和矢 2
場面は<修 1>の続き、和矢バージョンです。
*** Kazuya ***
…なんで、こんなことに…
…無理だ。 絶対俺には、対処できない。 誰か、助けてくれ…。
俺は、なんとも情けない気持ちで、その場に立ちすくんでいた。
目の前の美しい少女は、にっこりと艶やかに微笑んでいる。
行き過ぎる人々は、その華やかさに 皆 一様に 目を奪われる。
ぼう然と見惚れる者、立ち止まってヒソヒソ話をする者。
だんだん人が増え始めている気がする。 さすが有名人… 実に、ありがたくない。
そして、その美少女に見つめられて、なす術もなく 立ちすくむ俺。
何故か 泣きそうな顔で走り去ってしまった、もう一人の少女のことを考えながら。
「…ご迷惑でしたか?」
「…いや、別に」
俺は思考を切り替えることにした。
今は駄目だ。
こんな気分のまま追いかけても、また諍いになってしまう。
また あいつに、傷つけるようなことばかり 言ってしまう。
冷静にならなければ。
そのために 今は、亜莉と距離をとる必要があると 俺は思った。
* * *
目の前の女は 美しかった。
話しても意外に面白く、会話も弾んだ。
彼女の仕事の話、好きなマンガの話。
洋楽が好きなことでも気が合い、初めての趣味があう仲間との会話は楽しかった。
ずいぶん長い時間を 彼女と共に過ごした。
彼女は 変につっかかってくることもなく、俺も わけも分からず イラつくようなこともない。
おだやかな時間が過ぎる。
こんなのもいいんじゃないかと、俺は思う。
こうしていれば、あいつにひどい言葉をぶつけることもない。
また傷つけて、あんな顔をさせることもない。
俺と彼女は また後日、CDの貸し借りをする約束をした。
彼女と再び会い こうして二人で過ごすことを、約束したのだ。
別に 何の問題もないはずだ。
俺にも彼女にも、他に特定の相手がいるわけではない。
こうしている二人は、はたから見れば 恋人同士のように見えるのだろうか。
レイカに声をかけられた時、俺とあいつの間には 数メートルの距離があった。
とてもじゃないが、親密な関係を疑われるような距離ではない。
何故 俺達は、こんなに 衝突ばかりしてしまうのだろう。
近くにいることで あいつを傷つけてしまうのなら、
俺達は 離れるべきなのかもしれない。
この話は、後の<和矢3>に続きます。
カズヤが のほほんと浮気している間に、動き出している奴がいます。
さて、誰でしょう??
次回はタカシです。