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28:絶望


Japan VCSO Japan branch office


毘沙門天は日本支部に帰るのと同時に本部へ帰って行った、タナトスとヘリオスは阿修羅の護衛のため、阿修羅が帰るまでは帰れない、当の阿修羅は任務が入らないために暫くは日本支部にいるらしい。


阿修羅達は緊那羅がいる病室に入った時、緊那羅は既に体を起こして摩和羅女と話していた、阿修羅は緊那羅が元気なのを確認すると、小走りで緊那羅に近寄った。


「緊那羅、もう大丈夫なの?」

「大丈夫だよ、摩和羅女から聞いたけどあんたの方がヤバそうじゃない、SPも1人増えてるし」


緊那羅はヘリオスとタナトスを見た、護衛として補充されたタナトスを見るのは初めてだが、無愛想で不気味、ヘリオスは笑顔で緊那羅を見ているが、タナトスは誰も見ようとせずに違う方向を見ている。


「あぁ、あれね、あれは気にしないで」

「俺様をあれ呼ばわりするな、俺様にはタナトスっていう立派な名前がある」

「別に良いじゃない、あれだろうがこれだろうがそれだろうが」


タナトスはイライラしながらもいつもの様に食い付かない、それはあらゆる意味で阿修羅だからだ、しかし阿修羅はそれに気付いてやってるわけじゃない。


「俺はあれでも良いッスよ」

「テメェ馬鹿だろ?何が良いのか俺様には理解出来ない」

「阿修羅に呼ばれるだけで満足ッスよ」

「阿修羅、あんた豊作ね」

「な、何がよ?」


緊那羅はさぁねとはぐらかし、摩和羅女を見た、その摩和羅女はタナトスを見ながら震えている、緊那羅は首を傾げてタナトスを見るが、震えるような事は何一つ無い。


「摩和羅女、どうしたの?」

「あ、アイツ怖い、アタシは嫌いだ」

「テメェ、嫌われるのは慣れてるが見ず知らずの奴に嫌われる筋合いはねぇ、訂正しろ」

「ちょっとあんた、摩和羅女が怖がってるんだから止めなさいよ」

「テメェもだ、俺様に口出しするな」


緊那羅の表情が変わった、久しぶりに見せた緊那羅のキレた顔、タナトスはそれに更に怒りの表情で返す、二人の睨み合いにあたふたするヘリオスをよそに、阿修羅は余裕の表情で摩和羅女を外に出した。


「あんた神選10階だからって調子乗り過ぎじゃないの?」

「誰に向かって口利いてる?」

「ロン毛の狂犬色男」


阿修羅とヘリオスは思わず吹き出してしまった、後ろでクスクス笑う阿修羅とヘリオスをよそに、タナトスは顔を真っ赤にして緊那羅を見てる、緊那羅のその勝ち誇った顔。

タナトスは侮辱や罵声には慣れていたが、このように外見の事で何かいわれるのには免疫が無いらしい、緊那羅はそれを狙わずに突いた。


「あらどうしたの?色男さん」

「て、テメェ!馬鹿にするな!」


タナトスは緊那羅の胸ぐらを掴み上げた、しかし顔は真っ赤で若干たじろいでいる。


「馬鹿にしてないわよ、本当の事を言ったまで」


タナトスの胸ぐらを握っている手に力が入らなくなり、更に真っ赤で情けない顔になった、長い間タナトスと一緒にいたヘリオスでも見たことの無い表情。


「可愛い顔も出来るじゃない」


緊那羅の最後の一撃、タナトスの手から緊那羅の胸ぐらがスルリと抜け、タナトスは軽く後退りした後、小走りで病室を抜け出した。


「緊那羅最高、あんなタナトス初めて見た」

「凄いッスね、あのタナトスを負かすなんて」

「そうかな…………」


緊那羅は上の空、阿修羅もヘリオスも首を傾げて緊那羅を見る。


「彼、案外良いかも」


硬直する二人、しかし緊那羅の顔は大マジだ、阿修羅はどう聞こうか悩んでる時、マイクのスイッチが入る音がした。


『支部内に敵影!只今タナトス様が交戦中、阿修羅様とヘリオス様は至急加勢を、他のホーリナーは緊那羅様の護衛を!』


その瞬間阿修羅とヘリオスが走り出した。




2人が外に出ると血まみれで地面に倒れているタナトス、そして血で濡れた2振りのクレイモア、髭切を持ったルシファーがいる。

タナトスはピクリとも動かずにうつ伏すに倒れたまま。


「弱い護衛だ、話にならん」

「ヘリオス気を付けて、タナトスがココまでって事は他にいるかもしれない」


ルシファーは高笑いをした、腹を抱えて目には涙を浮かべながら笑っている。

阿修羅とヘリオスは警戒して腕輪に触れた、阿修羅は長刀、名は夜叉丸、ヘリオスは片手剣、名はレーヴァテイン。


「ココには俺一人だ」

「嘘よ!タナトスが負けるわけがない」

「そうッスよ!タナトスがこんな簡単に………」


阿修羅は怒りの表情を浮かべた、血が熱い、中から熱せられてるように熱い、そして噴き上がるような感覚と共に、髪と目が真っ赤に染まった。


「巫女の力を既に使いこなしてるとは、流石と言ったところだな」


阿修羅はベロシティ【光速】でタナトスに近寄り、タナトスを抱き上げて戻って来た、すぐさま救護班が来てタナトスをタンカーで運んで行った。


「殺るわよ、ヘリオス」

「余裕ッス!」


まず阿修羅がベロシティ【光速】で斬りかかる、しかしルシファーは顔色一つ変えずに凄まじい速さの阿修羅を受け太刀した。


「インフェルノ【烈火】!」


阿修羅が後ろに避けると上からヘリオスがルシファーに斬りかかる、ルシファーは熱に耐えながら受け太刀し、もう一方の髭切で斬ろうとするが、ヘリオスはスルリと避けてしまった。

