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38:幼き戦い


Unknown


半径20m程の小さな陸地、そしてそこに所狭し生える木、そこから脱すれば気が遠くなる程の海が広がっている、空を見上げれば雲一つない海を鏡で写したように青い空。

そんな所にぽつりと立たされているモリガン、シヴァの上からぼーっと辺りを見回し悪魔を捜すが人の気配がない。

そんな静寂がかれこれ5分した時、木に何かが当たるような音が無数に聞こえた、そして次の瞬間、モリガンを包囲するように無数のナイフが飛んできた。


『やっぱり君か』


モリガンはシヴァから伸びる鎖を掴みながらシヴァから飛び降りる、そして空中で大きくシヴァを回してナイフ、そして周りの木まで薙払った。

丸裸になった小さな島、そこに立っているのはリバイアサン、両手には先ほど投げたティルヴィングが握られている。


「何で木まで壊しちゃうんだよ!?」

『君に有利なのは卑怯じゃないか?ライバルとして正々堂々と殺りあおうじゃないか』

「そうだね!なんかライバルって響き良いなぁ」

『やっぱり馬鹿だ』

「何か言った!?」


モリガンはリバイアサンに聞こえないように嘲笑うとクスクスと不気味な声で笑う。


『さてと、さっさと潰してあげるよ』

「僕は絶対に―――!?」


モリガンはリバイアサンが言い終わる前にシヴァを投げた、上空からリバイアサンめがけて落ちてくるシヴァ。


「この卑怯者ぉ!」

『戦いは目をあわせた時から始まってるんだよ』


リバイアサンは体の軽さを利用して側宙して避ける、そして飛んでいる間にティルヴィングをモリガンに向かって投げた。

モリガンは鎖を振って全て弾くが、ティルヴィングは新たに飛んできたティルヴィングにぶつかり再びモリガンに向かう。


『そんな事も出来るんだ』


モリガンはギリギリで横に避けるが、完全には避けきれずに一本が太股に刺さってしまった。


「僕だって頑張れば強いんだから」

『腐っても元遠距離No.2って事だね』


モリガンは太股のティルヴィングを引き抜くと地面に落とした、真っ白なローブはモリガンの血で赤く染まり、モリガンはなるべく体重をかけないように立っている。

リバイアサンはそれを全く気にせずにモリガンとは全く違う方向にティルヴィングを投げた、そして再びティルヴィングを投げると、お互いがお互いに当たり方向を変え、モリガンを包囲するようにモリガンに襲いかかる。


「死んじゃえ!」

『一々面倒だな』


モリガンは鎖を体全体に巻き付けた。


「そんな小さな穴じゃあティルヴィングは通っちゃうよ!」


モリガンはギリギリまでティルヴィングを引き寄せると、鎖の巻き方とは逆に回転をし、一気に鎖を解き放った。

鎖はそのままの状態を維持しながら広がり、さながら鎖の繭がモリガンを包んでいるかのようだ。


「そんなの甘いよ!」


ティルヴィングが鎖に当たり激しい金属音が鳴り響く、しかし、完全にティルヴィングを防ぎきれず、鎖と鎖の合間を縫ってモリガンに襲いかかる、それに対してモリガンはなす術がなく、体を動かして避けるしかない。


全てが終わった頃にはモリガンは身体中傷だらけになっていた、肩で息をして、真っ白なローブはところどころ赤く染まっている、仮面も割れて既にモリガンの素顔が露になっている。


