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1-8 敵前包囲網

オルトが脱走そうしている最中、ナージャは……

 携帯電話の向こうから、咆哮するような声がキンキン響く。

 とりあえず、オルトのテンションがやたらと上がったことを理解したナージャは、そのまま携帯電話を切り、周りを見渡した。

 視界に映るのは、通話前とは全く違う光景だ。


「なあ、人間……覚悟はできているか?」

「…………」


 ナージャは通話中、少しも場所を移動していない。

 しかしナージャの周りにあるのは、湖でもなく、木々でもない。

 それは、景色を埋め尽くさんばかりの、獣人もどきと、魔獣もどきの大軍である。

 しかしナージャは大して焦ることもなく、静かに答える。


「覚悟ならできているわ。あんた達を倒すことぐらい」

「…………!」


 これほどの大軍が現れたのは、本当についさっきまでの出来事だ。

 先ほど、ナージャがオルトと通話中、まわりからぞろぞろと、美獣の部下である継ぎはぎのもどきどもが現れ出したのだ。

 あるものは森の中、あるものは土の中、あるものは水の中。

 ありとあらゆる獣の継ぎはぎの大軍が、殺意みなぎる視線を集中して向け、ナージャを威嚇する。

 その時は、オルトやらリュナやら向こうの様子が大変そうなので、言いたいことを全て言った。

 そして今に至る。


「それにしても、かなりの数ね……さっき戦ったのとは大違い」


 現在進行形で群れ続ける獣人もどきと魔獣もどきの数は、数十匹どころか下手すれば百を超えるようだ。

 どう見てもたった一人に出てくる数ではない。


 その中で、一際体が大きい獣人もどきの男が現れ、ナージャに話しかける。


「貴様の正体はとうに知れているんだよ。地獄の住人」

「……気づかれた?」


 獣人もどきの突然の発言に、ナージャは若干の驚きを含んだ、怪訝な表情になった。

 なにせ、まだ美獣とは直接会ったわけではない。会ったわけではないのに、なぜ正体が知れてしまったのか。

 心当たりがあるならば……


(……シスカーの奴が何か情報を流したかもしれないわ)


 もちろんそれだけでは説明がつかないし、いろいろと疑問に思うだろうが、あとはもう知らない。

 しかし、正体は知れたものの、その上で美獣がこちらを襲いに来ると言うのなら話は早い。


「なるほどね……」


 圧倒的不利な状況にも関わらず、ナージャはこれを好機ととらえる。

 なぜならナージャにとって、目の前に広がる敵たちは、再び美獣の元へ向かう事の出来る手掛かりとしか思っていない。

 たとえ数が多かろうが全てねじ伏せればいいのだ。


「わかったわ。全員かかってきなさい」


 戦闘準備は万端だ。怖気づくどころか明らかに戦う気だ。

 それがつまらなく見えるのか、獣人もどきや魔獣もどきたちが怒りの声を上げ、巨漢の獣人もどきも憤る。


「貴様……思い上がるのも……!」

「無駄口はいらないから早く来なさい」

「……後悔させてやる!」


 巨漢はそう言うと、他の獣人もどきや魔獣もどきをいくつか連れて、囲いの中に入り、ナージャに近づいてきた。

 いくら数では有利とはいえ、たった一人を相手に大人数が一斉に押しかければ、むしろ互いが互いの動きを邪魔して、ろくな結果を起こさない。

 ならば、数をほんの数人と数匹に絞り、連続的に戦い続けて少しずつ削り取る方法はどうか。

 まどろっこしいと言われればそれまでだが、しかし確実にナージャの、肉体的、精神的疲労を与え続けることはできる。


「なるほどね……こちらの疲労を狙うつもりね……」


 そのことにナージャも気づいている。


(さてと、そうだとしたらバカ正直に戦うだけじゃダメね。どうやって切り抜けるべきか……)


