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青春Logic!  作者: 史世
第一章 契約者とは
3/14

Card 1‐2

※流血描写,グロあり。閲覧注意,とまではいきませんが。

「それから、彼らは仲間で敵同士、なんて可笑しな存在になったんだ。だけど、仲間と敵、っていうのはどう考えても正反対だろう? いつの間にか、彼らは衝突しかしなくなった。

 そんなことが続いたある日の事だったよ。

 結構仲が良かったあいつがさ、仲間意識なんて消え去った暗い目でこんなことを言い出したんだ。

『お前を殺せば、俺がここから出られる確率は上がるんだよな』って。

 耳を疑ったけど、あいつが向けてきたナイフに嫌でもわからされたよ。

 もう、あいつは俺のことを――敵だと思ってるって。

 そん時だ。初めて俺は人を刺した。

 ズプリ、って嫌な音がしたんだぜ。引き抜くと、あいつの血だけがぬらぬらとしてて。

 くるくる、まわって、きれいで、真っ赤で――」


「だまってください」


 思わず声を上げて、彼の手を私の掌で包み込んだ。

 今の彼は、怖い。

 ぎゅっと目をつむった。


「っ、」

「……ごめん。話が逸れてた。あんたにはこの鍵を持っていてほしいんだ。あと、その本も。」


 私の手を振りほどいて、彼はそのまま鍵を指した。


「え、」

「あんたがそれを猫からもらったんだろ? だったらあんたのモノじゃんか。」


 その指先で、つんと鍵をつつく。

 そして綺麗に微笑んだ。


「よろしく、新しい主人マスター。」

「いや、ちょっと待て! なに、主人って」


 聞こえた台詞を咄嗟に遮る。

 主人だと? 一体だれが!


「……あ。説明してなかったっけ。俺はカード・愚者。あんたはこれから、俺と21枚のカード達を集めなくちゃならない。集めきれば、あんたの願いは叶うよ。でも、できなかった時の為の対価はあんたの命


 だ。願いをかなえるにはリスクが必要だからね。対価交換は当たり前でしょ?」


「それって、つまり……」


 悪びれもなく、彼は言い放つ。


「集めきれなきゃ死ぬ、ってこと」

「なっ……!」


 そこまでで言葉を切った私に、我が意を得たり、と彼は笑った。


「『彼ら』は運命に呪われているよ、間違いなく。そりゃあ怖いのはわかってる。でもさ、助けてやってくんないかな、奴らを。」


 首を縦に振ってしまった私は、臆病者なのだろうか。

 でも、ここまで頼まれてしまったら無視はできないし、それに。

 ああ、また好奇心が邪魔をしたんだ。

 カードはまだ一枚。

 命が消えるか、願いが叶うか――

 残るカードは、21枚。


主人公ちゃんの好奇心はもう軽く常人を越してますよ。

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