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30:戦鼓


Vatican VCSO headquarters


あの会議から2日が経った、全員が焦燥感や虚無感を感じながら過していた、何もする事はないが何かしたいという事はない。


いつもより活気が無い本部塔、嵐の前の静けさ、しかしそれを引き裂くように本部塔に警報音が鳴り響いた。


『広場に悪魔が現れたよ!神選10階は至急バチカンの広場へ直行して!』


本部塔が一気に慌ただしくなり、本部塔にいる全員が動き出した。


バチカンの広場には赤黒いローブをはおった悪魔が立っている、そして続々と本部塔から出てくる神選10階。

全員の手には既に得物が握られていた、悪魔はフードで誰かは確認出来ないが威圧感は相当のものだ。


「貴様一人か?戦いに来たようではなさそうだな」

「…………………」

「何をしに来た?」

「…………………」

「答えられな―――」

「悪いッスね、着替えてて時間かかっちゃったッスよ」


緊張感の欠片もないヘリオスがダグザの隣に行った、そして悪魔を睨んだ瞬間一歩前に出た。


「あ、阿修羅、ッスよね?」


全員の驚きをよそに悪魔はフードを取った、そこからは黒く長い髪の毛少女が、それは元阿修羅、そして今は悪魔のアスラだ。

全員が驚きの表情を隠せないでいる、確かに阿修羅の腕輪も服も悪魔と化している、そこにいるのは今までの仲間ではない。


「阿修羅!やっぱり戻って来たんスね?」

「…………………」

「何か言ったらどうッスか?」


アスラは強くヘリオスを睨んだ、それは悪魔としての覚悟を携え、ホーリナーに戻る意思が無い事を示している。


「ヘリオス、もうコイツは悪魔だ、俺様が殺す」


タナトスがスケイルを振り上げた時、アスラは腕を振った、その瞬間アスラの後ろに9つの黒い穴が現れる、タナトスは立ち止まりアスラを睨んだ。


「何の真似だ?」

「殺し合いよ」

「何言ってるんスか阿修羅?」

「私はアスラ、そして、私達は貴方達を殺したい」


アスラが私達と言った事はアスラ自身が自分を悪魔と認めた事、そして殺したいというのも本心、アスラは全てを憎み、アスラとヘリオスを引き裂いた全てを壊したいと願っている。


「始めましょう、どちらが生き残るか正々堂々と」


アスラはそのまま黒い穴の中に消えて行った。


「阿修羅!」


ヘリオスはアスラの後を追って黒い穴に入って行った、それを追おうとタナトスが入ろうとしたが、ダグザが腕を掴んで引っ張り制止した。


「何しやがる!?」

「貴様、穴がいくつあるか数えろ」

「………………9だ」

「俺達も9人だ、つまり一人一殺、それしかない」

「全員で一気に一人を殺せば早い話だろ!」

「馬鹿か、悪魔を抑えるためには全員を一気に潰さなきゃ話にならん、つまりアスラにはヘリオス一人だけだ」


タナトスは唇を噛んでダグザを突き飛ばした、そして適当な所に立つ。


「テメェらせいぜい死ぬな」


初めてタナトスが見せた気遣い、それだけを残してタナトスは黒い穴の中に消えて行った。


『僕も行こうかな、皆、死体回収とか面倒だから自分で帰って来てよね』


これもモリガンなりの気遣い、そしてモリガンは黒い穴の中に消えて行った。


「ククルカン、ぜってぇ生きて帰っで来るんだ」

「余裕余裕、ユピテルも死んじゃダメだよ」

「分がってる」


ユピテルとククルカンはギリギリまで手を繋いで黒い穴に消えて行った。


「かったりぃなぁ、ささっと殺って帰ってくるか、アタイだけ死ぬってのシャレになんないよな」


アルテミスは欠伸をしながら黒い穴へ入って行った。


「さて、行きますか」

「………………メルポメネ」


アストライアはメルポメネの腰の辺りを掴んだ、しかしメルポメネはそれを振り払う。


「最後まで甘えないでください、私は助けられませんよ」


そのままメルポメネも穴の中へ消えて行った、残されたアストライアは泣いている。


「アレはメルポメネなりの気遣いだ、一番心が弱い貴様へのな」


ダグザはアストライアにハンカチを渡して穴の中に入って行った。


「………………生きる」


最後に一言だけ残してアストライアは黒い穴に入って行った。

そして全員が入った瞬間、全ての黒い穴が消えて殺風景な広場に戻った。



第二次ホーリナーラグナロク、後にそう呼ばれる大戦の幕開け。





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