序章
いつ頃からだろう、私の視線はいつも彼を追っていた。
彼とは、中学の頃から ずっと一緒にいた。
やがて 私たちは成長し、彼も どんどん大きくなった。
でも、変わったのは 体の大きさだけではなかった。
彼は いつでも 前を見ている。 前に向かって 進み続けている。
たとえ 障害物があっても、立ち止まろうとはしない。
そんな彼に、周りの景色はどう見えているのだろう。
ほんの少しでも、視界の端をかすめる程度でも、私のことが 見えているだろうか?
昔 私と変わらぬ位置にあったはずの彼の目線は、私を超えて 高くなった。
今 彼の見ている景色は、もう 私からは見えない。
初めは 気付かなかった。 友達に言われて 初めて、自分の異変に 気付いた。
何故なのか 自分でもわからない。 でも 目が離せない。
ただ、ドキドキする。 太陽のような その笑顔に。 まっすぐに前を向く その視線に。
振り回される、そのささいな行動に。 何気ない一言に。
当然 彼の周りには、魅力的な女の子たちも たくさんいる。
そんなことに 悩まされた時間も、少なくはない。
そんな彼が見ているのは、いつだって 私だったことはない。
こんにちは。 二作目の投稿になります。
連載物、20話くらいで、毎日1話ずつ投稿していく予定です(後半は ちょっと滞るかも)
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