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2-6 不可解な事態

パウルの戦闘を前もって見るナージャだったが……

 それはあまりにも唐突な事態だった。

 なんの前触れもなく陽光街の入口の門が、強力で不可思議な術によって、半ば吹き飛ばされるように破壊された。

 二人の門番が爆発に巻き込まれて、いくつもの怪我を負う。


「な、なんだ……!」


 門番たちは、目の前の事態が理解できずに目を回している。


 吹き飛ばされた門の中に立ち込める土煙。もうもうと立ち込める煙の中に、幾多もの人影がゆらゆらと立ち込める。

 人影は土煙の中を動き、かき分けて前へと出た。その瞬間、人影の正体が土煙を撥ね退いて現れる。


月夜の騎士団(ナイツ・オブ・ナイト)。陽光街の連中はまだ昨夜の戦いの傷は癒えてはいないはずだ。魔術の使用は極力控えて、パウル達守護者が現れる前に少しでも塔へと近づけ」

「「「ロウッ!」」」


 見えてくるのは、白銀の鎧を身に着けた、重装甲の騎士の姿だ。青字のマントを身に着けている者と身に着けていない者がおり、おそらく身に着けている者が小隊長なのであろう。

 中でもひときわ大柄な鎧姿の何者かが指揮を挙げるような号令を出し、ほぼ全ての騎士が特定の返事を返した。


 その圧倒的な鎧姿の共通の胴部分に刻まれた月をかたどった紋様が、太陽街の門番に威圧感を与える。


「ま、まずい! 月華街の連中だ!!」

「あの装甲、本気で取りに来ているぞ!」

「ほ、報告!!」


 わああ、と蜘蛛の子を散らすように、今の状況を伝えに半分の門番は去り、もう半分は足止めに留まった。

 だが、退く者を許してくれる連中ではない。この時から太陽街の制圧は始まっている。

 号令をした者を含め、五人もののマントを付けた小隊長の騎士が動き出す。



          ◇



 第三太陽館、大きな天窓以外に何の特徴もないある一室でのこと。

 陽光街の守護者パウルは、そこで瞑想するかのように座を組んで静かに目を閉じ、天窓から注ぐ日の光を浴びていた。

 それと同時に、シスカーに言われたことを頭の中で復唱し、深く考え事をしている。


(地獄の使者……地獄の技術…………そいつらに敗られた美獣…………)


 考えるのは、今自分がどう行動するべきかという事だ。

 自分一人で行動するべきか、それとも仲間には隠し事なしで話すべきか。

 この街を背負う以上、軽率に自分のみの判断で動く訳にはいかない。しかし、相手はこれまでの人間とはわけが違う。


(今回の事、もしもユリやダリアたちが知れば、必ず自分も一緒に戦わせてと言うだろう。しかし、さすがに地獄の使者相手ではいろいろとまずい)


 まだ地獄の使者がどういう者かは会ったことがないため、どれほどの強さと危険度か全く知らない。

 しかし、魂そのものに干渉する地獄の技術と命を司る力は、たとえ共に陽光街を守ってきた仲間にも言えない。

 言った所で敵う相手ではなさそうであり、それどころか下手に話せばダリアあたりが先走ってしまい、余計に危険な事態が起きてしまう。


(……いや、そもそもこれは僕自身が引き起こした問題だ。地獄から逃げた以上、こうなることは必然的だ。それを誰かに話して楽になろうなど、僕には到底できない)


 もしも知らないうちに危険な橋を渡っていることが知られれば、また寵愛者に誹りを受けることは免れない。


(しかし、こればっかりは僕自身の手でつけなくちゃいけない。みんなには悪いけど……)


 パウルは決断した。

 自らの命に関わる隠し事はしないとかつて約束した。しかし、自分が引き起こした、自分にしかどうにもできないことが起きた以上、己自身の手で決着をつけなくてはならない。


(……あの子は、特に苦しむだろうね。結局、本音も……聞けなかった)


 別に命を諦めるつもりはないのに、どこか哀愁を帯びたことを考えてしまう。

 日の光に照らされ、不動の姿勢を保ち続けるも、彼の静寂は不意に崩される。


 一室の扉が乱暴に強く開かれる。


「パウル様! 一大事なことが起きてしまいましたわ!!」

「部屋は静かに開けてくれと何度言ったらわか…………ローズマリア?」


 扉が乱暴に開かれた事に注意しようかとしたら、その扉を開けた女性の顔を見て疑問に変わった。

 ローズマリアと呼ばれた、淡紫色の髪に眼鏡をかけた上品な印象を持つこの女性は、普段扉を乱暴に開けるようなことはしない。

 故に、先ほどの一大事と言われたことと相まって、パウルは冷静にローズマリアに促した。


「何があった?」

「あ、はい。実は、月光街の騎士の方々がこの街の制圧に入られましたわ!!」

「なに!?」


 ローズマリアの報告に、パウルは若干信じられなかった。

 確か、前回陽光街の術師が月華街に攻め込んで戻ってきてからまだ半日しか経っていない。いくらなんでも復帰が速すぎる。

 帰ってきた寵愛者の報告にはそんな様子がなかったのだが……


「昨夜、わたくしやダリアやユリ、その他の皆様方で月華街を攻め、結局失敗には終わりましたものの、相当のダメージを与えたはずでしたわ。ですが、まだ短時間であるはずですのになぜ…………」

