三日目2:バランス
「んん~。『霊能者』2カミングアウト? これは霊能ローラーの気配ですかな」
伊集院が主張した。
「『霊能者』は『占い師』ほど重要度の高い役職ではありませんからなー。二人出るなら『本物はごめん』で、偽者もろとも処刑でかまわない役職なんですぞ。ここはセオリーどおりに」
「待ってくださぁい! それだと処刑回数がたりなくなっちゃいますよぉ! 今四吊り四人外なんですからロラはダメでぇす!」
九頭龍が珍しく声を張り上げてその主張を否定する。
「えーと。これどういうことなんだよ。『占い師』にも偽者、『霊能者』にも偽者ってか?」
多聞が困惑したように言った。
「こんだけあっちこっちに『偽者』が出て来んならさ、今出てる役職者全部処刑したらごっそり『敵』が減るんじゃね? とか思うんだけど」
「まじめに考えてるー?」
化野はぼけーっとした声で
「処刑の回数って限りあるよねー。具体的にゆーと、あと四回。『占い師』『霊能者』全部殺すってことはー、それ全部消費しちゃうって分かってるー?」
「う……。分かってるよ。言ってみただけだっつの」
多聞はぶつくさと気まずそうにそう言った。
「れ、霊能ローラーも同じようにありえません。昨日は戸塚くんで一人『シロ』を処刑してしまっているんですから、現在『敵』は四人残りの処刑回数四回。本物『霊能者』を巻き込む『ローラー』はやっちゃいけないんですよぉ……」
そういわれ、伊集院は「ふむむん」と腕を組んで見せて、少し小さい声で
「た、確かに霊ロラは違いましたな。戸塚殿が『人狼』ならロラでも処刑は足りますが、そもそも戸塚殿を『人狼』で見るなら九頭龍殿だけを処刑すればよい話ですし……」
それを受けて、嘉藤は「あはは」と小さく笑ってから
「まあ。乱暴に『全部殺しちゃえ』なんてのが通用するほど、甘いゲームじゃないってことだね。とにかく、まずは今ある状況をまとめてみようか。きっちり情報処理を行えば、今するべきことがなんなのかも、きっと見えてくると思うよ」
そうおだやかに言って、嘉藤は昨日のメモ帳を取り出して、今日の分の情報を書き足してみせる。
☆占い師
前園:戸塚●→鵜久森○
忌野:赤錆○ →多聞○
☆霊能者
九頭龍:戸塚○
化野:戸塚●
処刑:戸塚
襲撃:桑名→赤錆
「まず一つ判明しているのは、九頭龍さんと前園さんのどちらかは敵陣営ということだよね。意見が明確に食い違っているんだから」
嘉藤は言う。前園視点では『霊能者』は化野しかありえないし、九頭龍視点では『占い師』は忌野しかありえない。
「ああ。素直な見方をすると、この時点で、『占い師』-『霊能者』の組み合わせはおおよそ二通り考えられるな」
マコトは言った。
「前園視点では当然、『本物』霊能者がありえるのは化野のみ。
忌野の視点から見ても、処刑した戸塚に対して、対抗の前園と同じ結果を出している化野が『本物』というのは薄い。そのことから考えると、忌野視点では九頭龍が本物に近い立場にいるということになる」
「ってことは……オレたちがするべきことは、『忌野』―『九頭龍』ラインと『前園』―『化野』ラインのどっちが『本物ライン』かを見極めること……ってことか。『偽ライン』と思わしき方を処刑できれば、敵が二人潰せて勝利に大きく近づくと」
多聞が言った。九頭龍がそこで説得するように言う。
「と、とにかく今日は化野さん処刑ですからね。あたしをいきなり信用してもらうのは無理だと思うんですけど、化野さん処刑なら全視点処刑回数足りますし、問題ないはずです」
「どういうことだ?」
マコトが尋ねる。九頭龍は必死な口調で
「だってぇ、昨日は戸塚さんっていう前園さん視点での『敵』を処刑しちゃったじゃないですかぁ? それなら、今日化野さんという忌野さん視点での『敵』を処刑してもらわないと吊り数が……。フラットな視点でもそれが一番バランスの取れた処刑先ですし……」
「は? なに、バランスって。そういう問題?」
鵜久森が突っかかるようにいった。嘉藤は「そういう問題だよ。僕らにとってはね」といって指先をこめかみに持っていく。こいつの癖のようなものだろう。
