終章
今回は、アリ&カズ のケンカ風景から始まります。
この作品は 年齢制限をしていないのですが、この最終話に少しだけきわどい部分があるかもしれません。
会話にキス話が出てくるのですが… 苦手な方はご注意ください。
本文完結後のエピローグなので、別に読みとばしていただいても 何の支障?もありません。
「ちょ…なっ… やーー!! そ、そんなこと… なんで!!?」
「な、なんでって、お前… ま、まさか…」
「何すんの!? 信じらんない! …へ、変態っ!!」
「へ…? な、なんてこと言いやがる!
お前がガキなんだよ、この常識なし! サギ師かっ!!」
「ち、ちょっと、サギ師って何よ!」
「あんな顔しといて何も知らねーって、天然記念物じゃねーかっ!」
「それなら サギじゃなくて トキでしょ! 常識なしは あんたじゃない!」
「何の話だっ!! なら、イリオモテヤマネコか、オオサンショウウオだっ!」
「サ、サンショ… な、何よっ、私が何知らないって言うの!?」
「ぐっ、そ、それは…
う、うるせー、ガキは黙って俺のいうこと聞いとけっつーんだよ、このボケナスっ!!」
「…カズヤのバカーーっ!!!」
*** Mio ***
今回、彼の対処は すばやかった。
今までは、意地っぱりのカズヤのせいで こじれるのが常だったのだ。
しかし今回はすぐに、シュウを介して 私に仲裁を頼んできた。
先日、彼女の長年の想いは、ようやくその相手に通じたのだが。
今までの付き合いの長さゆえか、お互いの性格ゆえか、相変わらずケンカが絶えることはないらしい。
それでも、二人の関係が変わったことで、彼も成長したんだな、と思っていたのだが…
「聞いてよ美緒、カズヤのやつ、私にオオサンショウウオって!
自分のが真っ赤なユデダコみたいな顔してたくせにっ!」
「は? ちょっと亜莉、落ち着いて。 いったい何があったの?」
「…あ、あのね、昨日の帰りにね、…キ、キス、したんだけど…
その時に 中に…し、舌をっっ…!!」
「うん、それで?」
「…それでって? …それだけ…」
「……」
「だ、だって、そんなことするのって 信じられる!?
キスしてる時に普通そんなことしないでしょ!?
あんまりびっくりしたから、思いっきり はりたおしてやって」
「…そ、そう… あ、あのね、亜莉…」
「そしたら 逆ギレして、私にトキだのサギだのって。
それに えっと… あ、イリオモテヤマネコ!」
「ト、トキ? イリオモテ…??」
「ゆるせないでしょ? あげくに 常識たたきこんでやるって言って…!!」
彼らには、まだまだ成長する余地が 多分にありそうだ。
彼がすぐに折れた理由も予想がついて、私はため息を吐いた。
今後のためにも、とにかく解決を急ぎたかったってとこだろう…
*** Kazuya ***
息もたえだえに笑い転げる二人を、俺は仏頂面で見下ろした。
顔にはまだ、不名誉の負傷?が痛々しく残っている。
「し、信じらんねー、無知にも ほどがあんだろー。
お前 どーすんだよ、これから?」
「まあ、あいつに合わせて ゆっくりペースで行くしかねーんじゃねーの」
「そうだけど… お前さぁ、それ 結構キツいぜ?