 ただ逃げるだけではだめだ。美獣の居場所を突き止めるのに、この戦いは避けることはできない。


 ナージャは再度周りを見渡す。

 そこらじゅうにいる魔獣もどきや獣人もどきは、いわば戦いから逃がさないための檻であり、綺麗な円ができるように、ある程度離れている。

 その中を、数人の獣人もどきと数匹の魔獣もどきが入り込み、近づいてくる。


「来い、地獄の人間」

「……ええ、行くわ」


 とにかく、ここで思考して動きを止めるわけにはいかない。

 ナージャは目線を前に向け、大量の美獣の手下たちを相手に向かって行ったのだった。



          ◇



 一方、その美獣の住処であろう工場内で、オルトは右も左も分からない通路を突き進んでいた。

 先ほどまで一緒だった犬人族の少女であるリュナを助けるために、だ。


「くっ……あっちか……!」


 オルトは左右に分岐した道を、迷わず右へと直行した。

 いくら内部構造を知らないからと言っても、ただ無闇に進み続けているわけじゃない。

 記憶に残るリュナの匂いと、それに付きまとう獣人もどきの臭いを嗅ぎ分けて進んでいるのだ。


 とはいえ、道は分岐しつつも隠れるところのない一本道では、無論通路を歩いている獣人もどきにも遭遇するわけで……


「ん……! お前は……!?」

「邪魔だ、どけ!!」

「ぐぎゃ…………!?」


 隠れる必要がないならば隠れなくてもいい。

 オルトは、通路の向こうからくる獣人もどきに、こちらを認識される前に加速し、喉元を魂と共に喰らいつく。

 すれ違う獣人もどきは、一瞬にして命を落とした。

 その表情は、状況に対する理解が追いついていない様子だ。


「今はこいつに構っている暇はないんだ!」


 喰らいついた後、立ち止まることも振り返ることもなく、オルトはそのままリュナの元へと走る。

 けれど、先ほどからずっと走り続けているのに、どうにも姿が見えない。

 想像以上に、リュナから引き離されたことにオルトは悪態をつきそうになるが、次の曲がり角をまがった瞬間、通路の右側に信じられない光景が目に映る。


「!? なんだこりゃ!?」


 通路の右側、ガラス張りの向こうの光景は地獄としか見えない。


 部屋の中にはいくつものブースで仕切られており、その中を老若男女問わず裸の人間と、同じく種族性別を問わない獣人が鎖に繋げられている。


(獣人ならわかるが……人間!? まさか……)


 オルトの予感を余所に、部屋の内部は動き続ける。

 管理をしているのだろうか、獣人もどきがそれぞれのブースを見回るように歩き回り、時々一部のブース内に何かを差し出している。


 それは……器に盛られた餌らしきものだ。


 獣人もどきは餌を出すと、それを鎖に繋げられた人間や獣人に、無理やり食わせている。

 さらに、見張りの一人である獣人もどきが、あるブースの中から一人の人間を取り出し、どこかへ連れて行こうとしている。

 人間は恐怖におびえた表情で逃げようとするが、獣人もどきがそれを許さず、枷につけられた鎖を引っ張って無理やり連れている。さらに抵抗しようものなら、暴力を振るってでも連れて行かされている。

 哄笑、怒号、号泣、無気力……どの人間や獣人も、感情を爆発するものと、全く動かないものの二極しかいない。


 オルトは戦慄した。

 この光景はとても人が生きている光景ではない。

 まるで……まるで……


「家畜かよ……!」


 まるで人間が牛や豚を飼うように、人間と獣人が獣人もどきに飼われている。

 倫理も命の尊さも全く感じさせない、あまりにもむごたらしい光景。

 否、あくまで獣人もどきは手下に過ぎない。本当に飼っているのはあの咎人にして脱獄者…… 


(美獣め……許せねえ……こんな胸クソ悪い光景を見せやがって……!)


