られなかった。
だけど、教室で裸にされた。
パンツも脱がされた。
”女みたいな顔してるから本当に男か確かめてやる”だってさ。
ハハッ、笑っちゃうよね。
僕の裸見て一体誰得ですかーってね。
痛い。辛い。苦しい。痛い。辛い。苦しい、苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい…………”憎い”憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎イニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイにくいニクイにくいニクイニクイくいくいくいくいくい………………………………ーー
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それ以上は文字が殴り書き過ぎて良く読み取れなかった。
「きったない字だなぁ、もっとちゃんと書けよ~僕ぅ」
そう呟くと僕はNo.1の日記を閉じ、”No.3~3年生編~”と書かれた日記を取り出す。
……ん?No.2は読まないのかって?
だってNo.2って、No.1とほとんど同じこと書いているんだよ。
面白くなるのはNo.3からなんだから、面白い物を、早く読みたくなるのは当然のことでしょ?
そして、僕は”No.3~三年生編~”を開いた。
次回投稿一週間後
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