「今日二人いる『占い師』を決め打つのでもなければ、村人陣営としては当然『どちらが本物でもかまわない処刑先』を選択するべきだよね。だったら、戸塚くんで『人狼』を一人処分できていて処刑回数に余裕のある『前園』―『化野』ラインより、まだ『シロ』しか処刑できていない『忌野』―『九頭龍』ラインの『敵』を処刑するのが、『バランス』の取れたやり方って訳。
そして、そうなると前園さんか化野さんのいずれかのうち、より重要度の低い『霊能者』の化野さんが今日の処刑先として的確……と九頭龍さんは説得してるんじゃないかな?」
「……私、別に前園とだけラインつながってるわけじゃないだけどー。いちよー忌野が本物でもおかしくない立場だよねー」
化野が感情のない声で言う。忌野が「そうかもしれないけれど」といって
「私からすると、前園さんが出した『戸塚クロ』と、辻褄を合わせに来たようにしか思えないのよ。あなたと私が両方とも『本物』だとすると、『敵』の前園さんが『人狼』で『敵』の戸塚くんにわざわざ『クロ』を出したってことだもん。おまけに、前園さんと美冬ちゃんが敵同士で主張を食い違わせてるってことにもなる。私は美冬ちゃんを信じたい」
「ふーん。まあそれはわかるんだけどー。……なーんか納得いかない。なんで本物の私が『処刑』されんの?」
化野は気だるげにそう言った。しかし九頭龍が
「で、でもぉ。化野さんが本物なら、誰が本物占い師であろうとも、戸塚さんで一人『人狼』が処刑されてる訳じゃないですか? 化野さん視点処刑余裕が一つあって、その一回を自分自身で消費することを拒む必要はないじゃないですか……」
「いや……なんで化野と敵対してるおまえが、化野が本物の場合の話をするんだよ?」
多聞が突っ込んだ。九頭龍は真剣な表情で
「ご、ごめんなさいぃ。で、でも……、今日は絶対前園さんか化野さんで『敵』を処分しなくちゃ間に合わないんですぅ。だけど、いきなりあたしなんか信用してもらえるとは思えませんし……。だったら客観的に説得するしかないじゃないですかぁ」
根拠なくただ感情的に『自分を信じろ』と訴えることを、九頭龍はしない。そんなことをしても誰も味方になってくれないと、このいじめられっこは刷り込まれている。だから村の勝利のために主張を通すためには『理屈』を使う。悲しい姿だったが、これが彼女の戦い方なのだろう。
「うーん……九頭龍さんの意見自体はかなり合理的だよ。九頭龍さんの言い分は、彼女の真偽に関わらずリスクがないんだから」
嘉藤は言った。
「ま。今日化野さんを処刑することは……『今のところ君は死んでも問題ないから君に死んでもらう』っていう意味でもあるんだけどね。実際のところ、ただの『保留』にも近い」
そう言って肩をすくめる。
「ほ、保留でもなんでもいいですからぁ……。と、とにかく今日は化野さんを処刑する日です。……お願いしましたからね!」
九頭龍が両拳を握り締めてそう主張した。化野は退屈そうに
「必死だねー、何が何でも私を殺したいんだー。偽者風情が……。で、あんたらはどうするの?」
「君から特に反論がないなら九頭龍さんの意見の正当性を認めたいんだけど。君からはなにかある?」
嘉藤はけだるげな声で言った。化野はぷいと視線を逸らす。そこで前園が落ち着いた様子で発言した。
「九頭龍さんは『本物』のわたしとラインを割りに来ただけでしょう。対抗の化野さんへの誘導が激しく生存意欲が高いですから、ひょっとしたら残る一匹の『人狼』なのかもしれませんね。ふふ、『ラストウルフ』という奴です。下手に処刑したら『妖狐』に勝たれる危険性もあるかもしれません」
「そういや、前園の視点だと他の『占い師』や『霊能者』候補の内訳はどうなってるの?」
鵜久森にたずねられ、前園は口元に手をかけながら
「わたし視点だとかなり敵陣営が露呈していますからね。誰が誰だか……。
『人狼』『妖狐』『狂人』が一人ずつ生存している中から、忌野さんと九頭龍さんの二人が出てきているということになります。『妖狐』が『霊能者』に出るとは考えづらいので、九頭龍さんは『人狼』『狂人』。忌野さんは結構なんでもありですが、初っ端で仲間に『クロ』を出された『人狼』がその日に『占い師』で露呈していくのは勇気がいるかな、と考えると、非狼っぽくはありますね」
ようするにまだほとんど分からないということになってはしまう。まとめると、こんな風になるはずだ。
前園視点
占い師:前園
霊能者:化野
人狼:戸塚+?