 これ以上はさすがに直視できず、オルトは再び通路を走り続ける。

 とにかく、この地獄のような光景から、早く何とかするためにオルトは進む。


(リュナも……あいつもこの中に入ると言うのか……!)


 ある程度走り続け、階段を降りて次の角を右へ曲がったところで……

 覚えのある後姿が見えた。


(なにっ!!)


 見えてきた後姿はリュナ……………………ではない。

 リュナを連れて行った、狐人もどきと、牛人もどきの二体だった。

 そして、リュナの姿はどこにも見当たらない。


「!? こいつ……なぜこんなところに居る!!」

「あの役立たず……失敗したな」


 いつの間にか追ってきたオルトの姿に、牛人もどきは目を見開き、驚愕する。

 それに対し狐人もどきは苛立つ様子で悪態をついている。

 だが、そんなことオルトには知ったことではない。


「おいお前等……リュナを……あいつを何処へ連れて行きやがった……!」


 オルトの目に映るのは、狐人もどきでも牛人もどきでもなく、その後ろにある巨大な鉄製の扉だ。

 その扉は両開きである上、厳重に鍵がいくつもかけられている。明らかになにか重要な部屋だ。

 そして、その扉の上にネームプレートがつけられており、おそらくは扉の先の部屋であろう、この世界にはない文字で名前が書かれていた。


『繁殖室』、と。


「!?」


 その時、オルトは息をのむのと同時に、ある一つの嫌な予感が浮かぶ。

 いなくなったリュナと、その部屋の名前に、オルトは叫ぶように問いただす!


「その部屋は……いったいなんなんだ!!」


 もしもオルトの中の嫌な予感が的中しているのならば……

 急いで目の前の獣人もどきたちを倒し、突破しなければならない。


「ほう、貴様はこの文字が読めるのか」


 狐人もどきはオルトの意外な読解力に少々驚きつつも、途端に嘲りの表情になり、嫌らしく笑う。

 しかし、こんな状況で、ただ一人空気を読まずに、牛人もどきはオルトに迫る。


「それよりも貴様こそ、いったいどうやってあの拘束を解いた!! 返答次第じゃ……!」

「うるせぇ!! お前は黙ってろ!!」

「何だと!?」


 割り込んできた牛人もどきを鬱陶しくあしらうと、牛人もどきは激怒し、オルトの元へと突撃しだした。


「この……ただの魔獣風情がぁ!!」


 牛人もどきは、もう一度オルトを捕まえるつもりなのか、右腕を前に伸ばすしそうな格好だ。

 狐人もどきは、一歩も動かずにオルトの様子を観察している。


「この……!」


 一瞬にしてオルトの体勢は戦闘用に変わり、向かってくる牛人もどきを迎え撃つ。

 なりふり構ってなどいられない。


(相手がどう出ようが、急いでこいつらを倒してリュナを助け出さなくちゃならない!)