「……向こうがまた魔術で無茶な治療をしたか…………いや、なぜこの時に攻められたかはいい。規模は? どこまで侵攻されている」

「数は小隊長らしき人影が五人。配下の兵士は恐らく生身で、魔術で増強した様子はないかと思われますわ」

「ここは陽光街、月華街の連中は満足に月華術を使えない。けど、五人となると本気で攻めに入る数だ」


 本気で危機的な状況に気づいたパウルは、付く悪態を堪え、ローズマリアにこちらの戦力の状況を訊く。


「ローズマリア! 今の状況で誰が動ける?」

「はい。わたくしとリュウゼーランとチュリチュップは問題ありません。アカシャも恐らく大丈夫でありますわ。しかし、スズナやディジーはまだ怪我は治りませんし、ユリやダリアはまだ戦闘に至るまでの回復はしておりませんわ!」

「わかった! ならば、第二太陽館、第一太陽館の皆様に力添えをしていただこう! 僕は先に行って街の被害を食い止めるから、ローズマリアは後の二人と他の守護者と、できればアカシャの先導を頼む!」

「わかりましたわ!」


 ローズマリアに指示をし終えたパウルは、すぐに部屋を出て洋館の出口へと真っ先に駆けて行く。


(くそっ、地獄の使者で悩ましい時に、間が悪い……!)


 理不尽な事態に苛立ちつつ、パウルは対処が遅れてしまった事を悔いた。

 いくらなんでも報告が来るまで気付かないとはうかつすぎる。それほどまでに地獄の死者は頭を悩ませる存在だったか。

 だが、こうなった以上いったんその考えは置いておく。


「間に合ってくれ……!」


 せめて自分が到達する頃にはまだ無事であってくれと願いつつも全速力で駆けて行った。




          ◇



「! なんか街が騒がしくなってねえか?」

「う、うん……なんだろ…………」


 一方、ナージャと一旦別れたオルトとリュナは、怪しまれぬようにしながら街で情報収集をしていた。

 この街に住んでいる脱獄者がパウルである事、パウルがこの街でどれだけ活躍をしているのか、住民たちがパウルの事をどう思っているのか。

 また、脱獄者とは関係ないが、なんのために陽光街が月華街と戦うのか、戦いに勝てばなにがもたらされるかもついでに訊いていた。

 犬が喋ると怪しまれるので、主にリュナが主体として聞き込みを行い、情報を収集していたのだ。

 だが、先に異変に気付いたのはオルトの方だった。


「まるで何かから逃げているような……いったいなんだ?」

『オルト、聞こえる?』

「うおっ! え、ナージャ!?」


 不意に頭の中に直接響いた相棒の声に、ついオルトが声を出して反応してしまった。


「オルトロスさん?」

「あ、いけね……!」


 オルトは慌てて周りを見渡したが、幸い聞かれた人はいない。

 自分の迂闊さに戒め、改めてオルトは思念でナージャに話しかけた。


「(ナージャ、どうした。もう仕事女はいいのか?)」

『そんなこと今はどうでもいいでしょ。それよりあんた、この街に隣町の連中が攻め込んできたそうよ』

「(隣町……月華街って奴か。道理で慌ただしいわけだ。それで、いったいお前はどうするつもりなんだ?)」


 オルトが難しい顔をして通話をしている横で、リュナはオルトが何をしているのかを察して、静かに黙った。

 前にも同じことを見ていたため、何をしているのかわかるのだろう。


『あんたは、この街にいる脱獄者の正体、わかっている?』

「(ああ、パウル・ロキ・シェロスだろ? 街の住民がら随分と慕われてりるようだが……)」

『そのパウルが月華街の連中と戦いに出てくるらしいわ。だから、私はなるべく正体がばれないように接近してパウルの行動を観察するわ』

「(なるほど。で、俺に連絡したからには俺にも役目があるってことだろ?)」

『話が早いわね』


 話をしている間でも事態の進行は続く。

 若干早口になりつつあるナージャは、オルトにある使命を下す。


『パウルが街の守護にででいる間、あんたらはパウルの住処に潜入しなさい。地獄の技術でも手掛かりでもなんでもいいから探してきて頂戴』

「(え、俺たちが!? ちょっと待て、いくら俺みたいな優秀な犬でも、そんな空き巣みたいな行為が許されるとは……)」

『何言ってるのよ。あんただけじゃなくあの子もいるでしょう?』

「(え?)」


 オルトは言われたことの意味が解らず、ついリュナの方へと視線を向けた。

 いきなり見つめられて、リュナはきょとんと首を傾げる。


『どの道あんたはとにかくあの子もいるから戦場に近づいちゃダメでしょ。最悪何もしなくてもいいけど、できるならあんたとあの子で、こんな混雑した状況の中で何とかして情報を集めなさい。じゃあ、私は行くわ』