敵陣営:忌野、九頭龍
グレー:夢咲、嘉藤、伊集院、多聞
「これだけ『敵』が露呈しているなら、嘘をついて村を混乱させることが役割の『狂人』がどこかには出ているでしょうね。なので、グレーにウルフかフォックスのいずれかが潜伏中と見て、引き続きここから占っていくことになると思います」
前園がそういいまとめる。すると、今度は忌野が続いてメモに記入する。
「……私の内訳はこんな感じね」
忌野視点
占い師:忌野
霊能者:九頭龍(化野?)
敵陣営:前園 化野(九頭龍?)
グレー:夢咲、嘉藤、伊集院、鵜久森
「昨日の夜にわたしの『シロ』だった赤錆さんが襲撃されてしまっているから……『グレー』は広いままね。『霊能者』候補は美冬ちゃんと化野さんがいるけど、実質美冬ちゃんで決まりって感じ。グレーに敵陣営は二人ね。ここから『占い』先を選ぶわ。
おそらく前園さんは、いきなり『クロ』判定で飛び出した『狂人』なんじゃないかしら。そしてその前園さんを偽者と確定させないため、前園さんと主張の一致する『霊能者』として、『人狼』の化野さんが出てきた……」
忌野がそう言って自分の考えを述べる。九頭龍も大方その意見のようで、目を閉じてうんうんと何度も頷いている。
「そういや……なんで赤錆なんて役に立たなさそうなのが『襲撃』されてんのかと思ったけど……思えば忌野の『シロ』なんだよな。これって忌野の『本物』要素なんじゃねぇのか? 『人狼』は本物占い師の『シロ』を襲撃して、自分が潜伏する『グレー』の人数を多くしておきたいもんだろ?」
多聞が意見する。「いえいえ」と、伊集院は首を振り
「忌野殿が『偽者』で、『妖狐』に誤って『シロ』を出してしまっていないか、という確認をした可能性もありますな」
「『妖狐』の確認?」
「ええ。赤錆殿が『妖狐』なら、偽者の『占い師』から『シロ』をもらって生き残りやすくなっている状況な訳なんですぞ。忌野殿が『狂人』か『人狼』ならこれはまずいといえます。よって万が一に備えて『妖狐』の位置を特定するために『襲撃』しておき、『死体なし』がでるかどうかを確認した……と。『人狼』にとっては、『妖狐』の場所を把握しておけば何かと優位ですからな」
「確か……『妖狐』が教われた場合は誰も死なないんだよな? 襲っても『人狼』は『妖狐』を殺せない代わり、誰が『妖狐』なのかを把握するくらいはできる……」
「ちょっとそれただの可能性の話だよね。素直に見れば『本物』の『シロ』が襲われたってことのはずでしょ。伊集院くんの話は言いがかりだわ。多聞もそんな簡単に言いくるめられないでよ」
忌野が反応する。伊集院は眼鏡に手を当てて「んんん~」と
「確かに可能性をあげただけですな。しかし、それにわざわざ反応するということは……んん~これは図星のアトモスフィアがしますぞ」
「なにが何でも私を偽者に仕立て上げたいわけ? そんな訳ないじゃないの……」
忌野は困惑する。「はぁ」と嘉藤はそこで気だるげに
「別にどっちが本物だとしても、昨日は赤錆さんが襲われたと思うよ? 昨日『シロ』が出たのは彼女だけなんだから。忌野さんが本物ならそこか忌野さん本人しか襲う場所がないし、忌野さんが偽者でも自分の『シロ』が襲われれば信用が高まる。この一点を持って忌野さんを偽者と言い張るなら、君はまともに考えるアタマを持っていないか、無理矢理議論を誘導したい『敵』というだけのことさ」
嘉藤からの擁護を受け、忌野は何も言わずにただぱちくりと嘉藤のほうを見る。
「嘉藤。おまえは忌野のほうを本物で見るのか?」
マコトがたずねると、嘉藤は「うーん」と悩ましげな顔をして