 オルトはいつもと同じように、助走をせずに、牛人もどきの首筋に噛り付くように跳ぶ。

 先ほど、通路ですれ違うような時よりはやや遅いが、それでも速度としては十分な速さだ。

 しかし、


「ふんっ!!」

「!」


 オルトが跳んだ瞬間に合わせて、牛人もどきは頭を垂れて、そこから生える大きな角をオルトに向けた。

 このままだと、オルトが自ら牛人もどきの角に突進してしまう。


「なろっ!!」


 オルトは前足を前に差し出し、迫ってくる角に半ば刺さりつつ、右へと方向転換して跳んだ。

 前足二本から幽かに血を流すも、痛みをこらえて進む。


「…………っ!」

「むっ!!」


 牛人もどきが驚いて、オルトが跳んで行った方向へ目を向けると、そこにはオルトが通路の右側の壁に着地していた。

 だが、牛人もどきがなにか反応をする前に、すぐに通路の左側の壁へと跳んだのだ。


「なんだと!?」


 急速な返しに、無理に対応するために今度は左の方へと向けるがもうすでにオルトは上へ跳躍する。

 明らかに牛人もどきの方が出遅れている。


「くそっ!!」


 次に上へ視線を向けるも、すでに右下に飛んでいる。

 右下に向けるも、すでに左。

 左に向けるが、もう何処に居るのかすぐに理解できない。

 あまりにも素早いオルトの跳躍に、牛人もどきの視線が追いつかない。


 そして、オルトは……


「邪魔だ」

「!」


 オルトは牛人もどきの後ろの真下にいた。

 左へ跳んだ後、最後に前を回り、巨体な牛人もどきの股を潜り、後ろの下の方へと潜んでいたのだ。


「どけぇ!!」

「こいつぅ!!」


 オルトは再び、オルトは叫び声を挙げながら、牛人もどきの首元に跳躍する。

 今度は後ろからの跳躍であるため、牛人もどきの姿勢は捩じれた状態であり、角を突き出すことなどできない。

 つまり、オルトにとっては遠慮は無用。


「ぐああああああああああああああああああっ………………!!」


 オルトは、跳躍の後に牛人もどきの首筋に噛り付き、魂を喰らい、肉を食いちぎった。

 首から真っ赤な鮮血が辺り一帯に噴出する。


「…………!!」


 そして、牛人もどきは最後の言葉もなく……絶命した。

 悲惨な光景が広がっているが、そんなことに構いはしない。


「次は……お前だ!」

「…………」


 牛人もどきの屍を踏み越えて、オルトは狐人もどきを睨み付ける。

 急いで目の前の獣人もどきを倒さないといけない焦りと、うかつに飛び込んではいけない慎重さが相まって、全体的にオルトの動きを止めてしまう。


「おい、汚いじゃないか」

「…………!」


 しかし、対して狐人もどきは、目の前で死んだ仲間に目を向けず、冷静に、しかしさきほどよりもなお鋭い目つきでオルトを睨み付ける。

 その双眸に憤りなどない。あるのはただの警戒心だ。


「だが驚いた。魔獣にしては貴様は強いな」

「うるせぇ……お前の感心なんかに付き合っている暇はない」


 だが、内心憤る心を必死に落ち着かせつつ、冷静になるために狐人もどきの奥にある扉を見つめながら、一つ問いかける。


「……もう一度言うぜ。その後ろにある部屋はなんだ。それに、あの光景はいったいなんなんだ!」

「光景? 何のことだ」

「何のことだじゃねえ。あんな無理矢理人間や獣人を生かしているようなものはなんなんだと聞いているんだ」

「……ほう、あれを見たのか」


 冷静に言ったつもりだが、発せられた言葉に、怒りがにじみ出ている。

 狐人もどきはニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべて答えた。


「見て分からないか? あれは美獣様の食物となられる家畜の管理だよ」

「! 家畜だと……!」

「ええ」


 やはりある程度予想してたことだが、改めて聞かされたオルトは憤慨する。

 しかし、なぜこんなことをするのか、ラクシャーサから美獣の事について聞かされていないオルトにはわからない。


「美獣様は喰らえば喰らうほど強くなるお方だが、それ以前にかなりの食欲旺盛なのだ。だが、ただ外に出て人間や獣人を捕らえただけでは非効率すぎる。だからこうして飼って増やす方法を思いついたのだ」

「飼って…………増やすだと!?」


 その時オルトの視線は狐人もどきの背後に向かった。

『繁殖室』というネームプレートがつけられた扉である。


「そうさ。交配、飼育、屠殺、そして食物となる…………実に合理的な方法じゃないか?」

「てめぇ…………!!」

「あの犬人族のメスガキもこの部屋の中にいる。新たな家畜を産み続けるための、繁殖用にさせてもらう!!」

「んなことさせるか!」


 オルトは、これ以上待つつもりはなく、先制攻撃で狐人もどきを倒しに行く。

 対し、狐人もどきは避けようともせずゆっくりとした動きで両手の平を上に、ただ差し出すだけの格好になった。


(妙な動きだろうがなんだろうが、お前を仕留めさせてもらう!)