「(あ、おい待て! ナージャ! ナージャ!!)」


 慌てたようにいくら大声で叫ぼうが、オルトの叫ぶ思念になにも返っては来なくなった。

 ……理不尽に変な命令をされて、反論の間もなく置いて行かれたオルトは、悔しそうに呟かざるを得なかった。


「……どうしろと言うんだよ、おい…………」

「オルトロスさん?」

「まあいい。リュナ、行くぞ。引き続き情報収集だ!」

「あ、うん。わかった」


 確か、パウルは代々守護者が住むとされる大きな館にいたそうだ。

 主がいないはずの今、妙なことが起きないでほしいと思いながらも、リュナを連れて向かって行くのだった。



          ◇



「おいおい~、無駄な破壊はやめろ。目的はあくまで石だ! 進め!」

「「「ロウッ!!」」」


 白銀の鎧姿が街の三分の一ほど侵攻してきた。

 とはいえ、目的はあくまで町の最奥にある太陽石であり、言葉通り無意味に攻撃したりなどをせずただ着々と前へ進んでいく。


「へー。ずいぶんと重装甲な人たちね」


 そんな中ナージャは、騎士たちの侵攻のルートに入らず、かつある程度高い建物の屋根の上で、その様子を遠くから観察していた。

 騎士たちはそれぞれ手際よく隊列を成しながら、街中を着々と進んでいく。同じ目的地を全く別々のルートで、五つの小隊が進んでいく。

 しかし、それだけを許すつもりなどこの街の住人にはいない。


「皆、準備はできているか」

「問題ないよ。ローズマリアさん、リュウゼーランさん、チュリチュップさん、あと残りの舞台も問題なく展開しているよ」

「よし、後はどうしかけるかだが……」


 月華街の騎士を遠くで見るナージャのそばで、パウル達がなにやら部隊らしきもの展開している。

 ナージャは屋根の上からパウル達の様子を詳しく観察する。


 パウル以外に、恐らく陽光街を護る人達なのだろう、一風変わった出で立ちの人が攻め込んだ騎士たちの数に比例して五つの小舞台に分かれている。

 鎧姿の頑強な月華街の住人とは違い、パウル以下陽光街の人たちは太陽をかたどった刺繍がされた法衣のようなものを着けている。


 ただし、残り四分の三のリーダーらしき人物が女性なのはパウルの寵愛者だろうか。立派な立ち振る舞いをしている。

 しかし、どうやら住民は皆ある所へ避難したようだ。気兼ねなく暴れることは可能だろう。


(さて、どういう風に戦うか……)


 余所の事は改めて、パウルの方へと視線を戻す。

 再処刑の前に敵の戦い方が見れるのだ覚えておいて損はないだろう。


「よし、まずは尖兵としてリュウゼーランと僕に続いて二つほど部隊を先に進ませる。あとは……」


 いつもよりも集中した様子で、遠めの脱獄者に焦点を合わせた途端……

 その時、不意に予想だにしないところから甲高い音が鳴り響いた。


「!」

「ん! なんだ!」

「どこかから聞こえる……?」

「こ、これはいったいなんの音ですの!?」

「…………! この音って……!」

「っ!? え……!!」


 思いもしない事態に目を剥いてしまう。

 発生源はナージャのポケットにある携帯電話から、着信の電子音が鳴り響いたのだ。

 これには、パウルもその仲間も月華街の連中にも、例外なくこちらの所在を知られてしまう。


(なぜ……!? 音じゃなくて振動機能に変えた! それ以前に電源は切ったはず…………!)


 ナージャは重要な場面には不意に失敗しないよう電源は切っているはずだ。

 それ以前に起動音がうるさいから電源を入れたり切ったりする時などはマナーモードにしている。

 それなのに現状ではなぜか着信音が鳴っているのだ。


(所長、こんな時に…………!?)


 ナージャは疑問に思いつつもディスプレイに映された文字に目を通した。

 しかし、そこに表示されているのは想像とは違う文字だ。


(非通知!? いったい誰から…………!?)