「思うんだけど、前園さん視点の露呈敵陣営数がちょっと多くないかな? 四人いるうちの三人がもう居場所分かっちゃってるんだよ? 前園さん視点、『妖狐』が騙っていないなら、生きてる人狼陣営が全員何らかの役職に露出してることになっちゃうもの。それをないとは言わないけどさ」
「なら『妖狐』が騙りにでているのではないでしょうか? ありえない話ではないですよね、わたしに『占い』にかけられて死亡するくらいなら、生き残れそうな役職を騙ったのでは」
前園が静かに反論する。しかし嘉藤は腕を組んで
「『占い師騙り』の忌野さんが『妖狐』だとする。何故二日目に君にかぶせる形でわざわざ出てきたのか。実際あのカミングアウトの仕方の所為で、襲撃危惧のなさから彼女は疑惑とバッシングを受けることになった。『妖狐』ならそんなタイミングは選ばない。偽者だとすれば、護衛先をぶらすことにメリットのある『狂人』あたりに見えたね。
なら『霊能者騙り』の九頭龍さんがそうなのか。これも薄いよね? 伊集院くんが『霊能者ローラー』なんて話を持ち出したことや、『バランス吊り』で化野さんが処刑先候補に挙げられていることからも分かるように、『霊能者』とはいくらか軽視されがちな役職だ。何か勝算でもない限り、身一つの『妖狐』が本物より先に出て行くのは危険だと思う。
よって君が『本物占い師』なら妖狐は潜伏中。そして人狼陣営は全て露呈済み、すなわち『戸塚』『九頭龍』『忌野』の三人と見るのが濃厚だろうね」
その饒舌に、多聞や鵜久森あたりは理解を放棄したように呆けた顔をしている。同じ未経験者だというのに、アタマの回転が違いすぎる。しかしこの考察が正しければ、生きている人狼陣営は全員何らかの役職者を騙っているということになる。そんな危険なことをする理由とは……。
「ま、これだけ色々考えたところで、明日の朝になったら、あっさり忌野さんか前園さんのどっちかが死体になってる……というのもあるかもしれないね」
「死体って……縁起でもない言い方をしないでよ嘉藤くん」
忌野がおじけた声で言った。嘉藤は「ごめんごめん」と飄々と
「せっかくだし『人狼』の世界観を楽しんでいるだけだよ……。ま、実際に死ぬ訳じゃないし、ちょっとくらい怪我をしたって治療費には十分すぎるほどの報酬が得られるんだ。悲観することはないよ」
「嘉藤……おまえ、報酬が欲しいのか?」
マコトは思わずたずねた。マコト自身はこの状況を生き残ることに精一杯で、生き延びたあとの一億五千万のことなど考える余裕はまったくない。
「いや一億五千万円でしょ? ちょっと心が躍るのは事実かな? それだけあればロケットで月を間近に見に行くことだってできるじゃないか!」
「い、行きたいのか、月に?」
「へ? 逆にたずねるけど、マコトくんは宇宙に興味がないの?」
「いや……もういい」
嘉藤の宇宙に対する憧れはこの際どうでもいい。
「『占い師』のことは明日以降考えるとして、今日の処刑はどうする? 化野処刑ならリスクが小さいという案が出たが、俺はそれでかまわないと思うぞ」
マコトはそう意見した。彼女を処刑すれば誰が本物占い師かによらず処刑回数を維持できるというのもそうだし、それにマコトは、できれば九頭龍を本物で見たかった。この気弱な女が大金のために敵に回るようにはどうしても思えない。
「あーやっぱそうなっちゃう系?」
化野が面倒くさそうな口調で言った。
「アカリからは、なんかないの? 自分は絶対に本物だー、とか」
鵜久森が友人を気遣うように言う。鵜久森にただ追従しているだけの赤錆と違い、化野は鵜久森と対等以上の関係で接しているような気配があった。化野が嫌がることを鵜久森は強要しないし、鵜久森がしたいことに化野は必ずしも追従しない。