そしてヘリオスの後ろからは阿修羅の漆黒の刃が、ルシファーは体を開いてるために防ぐ事が出来ない。


「プロテクティブ【防護】」


ルシファーの体が薄く光り、漆黒の刃が当たったが、ルシファーの体には傷一つ付いていない。


「あり得ない、そんなのあり?」

「ベロシティ【光速】!」


驚きを隠せない阿修羅をよそに、ヘリオスは斬りかかるが、体に当たれど傷は付かない。


「温い、温すぎる」


ヘリオスはルシファー一閃をギリギリで避けたが、肩に軽く傷を負った。


「先の男も同じような顔をしていた」

「ルール違反ッスよ」

「ルールとは弱き者の泣き所だ、強き者を許さないただの枷にすぎなのだよ」


ヘリオスを唇を噛んだ、完全に希望が消えた、そしてタナトスが負けた意味を理解した。

ルシファーのその嘲笑うような笑み、2人は最後の望みと2人で斬りかかるが、ルシファーの体に当たれど傷は付かない。


「ハハハハ!愚かだ、勝てぬと分かっていてもなおも戦う、何とも愚かで、哀れだ」


ルシファーは2人を薙払った、2人は受け太刀をするが、力で押されて吹っ飛んでしまった。

そしてルシファーの矛先はヘリオスに向いた、髭切を投げ飛ばす、ヘリオスは何とか体制を立て直して髭切を受けようとするが………


「エクスプローション【爆発】」


ヘリオスを受けたのと同時に髭切が爆発した、その力は強大でヘリオスは更に吹き飛ばされてしまった。

それを追撃するようにルシファーは走り、フラフラのヘリオスに追いつく、ルシファーは頭を掴んで地面にたたき付ける。


「クッ!」


食い縛った歯の隙間から血が漏れた、そしてルシファーは不気味に笑うとヘリオスを見下した。


「コラプス【崩壊】」

「うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


ヘリオスは耳をつんざくような悲鳴を上げ、体を反らせた後に動かなくなった、ルシファーが手を退けると、そこからは白眼を剥いて生きてるようには思えないヘリオスが、現にヘリオスのレーヴァテインは消えた。


「ヘリオス!」


阿修羅はルシファーの事を気にせずにヘリオスに近寄った、外傷は少ないが息をしていない。


「ヘリオスに何をしたの!?」

「コラプス【崩壊】、つまり心肺機能そのものを壊した、機関には傷付けずに生命を絶つにそれしかない」

「ヘリオスは、しんだの?」

「あぁ」


阿修羅の髪と目は元に戻り、目からは涙が溢れ出した、シャーリに続きかけがえのない存在を失った阿修羅、既に闘志はなくなっていた。


「何故首をはねなかったか分かるか?」

「…………………」

「致命傷があると生き返らせられないからだ」


阿修羅の目に力が戻りルシファーを見た、ルシファーは優しい笑みを浮かべて阿修羅を見下ろす。


「俺達の仲間になればそいつを生き返らせてやろう」

「そんなの誰が信じると思ってるの?」

「悪魔になり何にも縛られなくなった天竜の巫女の血は、死者には生を、生者には永遠の命をもたらす」


阿修羅は息を飲んだ、コレは確実に阿修羅を悪魔にする口実だ、しかし確認しない限りには嘘とは言えない、そこまで阿修羅は思考回路がニブっていた。


「でなければ貴様など求めない」


いやに説得力を持っていた今の一言、普段の阿修羅なら否定するのだろうが、目の前に息をしていないヘリオスがいては別。


「嘘だったら殺すわよ」

「構わない、この場で貴様を殺さない、それだけで信頼に値すると思うがな」

「分かったわよ、貴方達の仲間になってやろうじゃない、ヘリオスのタメなら悪魔に堕ちても良い」


阿修羅はヘリオスを抱いて立ち上がった、ルシファーはすぐそこに黒い穴を作り入るように促す。


「阿修羅!」

「………緊那羅」

「あんた何処に行くのよ!?」

「ゴメンね、緊那羅」

「阿修羅!待ちなさいよ!それでヘリオスが喜ぶとでも思ってるの!?」


阿修羅は緊那羅の制止を振りきって黒い穴に入って行った、そしてルシファーも入ると黒い穴は消え、緊那羅はその場に泣きながら崩れ落ちた。



全てが狂い始め、世界が急激に終焉へと向かい始めた瞬間だった。

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