表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春Logic!  作者: 史世
第二章 ヒロイン
6/14

Card 3 皇帝(The Emperor)

「あれ?」


 いつも通り一人の帰り道。私は、あることに気が付く。

 前を歩いている二人組。あれ、青柳君と赤木さんじゃないか?

 うわ、もうアタックし始めたんだ、青柳君。


「いや、あの人、これを落として――」


 何か話している。と思ったら、うげ、と二人して声を漏らした。

 ……気になる。少しだけ。

 鞄から何かを探すふりして立ち止まる。彼女の手元を見ると――

 生徒手帳だ。何の変哲もない。ただ、落とし主が。


「……瑠璃ヶ城先輩か」


 青柳君が呟いた。瑠璃ヶ城 夕。お金持ちで有名な、俺様次期社長さんである。

 赤木さんたちの前を歩いている彼。

 歩く態度ですらデカい彼の周りには、今日も相変わらず女子がたかっている。

「私ちょっと届けてくるよ!」

 そう残して小走りに彼のもとへと近づこうとする赤木さん。その途中、彼女の手は掻っ攫われる。

 青柳君だ。


「俺も行く。心配だからな。」


 おお。もうそこまで惚れてますか。


「ええっと、あの! 瑠璃ヶ城さん!」


 立ち止まってくれたようです。

 と思ったら首を傾げている。この人達大丈夫か。


「ふん。俺様に何か用か、雌猫」


 雌猫!? そ、そこまでこの人はヤバいのか!


「ああ、えっと、これ! 生徒手帳! 落としましたよ」


 そうして彼女が手渡すと、思いっきり眉間にしわを寄せる瑠璃ヶ城さん。


「……何が望みだ」

「「はあ?」」


 あ、青柳君とハモった。


「生徒手帳を盗んでまで俺と話したかったんだろう? お前の望みはなんだ。金か? 次期社長の嫁の座か? それとも――」

 ほう、そう来ましたか。


「ふっざけんな!」


 気づけば、赤木さんは力任せに瑠璃ヶ城さんの頬を引っぱたいていた。

 青柳君と、叩かれた本人が目を丸くしている。


「お前……」

「ひっ……あ、謝りませんからね! あんたが盗んだとか言うから悪いんですよ! 私は落し物を拾って届けただけです。何も悪いことはしてな――」


 ふうん、結構度胸はあるんだね、赤木さん。あんなに女の子らしいのに。

 最後まで言う前に、彼女は口を閉じた。


「俺様にビンタとはいい度胸だな。……気に入った。俺様の嫁になれ」


 そのまま、顔が近づいて。

 ちょっとその後の展開が気になるが、そうっと目をそらす。

 さすがにもうそろそろ歩き始めなければ不審だ。


「はいストップ」

「あ、青柳君……」

「それセクハラっすよ、瑠璃ヶ城先輩。赤木も、無防備すぎ」


 じゃあ、さようなら。そんな台詞を残して私の手を引き、早歩きでこの場を去る青柳君。


「馬鹿」

「え、」


 急に立ち止まって、彼は言う。


「もっと危機感持てよ! お前、ありゃどう見てもキスするつもりだっただろ、あの俺様御曹司!」

「ごめんなさいいい!」


 へえ、面白いことになってきそうだ。

 一人ぼっちの私の呟きだけが、嫌味なくらい青い空に響いた。


赤木さんのビンタが炸裂!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