俺も 美緒ん時あったけど、なんつーか… そんなうまくブレーキきかねーよ」
「そうだよなぁ…。 タカシは そんなことで悩んだこと、なさそーだよな」
「あ? まーな。がまんしすぎは体に良くねーだろ」
「お前 今どっかのお嬢様と付き合ってんだろ?」
「あー、あの娘な。 そろそろ 潮時っつーか、なんか向こうもそんな感じだしな。
それより聞けよ、次は女子大生なんだぜ?」
「…うわ、タカシって、なんかすげー…」
「やめとけカズ、こいつの話に耳貸すな。 …まったく、またカブってんのかよ」
「失敬な、俺は二股はしねー主義だぞ。 今までも トラブッたことなんか ねーだろが」
「それ自慢するとこか? カズ、美緒に感謝しとけよ」
「はあ? 何のことだ?」
「…シュウ、よけいなこと言うな。 なぐるぞ」
そういえば、美緒… 俺は ふと思い出して シュウに言った。
「シュウ、美緒が この前のタカシと俺のサル芝居のこと、まだ心配しててさ。
亜莉には言っといたけど、お前 美緒に教えてやれよ。 …なんだよ、タカシ?」
「…サル芝居って… カズ、お前 気づいてたのかよ…
げ…!! …まさか、お、お前、いつから…!?」
「…タカシ、お前 何言ってるか わかんねーぞ」
シュウは なぜかまた、大爆笑している。
タカシは 俺を 気味悪そうに見た。
「…俺、お前だけは マジ 読めねー…」
シュウが ふと、部室棟を指さした。
「なあ カズ、あれ いーのか? パンツ見えてんぞ」
「本当だ。 今日は白だな」
「あのバカ、また…!!
亜莉っ! 制服で そこ のぼんなっつってんだろ、バカザル!!」
「なっ、バカザ… あんたこそ アホゴリラ、まぬけカバ!」
「てめっ、1コ 多いじゃねーかよ!」
「ちょっと急いでたの! そっち通れなかったんだから 仕方ないじゃない」
「知るか、ちゃんと向こう回りやがれ! 何度言ったら覚えんだ、ボケタヌキ!」
「そんな言い方しなくていいでしょ! 性悪ギツネ!
あ そうだ、タカシー…」
「ゆっくりペースねぇ。 なんか、ブレーキの心配とか いらなそうだよな。
てゆーか、あの調子で どーやってキスまで進んだんだろ?」
「ま、いーんじゃね? 息ぴったりだし、つりあってんじゃん」
「おい タカシ、なんか呼ばれてんぞ。 顧問が探してるって」
「…この流れで 俺の名前 呼ぶなよなー。 性悪ギツネの次かよ、クソ」
* * *
「おい、さっきの 美緒に感謝って何だよ」
タカシが行った後、俺はシュウに聞いた。
「ん? あー あれな。 あいつ、昔 亜莉に惚れててさ」
「…!!? …なんっ…!!」
「たぶん、姫を手に入れるための良からぬ企てを、美緒に阻止されたってとこじゃね?
まあ、オヒメサマは全く気付いてないみたいだけど」
「……」
あのタカシが本気になれば、かなう者など この地球上に いるわけがない。
奴は、やるといったら どんな手を使ってでも やる。
シュウは 顔を伏せ、はぁーっと大きく ため息を吐いた。
「美緒って絶対、俺のことよりも 亜莉を愛してるよなぁ。
なんか俺、亜莉に妬ける…」
力なくうなだれるシュウに、俺は思わず なぐさめの声をかけた。
「…なんか大変だな シュウ、お前も」
シュウは いきなり顔をパッと上げ、俺を見た。
その彼の次の言葉に、俺は一気に 全身の血の気が引いた。
「何言ってんだよ。 大変なのは お前の方だろ?
タカシも たぶん、まだあきらめてねーだろうし。
それに 亜莉になんかあったら、それこそお前、美緒に殺されんぞ」
完結です。
結局 最後まで大した苦労なしでオイシイとこ取りしたカズヤくんは、今後たっぷり苦労していただくことにしました。
ちなみに、カズヤの言う「サル芝居」とは、<貴志4>のベンチでの二人のケンカのことです。
カズが言っているのは そのケンカのことだけですが、いろいろと秘密のあるタカシは ちょっとビビッてます。
最後まで駄文にお付き合いくださった方、本当にありがとうございました<m(__)m>
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