 所長が掛けてきたのかと思ったが、相手が不明となっている。

 電源もマナーモードもそうだが、相手が非通知となるといよいよ意味不明としか言いようがない。


 とにかく携帯電話は着信拒否をし、屋根の上からパウル達に見えないように身を隠すナージャ。

 音を出した以上、もう知らないふりはできない。パウル達は不審に思って音の発生源を探している。


「ちょっと待ってて。今、日の光から探し当てるから」


 そうパウルは言うとなにかしたの準備をし、日光に自分の身をゆだねるような体制をした。

 それが何の行動かは大体察しがついた。となるといよいよここから逃げる算段を考えなくてはならない。


「……あっちだ。あそこの屋根の上に誰か人がいる!」

「人!?」

「それも陽光街では見ない容姿だ!」


 ……音の事については疑問が残るが、完全に居場所がばれてしまった。

 このままではいけない、と次にどのように行動するべきか頭をフル回転しようとした……


「まさか…………!?」

「パウル様?」


 パウルは何かに気づきかけている。

 予想外の事態により自分の所在が暴かれてしまった以上、同じところに留まり続けるわけにはいかない。

 パウルの戦闘が見れないのは惜しい事だが、意図的に戦闘に巻き込まれるのは勘弁願いたい。

 しかし、


「今からそっちに行く! そこで待ってくれ!」

「パウル様! 今、月華街の騎士がこちらに近付いているのですのよ!」

「しかし!!」

(…………!?)


 なぜかパウルはそんな彼女を逃がすつもりはない。

 鋭い目つきでナージャを一瞥する。


「あそこにいるのは陽光街では見ない顔だ! だから逃がしてはいけない!!」

「どういうことですの!?」


 先ほどの事でナージャの事を不審に思いだしたのだろう、彼女を捕らえるつもりだ。

 あらぬ疑いを掛けられてしまい、冗談じゃないと必死で屋根の上を走り出す。


(……面倒なことになったわね。なんでこんなことになるのよ)


 とにかく、目立つ場所で走り続けるのもなんなので、屋根の上から跳躍し街路に着地したナージャは、そのまま追跡の目を逃れるように、ジグザクに大通りを避けて逃げる。

 理不尽なことになってしまい、どうするべきか次の行動を考えていると、


「やーやー、そこのお姉さん。ここでは見ない顔だね、新入り?」

「!」


 不意に横から声がかかり、ナージャは驚いて視線を声のした方へと向けた。

 そこには、白っぽい黄色の短髪にややつり目の活発的な印象の少女が、背中に輝くほど白い翼を生やしてナージャの隣を並走するように滑空している。

 陽光街の住人特有の魔術により、この娘は空を飛んでいるのだ。


「いきなりパウル君に目をつけられるなんて運がいいな、何したの?」


 少女はあっけらかんとした様子で珍しそうにナージャを見つめている。

 なお、話を聴かずに全速力で方向転換を交えて逃走しているにも関わらず、少女はしっかりと彼女を追い続けている。低空飛行や翼を縦にした飛行をしており、いくら低かろうが狭かろうが関係なく追ってくる。


「あ、ボクの名前はアカシャ。パウル君の七番目の寵愛者だよ。もっとも、『番号や順番に意味はない』ってパウル君が言うから自称だけど」

「……それがどうしたのよ」


 もう逃げる意味がないのか、誰もいない大通りで停止した。

 いくら走ろうが追跡され上、下手をしてオルトなどを巻き添えにしたら逆効果だ。

 ならばいっそのことこの追撃者を気絶させて、追ってこさせないようにすると考えたのだ。


「……おやおや、ボクに対抗する気? でも、ボクはどちらかと言うと偵察が主だから手加減してほしいなぁ~」

「だったら帰りなさい。この街が危険な状態にあるんだから」

「いやいや、パウル君の言葉通り、君の事も放っておけないからよろしく!」

「!」


 すると、アカシャの周りに銀色に輝く鎖のようなものが纏わり出した。

 おそらくあれでナージャを捕らえる気なのだろう。簡単には逃がす気はないようだ。

 それに対してナージャは……


(命道術は論外。地獄の技術は便利だけど後々パウルに伝わったら意味がない。対抗するには素手のみ……)


 相手が現世の人間である以上、殺しは当然のことだが一定以上の危害も加えてはいけない。

 人質にすると言う考えが一瞬頭をよぎったが、とっさの考えで行動に移すべきではないとすぐにふり払った。


「いっくよ~、それ!!」


 アカシャは、纏う光の鎖をナージャに向けて差し出すように投げつける。

 すると鎖は生き物のようにうねり、ナージャにまとわりつくように空中を走り出した。


(……生け捕りにするって事ね。だったら…………)


 ナージャは鎖に対し逃げようとはせず、むしろ立ち向かうかのようにアカシャに向かって一直線に走り出した。

 先にパウルの寵愛者とぶつかることになったナージャは、鬱陶しそうに息を吐いて、襲い掛かる鎖に臆せず立ち向かった。

ナージャ、ピンチ

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