「少し甘く見すぎたみたいだね」

「馬鹿だ、ばぁか!」

「まぁ僕が君ごときに負けるなんてあり得ないんだけどね」


モリガンは鉄球であるシヴァに飛び乗った、そのまま足を動かしてシヴァを転がす。

リバイアサンは軽々と避けながらも、モリガンにティルヴィングを投げ続けている。


「こんなの一度見ちゃえば怖くもなんともないよ!」

「ノミみたいにピョコピョコとすばしっこいね」

「の、ノミ!?僕はそんなにちっちゃくないよ!」

「何だ小さいのを気にしてたのかミジンコ?」

「みみみみ、ミジンコ!?ムキャー!本当に君ってムカつくね!?」

「ミトコンドリアが叫んでも僕の耳には届かないよ」

「もう怒ったよ!君なんて海の藻屑になっちゃえ!」


リバイアサンはバックステップで大きく間合いを取った、そして地面にティルヴィングを突き刺すと、両手を上に上げる。


「ツナミ【津波】!」


モリガンは素顔の口角をニヤリと上げ、軽い笑みを溢した。

次の瞬間、リバイアサンの後ろの海から10m以上ある津波がモリガンに向かって来ている、あれをまともに受ければ空母だろうが一たまりもない。


「コレで終わりだよ!」


リバイアサンには当たらず、津波がモリガンを呑み込もうとしたその時。


「グラビテーション【重力】!」


津波は一瞬にして宙に浮き上がり、滴となって空を覆っている。


「何をしたんだ―――!」


リバイアサンが上からモリガンに視線を移そうとした時、モリガンの拳がリバイアサンの頬を捉えた。

そして吹っ飛んだリバイアサンの体には、鎖が巻き付いていて、モリガンが力一杯引くとモリガンを追い抜き、宙に放り出された、モリガンはそのままシヴァをリバイアサンに向かって投げると、リバイアサンは派手に吹っ飛び海に消えて行った。