「うーん。じゃーさ、私が『ほんものだー』っつったら、フミエは私のこと絶対に妄信してくれるわけ?」
そういわれ、鵜久森はうっと押し黙る。化野は強い言葉ながら少しだけ優しげな口調でそう言ってから、少しだけ視線を逸らした。
「しょーがないよー。私だってフミエのこと百パー味方だとは思ってないしね。フミエは金に汚いしばかだから、ハードとか選んでるかもって思ってるくらい」
「ちょ……なによそれ。酷くない、アカ……うぐ」
鵜久森の台詞を途中で中断させたのは、化野が途中までなめていた棒付きキャンディだった。唾液まみれのそれを唐突に口に突っ込まれて、鵜久森は「うへ」とそれを口から引っ張り出す。
「いきなりなにすんの?」
「別に」
化野は眠そうに言って、「ん」と両手を前に出して重ねる仕草をして見せた。友人同士の呼吸か、鵜久森は怪訝に思いながらも『手を差し出せ』というメッセージを受け取ったように、化野と同じ姿勢を取る。
化野はそしてポケット、鞄などあちこちからカラフルな棒付きキャンディを取り出すと、鵜久森の手の平にどんどん載せていった。それらは少女の手に全て収まりきる量ではなく、半分以上は零れ落ちていったが、最後の一個をその手に乗せ終えると化野は眠たそうな顔のまま
「あげる。じゃ」
と、言った。
「私処刑でいいよ。やることやったし」
拍子抜けするような声でそう言ったのだ。マコトはあっけに取られた。
「敵陣営がここまで潔く死ねると思いますか? 見苦しく足掻いて処刑されていった戸塚さんとは大違い、そうは思いませんか?」
前園が丁寧な口調でそう言った。「んん~」と伊集院が独自の笑い方で
「た、確かにそのとおりですな……。少なくとも、ラストの『人狼』や『妖狐』などのようには思えません……。いいや、誰の視点でも化野殿がラストの『人狼』というのはほとんどないのでしたか」
「化野。おまえはそれでいいのか?」
マコトはおずおずと化野に尋ねる。化野は「どゆことー?」と気だるげな表情で言う。
「おまえが本物か偽者かは知らない。だが『処刑』にかけられた奴がどうなるのかは、おまえだって目にしたはずだ。それを、仲間からの投票でそんな目にあうってのは……やっぱりつらいんじゃないか?」
「いやに決まってるよー。ちょー最悪だし。でもさ、いやだっつったら処刑先逃れられんのー。あーくだらねーマジで」
化野はそう言って、それからつぶやくようにして
「……つか。そもそも私らの関係って、そういうのじゃないから」
といった。
「……は?」
「仲間だし友達だけどー、根拠なしに信じあって助け合うなんてばかみたいなことしないから。そーゆーのダサいし、サムい、みたいな? こういうときはお互いドライで当たり前っていうか。だからー、別につらくもなんともないよー」
欠伸すらしてみせる化野に、鵜久森は息を飲み込んで、先ほど化野から受け取った大量のキャンディをぎゅっと握り締める。
「別にフミエとかサクラとかが嫌いな訳じゃないよ。フミエとは腐れ縁だと思ってるしねー。まあでもさ、友達とかそういうのは、もっとこう、テキトーに。テキトーにやろうよ。面倒だから」
言って、化野は少しだけ笑って見せる。
「んじゃね。ばいばい。あとはせいぜいがんばんなー」
☆
(0)夢咲マコト→化野あかり
(0)嘉藤智弘→化野あかり
(0)多聞蛍雪→化野あかり
(0)伊集院英雄→化野あかり
(2)九頭龍美冬→化野あかり
(0)鵜久森文江→化野あかり
(7)化野あかり→九頭龍美冬
(0)忌野茜→化野あかり
(0)前園はるか→九頭龍美冬
『化野あかり』さんは村民協議の結果処刑されました。