Card 2 隠者(The Hermit)
「でも、カードを集めるってどうやってやればいいの?」
「ああ、簡単だよ。カードと接触して、過去を思い出させればいい」
さらりと言ってのける彼。
それって簡単なのか?
「その過去の傷を癒して、呪いから解放するのがあんたの仕事。」
いや、絶対難しいでしょそれ。
そう言おうと口を開くも、無念。
遠くから聞こえたチャイムの音に勢いよく立ち上がる。
「やば、今昼休みだった!」
じゃあ、また! なんて挨拶もそこそこに、私は階段を駆け上がる。
「ん。またね、先輩」
……後輩だったのか。
それにしては大人っぽかったな、なんて。
教室に滑り込んで、机に突っ伏そうとする。
「あ、なになに、なんかいいことあったの?」
その前に話しかけてきたのは、隣の席の赤木さんだ。
「え、なんで?」
「いや、だって今にこにこしてたからさ!」
彼女は今日来た転校生である。品行方正、容姿端麗、頭脳明晰、運動神経は抜群……今日見ただけでもわかるくらいに、彼女は完璧だ。私まで笑顔うつっちゃった、なんて笑う赤木さんは、早くもクラスの人気者。そりゃあそうだろう、美少女だし。
「そう、かな……?」
「うん、そうだよ!」
あ、先生入って来た。
私は曖昧に笑い返して、教科書を開く。
授業が全く身に入らないのは、あの後輩のせいにしておこう。
「『彼ら』は運命に呪われているよ、間違いなく。」
そう、彼は言った。あの時の後輩君の目は暗かったと思う。
もうすでに何かをあきらめている――そんな目。
あの目は怖い。
どこかで見たことのあるような、あの疲れ切った目は。
「……おい、透間。次当たるぞ」
その声に、引き戻された。