 怪訝な表情のまま、しかし敵意をみなぎらせて敵の首筋に跳んで行くオルトに対し、狐人もどきは妙な姿勢のままなにかを呟きだした。

 すると、狐人もどきの手の平に、一握りほどの大きさの火球がどこからともなく生じた。


「!?」

「言っておくが、俺は先ほどの役立たずとは違う」


 そして、狐人もどきは軽く手を前に差し出すと、それに従うように手の平の火球がオルトめがけて飛んでいく。

 しかも、オルトは今空中にいるため、回避することは不可能。


(やべぇ…………!)


 嘆いてももう遅い。せめてオルトは全力で体を捩じって捻り、少しでも攻撃をかわすようにする。

 そして、飛んできた火球はオルトの背中に掠り、しかし強烈な熱さと痛みがオルトを襲った。


「ぐああああああああああああああああああああ!?」


 痛み、苦しむオルトはそのまま狐人もどきの元へと跳んで行く。

 狐人もどきは、もはや突撃の勢いがなくなった空中のオルトに対し、蹴り返した。


「ぐっ!!」


 幸い、急所には当たらず、足で防御した。

 そのままオルトは、再び狐人もどきの目の前に着地する。


 着地したオルトは、己の現状を見て騒然とした。

 背中の一部が焼け、更に防御したとはいえ蹴られたオルトは、先ほど虎人もどきや牛人もどきから受けたダメージも相まって、肉体が悲鳴を上げている。

 しかし、不思議なことに意識が朦朧とはしない。喰らった魂の作用のおかげだ。

 だが、まだ安心はできない。


 先ほどの、不可思議な現象に理解できないオルトは、疑問の声を上げる。


「お前……今のはいったいなんなんだ……!」

「今のか? ただの魔の力さ」

「魔の力、だと?」

「そうさ」


 くくく、とおかしそうに笑う狐人もどきは、理解できないオルトを嘲るような視線を送りながらも説明する。


「そうさ。別におかしい事ではないだろ? 魔獣ならなんだってできるからな」

「なに…………!?」


 オルトには、狐人もどきの言っていることの意味が解らなかった。


「生物を石に変える事も、雷を生むことも…………そして、炎を繰り出すことも、魔を操る魔獣だからこそ可能。なのに、なぜ獣人である俺にこんな芸当ができるのか……って顔だな」


 どう見ても継ぎはぎの獣人もどきにしか見えないのに、いったいどこに魔獣の要素があるのか。

 と、考えた所でオルトは気が付いた。


「まさか……!」

「そうさ。俺は獣人と魔獣の混成魔獣人ハイブリッド。低級な合成獣人キメラ合成魔獣キマイラなんかと一緒にしないでもらいたい」

「!?」


 ……どうやらこの狐人もどきは、ただの獣人もどきではなく、魔獣とも混ざっているようだ。

 そのせいか、おそらくは人型でありながらも、火を扱う魔獣と混ざっているためにさきほどのようなことができたのだ。


(なるほど……あのゴリラもどきとは全然違うって訳か……)


 さきほどの獣人もどきとは格が違うため、オルトは気を抜けないと、再び跳躍姿勢を取る。

 その様子を面白く見る狐人もどきは、手の平どころか、至る所から火球を出してきた。


「目障りだ魔獣。貴様はここで炙り焼き(ロースト)にして、美獣様の糧にしてやる」

「うっせえ! そこを、どけぇ!!」


 今度は一直線には飛ばない。

 先ほどとは違う戦い方に切り替え、オルトは火球を出す狐人もどきの元へと突っ込んでいった。

立ちはだかる強敵

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