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後々変わるかもしれない第一話

 黒鵜天音は困惑していた。自身の眼の前にある光景が信じられなかったのだ。

 どこまでも真っ白な空間、見たこともないような機械。そして背中から純白の翼を生やした50人からなる集団の土下座。全ての光景が天音の処理能力の限界を超えていた。


 どれほどの時間呆然と立ち尽くしていただろうか。ようやく天音の処理能力が回復した。

「顔、上げてくれる?」

 天音は土下座集団に向かって話しかける。それに応えておずおずと彼らは顔を上げた。

「聞きたいことはかなりたくさんあるんだけど。とりあえず、ここどこ?」

「ここは至高界。魂選別所でございます」

 天音の質問に対して実に丁寧に対応する土下座集団の先頭。しかし天音はそれに首をひねるよりも先に、返ってきた答えに首をひねった。

「しこうかい? たましいせんべつじょ?」

「至高界とは文字通り至高存在、貴女の認識で言うところの神様とか天使が住む場所です。その点から見れば私たちは天使と呼べるでしょうか。魂選別所とは様々な世界から来る死者の魂を転生させるのに必要な検査や処理、処置を行う部署です」

 問答はさらに続き、天音が出した質問に対して天使は実に丁寧に答えた。

「まとめると、数百年前にある世界で死んだ人間の魂に特殊な加工が見つかり、それ処理して輪廻転生に回そうとしたところ事故が起き、その魂は未処理のまま行方知れず。で、別のある世界で勇者召喚なる国家規模での誘拐が行われ、その対象となった集団の中にいた私がその魂の持主であることが判明し、向こうに行く前に確保。自分たちが起こしたミスに対して謝罪の意味を込めて天使が集団土下座、ということでいいのね?」

「はい、その通りです」

 天音のまとめを天使のリーダー格が認めて頭を下げ、別の天使が質問する。

「元の世界で何か異常は感じましたか?」

「異常っていうか子供のころから身体能力が高くて、っていうか高すぎて手加減しないとまともに生活できないレベルよ」

「具体的にどれくらい……?」

「土砂満載のダンプカーと正面衝突してかすり傷一つなくて逆にダンプカーが大破するくらい? 殴りつけたからかもしれないけど」

 天音の答えに天使たちは頭を抱えた。そこに別の声がかかる。

「一度定着した魂からその力を無くすことはたとえ私たちでもできません。たとえ至高神様でも無理でしょう。しかし、天音さんがこれから行く世界はいわゆるファンタジーな世界ですし、魔法もスキルもありふれていますからその力を隠す必要もあまりないでしょうね。まあ、一般人からすると必要以上の怪力は畏怖の対象でしょうが」

「どなた?」

「ああ、失礼。私は天音さんがというか天音さんたちが召喚された世界を管理する管理神の補佐役です。実は天音さんの魂が行方不明になるきっかけの事故はうちの世界が原因でして。管理神と至高神連名で慰謝料の支払いが行われることになりました。これをどうぞ」

 補佐役から渡されたのは一冊の本。天音が開いてみると表紙の裏に、


アマネ・クロウ

[身体強化・極]

[装備強化・極]

[   ]

[   ]

[   ]


 このように表示されていた。

「これは?」

「その本はスキルブックといいます。これから送る世界には先天性スキルと後天性スキルがあって、これにはそのスキルが全て載っています。ただし、天音さんと相性のいい物だけ。相性が悪いと覚えられませんから。そこに表示されているのは天音さんが今持っているスキルです。身体強化だけかと思ったら装備強化もですか。しかも小とか大でもなく極となると実質無限の強化ってことですよ。地球でも無意識に使っていたと思いますが何か思い当りますか?」

「そう言えば小学生の時ハサミでドアを斬っちゃいました。必死に隠蔽してばれませんでしたけど、これのせいですか」

「ハハハ、良かったですねばれなくて。空いている3つの表示はこれから天音さんが選べるものです。以降のページに相性がいい順に並んでいますよ」

 じっくり選んでください、という声を聞きながら天音はスキル選びに没頭するのだった。


天使の集団土下座は結構怖い。

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