しかしモリガンは得物をしまおうとはしない、それはティルヴィングが地面に刺さったまま消えないからだ。






暫く待つとリバイアサンがボロボロの体で海から出てきた、そしてモリガンは指をパチンと鳴らすと、空にあった水がバケツをひっくり返したかのように二人に降り注ぐ。

真っ白なローブを着た幼い少年のモリガン、真っ黒なローブを着た幼い少年のリバイアサン、全く正反対の二人の決着がモリガンの手に委ねられた。


「さっき、何した、んだよ?」

「津波に対する重量を無重力にした、それによって束縛するものが何もなくなり浮き上がったってわけさ」

「もしかして、わざと出させたの?」

「そうさ、君のツナミ【津波】は神技の中でもトップクラスの破壊力と攻撃範囲を誇ってる、だからこそその絶対的な力に溺れてたんだね」


モリガンは血の通っていないような表情でリバイアサンを見下ろす、正に冷徹。

逆にリバイアサンは喜怒哀楽をフルに顕現させたような表情のバリエーション。


「僕はまだ…………」

「何か言った?」

「僕はまだ負けられない!」


一瞬でティルヴィングを両手に顕現すると、モリガンを突こうとする。


「大人しく負けてくれよ」


モリガンは軽く体をずらして避けると、リバイアサンの腕を掴んで軽く捻った。


「くぅあっ!」


そのままみぞおちに膝を打ち込み、もう一発蹴ってリバイアサンを海に蹴り飛ばした。

豪快な水しぶきをあげて海に突っ込むリバイアサン、モリガンはそれを相変わらずの冷めた目で見る。


「何で君はそこまでして僕に勝とうとする?分かるだろ、僕に勝てない事くらい」

「うるさいうるさい!ルシファー様と約束したんだ!」


再び走り出すリバイアサンモリガンは呆れながらもリバイアサンを睨んだ。

走りながらティルヴィングを投げるが、モリガンは鎖で軽々と防いでしまう。

両手のティルヴィングによる連撃も、モリガンは鎖を使って次々といなす。

疲れと傷で無駄だらけのリバイアサンの動き、それに焦れば焦る程更に動きに無駄が生じる、その負の連鎖に気付いているのはモリガンのみ。

モリガンはリバイアサンの腕に鎖を巻き付けると、そのまま海に向かって投げ飛ばした。


「少し頭を冷やしたらどうだい?」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


リバイアサンは懲りずに再びモリガンに向かって走り出す、モリガンは呆れて頭を抱えると、持っていた鎖を放した。

モリガンはリバイアサンの喉元への突きを軽々避けると、全体重を乗せたストレートでリバイアサンの顎を打ち抜いた。

豪快に吹っ飛び波打ち際で動かなくなったリバイアサン、完全に脳が揺れて意識が飛んだのであろう。










「おぉきろぉ、いつまで寝てるのかい?」


リバイアサンの顔に水をかけ続けるモリガン。


「ぶわぁっは!ゴホッ!ゲホッ!」

「やっと起きたよ」


リバイアサンが目を開くとモリガンがいた、何かしようとしたがもう動くだけの力は残っていない。


「負けちゃったんだ」

「ボロ負けだね」


少しずつ涙を流し、ついにはとめどなく涙が流れだした、モリガンはそれすらも無表情で眺め続ける。


「そんなに死ぬのが怖いのかい?」

「死ぬ?そんなの怖くないよ」

「じゃあ何で泣く?」

「ルシファー様と約束したんだ、この戦いで勝ったらパパとママを生き返らせてくれるって」


モリガンは初めて笑った、クスクスではない、大きな声を出して目には涙を浮かべて泣いている。


「君、馬鹿だね!人なんて生き返るわけないだろ!?」

「でもルシファー様が………」

「嘘に決まってるじゃないか、人を生き返らせるなんてどうやれば出来るんだい?」


リバイアサンは目が点になっている、モリガンは馬鹿を見るような笑みで見下している。


「じゃあ君は親を生き返らせるために悪魔になったのかい?」

「そうだよ、僕の腕輪は海で溺れて死にそうになった僕を助けてくれたパパとママなんだ、僕のせいで死んだから僕が助けたいんだ」

「奇遇だね、僕の腕輪も両親なんだよ」


再び目が点になるリバイアサン、事あるごとに似ている二人、そして、正反対の二人。


「だけど僕は両親をこの手で殺したんだよ、盗み、破壊、暴力、11歳で犯罪っていう犯罪に手を染めたよ、でまぁ、そうきたら殺すでしょ?一番身近な両親を殺したらコレだよ、本当、嫌になっちゃうよね。

って僕は何でこんなに饒舌になってるんだ?この事を初めて話した相手が君だなんて、本当にあり得ないよ」


モリガンは立ち上がってシヴァの鎖を掴んだ、そしてリバイアサンを足でひっくり返してうつ伏せにする。


「神に戻りたくないかい?」

「そんな事出来ない―――」

「ってルシファー様が言ってたのかい?」


リバイアサンは頷いた。


「ルシファーを信じるか、僕達を信じるかは君次第だね」


モリガンはシヴァをリバイアサンの背中に軽く当てた、リバイアサンは慌ててシヴァを見るが動くに動けない。


「そんなの無理だよ!」

「まぁダグザならどうにかしてくれるんだろうね」

「ダグザ?」

「あぁ、恐らく彼の頭の回転の早さは世界一だよ、どうする?」


リバイアサンは何かを考えている、モリガンはそれをイライラしながら見ている。


1分、5分、10分、刻々と時間が過ぎていく、そしてモリガンの痺れが切れた。


「グラビテーション【重力】!」


シヴァにリバイアサンが張り付き、シヴァが風船のように浮き上がった、モリガンはシヴァを風船を持つように鎖を持った。


「さて、バチカンに戻してくれよ」

「僕はまだ何も言ってない!」

「あっ、反抗するの?」

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!苦しい!苦しいって!」


シヴァの重量が軽くなり、リバイアサンに対する重量が重くなった、そして更に過重がかけられる事により息苦しくなる。


「どうする?」

「分かった!バチカンに戻すよ!」

「それで良いんだよ」


波打ち際に現れる黒い穴、モリガンは風船のようになったシヴァを持ちながら黒い穴に向かう。

モリガンが黒い穴に入ったのは良いが、浮いているシヴァはリバイアサンを挟んで黒い穴に引っかかってしまった。


「痛い痛い痛いよぉ!」

「もう、うるさいなぁ」


モリガンは一度黒い穴から出て、シヴァを掴んで先に黒い穴に放り込んだ。

そして再びモリガンは黒い穴に入って行った、しかしモリガンは大きな事を忘れている、それは地面に散らばった仮面。





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