Card3-3
「っという出来事があったわけよ。」
「へえ。それで?」
――裏庭の秘密の地下室。
もぐもぐといつものパンをほおばりながら、私は後輩君と作戦会議をしていた。
「いや、それだけ。……冷たいなあ、後輩君」
「俺、後輩君って名前じゃないんだけど。紫吹涼。覚えてよ」
か、かわっ……じゃなくて、
「ん。私は――」
「透間芹、でしょ? ちゃんと知ってる。」
なんで。
私まだ名乗ってないのに。
「多分、その……赤木、さん? は贋作だね。偽の契約者。でもなんでそんな奴が――前回はいなかったのに」
「……前回?」
私は思わず声を上げた。
「あんたは知らないよな。前の契約者。カード集めきれなくて死んじゃった人。まあ、カードを利用しようとした時点であいつは契約者失格なんだけど。赤木サンが持ってたのはたぶん回収済み――攻略が終わったカードの一部だろうね。
The Hermitは隠者……そっか、能力狙いやがったか」
カードを利用、か。よくわからん。
契約者にも失格とかあるんだ。初耳。
「あんたさ、早くカード集めないとやばいよ。赤木サンに全部盗られる。聞いたところではその女は好かれるのが目的だろうけど、過去を思い出させて癒すってことは出来てる。つまり、目的は違えど敵ってことだ。」
「はあ?」
「つまり、あんたこのままぼさっとしてたら――死ぬよ?」
……え? しぬ、って死の方の死ぬ? ……ちょっと待て!!
「し、死ぬってそんな唐突に!」
「だから早くカード集めろって言ってんの。ほら、もうチャイムなるよ。遅刻したいの?」
ええー……
「遅刻、したくはないです……それじゃあ、また。ええっと――紫吹、君?」
「またね、芹先輩」
名前呼び……ゲフン。ま、まあ、これ以上話していたら本当に遅刻扱いになってしまう。それは面倒だ。だって私の学校、チャイムなってから教室はいるには入室許可証を貰わなきゃいけないし。だからサボりはしたくない。
ああ、私真面目っ子!
そんなことを考えながら教室の扉を開く。と、ニコニコ顔で瑠璃色のカードを手にしている赤木さん。その隣に瑠璃ヶ城先輩。その中を引き裂こうとする青柳君がいた。