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20:妹


Japan VCSO Japan branch office


阿修羅とヘリオス、つまり神選10階が日本支部に来た理由を話すと、いくら楽天家な沙羯羅しゃがらでも顔が曇った。

悪魔の事を知らずとも行っている事からその力の大きさは分かる、しかも神選10階レベルの緊那羅きんならのみならず、まだまだ新米の沙羯羅までもが狙われている、つまりホーリナーで目障りな者は殲滅する、悪魔からの宣戦布告に等しい。



だが沙羯羅の興味は悪魔に狙われてる自分や緊那羅、ましてや狙っている悪魔でも無い、阿修羅の隣で眩しい笑顔を放っているヘリオス。

それは獲物を狙う獣の目ではなく、奇怪なモノを見るような目でもない。

品定、この中では一番‘女’に近い沙羯羅の目は見通していた、少なくともヘリオスのキモチは。


「阿修羅ぁ!俺何か悪い事したッスか?」

「はぁ、いきなり何?」

「何か沙羯羅がさっきから怖いッスよ」


阿修羅が呆れて沙羯羅を見ると確かに怖い、敏腕刑事の洞察眼よりも嫌な眼をしてる、タナトスが睨む方がましかもしれない。


「しゃ、沙羯羅、何してるの?」

「………………」

「こ、怖いっすよ」


遂にヘリオスは阿修羅の後ろに隠れてしまった、阿修羅もヘリオスを守るように後退りする。

しかしそれよりも速く沙羯羅は二人に近寄り、ヘリオスの顔を舐め回すように睨む。


「…………阿修羅ぁ」

「はぃ!?」

「阿修羅!良い男を釣ったね!」


沙羯羅以外目が点になる、沙羯羅は晴れ晴れとした笑顔で腰に手を当ててふんぞり返る。


「超イケメンじゃん!流石阿修羅、やっぱり阿修羅は私の見込んだだけあるわね」

「沙羯羅、全く話が読めないんだけど?」

「だからぁ………」


沙羯羅は阿修羅と肩を組んで引き寄せると、誰にも聞こえないような声で話す。


「ヘリオスって人の事好きなんでしょ?」

「ば、馬鹿言わないでよ!」

「まぁまぁ、他の人は騙せても私は騙せないよ」


一人で盛り上がる沙羯羅をよそにヘリオス以外の男性陣は早々と撤退した、緊那羅も摩和羅女も呆れて言葉が出ない。

沙羯羅は一人で何かブツブツ言いながら阿修羅とヘリオスを批評している、そんな沙羯羅に阿修羅は頭を抱えてため息を吐いた。


「摩和羅女、帰るよ」

「緊那羅、沙羯羅を止めないのか?」

「あんたも分かるでしょ?沙羯羅がああなったら止まらないって事に」

「はぁ、やっぱり治ってないんだ………」


そう、沙羯羅の暴走癖は前々から、とくに恋の事になると全く周りが見えなくなる、現に帰ろうとエレベーターに乗り込む阿修羅達に全く気付かない。

可哀想なので一応緊那羅が声をかけたが、全く反応せずに自分の世界に入っている、それを見て阿修羅は迷わずにエレベーターの扉を閉めた。


そして一人取り残された事に気付かない沙羯羅は手をポンと叩き、晴れた顔で振り向いた!


「そうだよ阿修羅!つまり……………、ってまた誰もいない!まぁ良いか、二人とも幸せそうだったし」


沙羯羅は全く気にせずに笑顔でエレベーターに乗り込んだ、一人にされても全く気にしないそのポジティブさ、そこだけは阿修羅も尊敬している、他は尊敬どころか褒誉にすら値しないのだが。







一夜が明けて朝食の時、見慣れない日本食だがヘリオスが喜んで食べてる時だった、ビリビリと嫌な空気が辺りに張りつめる、日本支部内とは思えないような空気、さながら戦場のような嫌な空気だ。


「阿修羅、来たの?」

「違う、これはエビルユニオンと霊のダークロードの群れ」

「ちょっとおかしくない?ココって神様に守られてるんでしょ?あんな汚物に入れるわけないじゃん」


沙羯羅はたくあんを口に放り込みながらぼやいた、そう、VCSOの本部、支部共にダークロードでは入れないようになっている。


「大丈夫なのか!?阿修羅、アタシ達襲われちゃうぞ!」

「大丈夫よ摩和羅女―――」

「阿修羅様ヘリオス様!総員配置完了と共に抗戦を開始しました」

「ありがとう、シャーリ」


そこにいるのはソルジャーになったばかりのシャーリ、二人はニッコリと笑うと阿修羅は立ち上がった、それにつられて約一名を抜いて立ち上がる、その一名は摩侯羅迦まごらか

摩侯羅迦は未だに専用の肉にかぶり付いている、摩醯首羅まけいしゅらは動じずに摩侯羅迦を持ち上げ、窓に向かって放り投げた。

窓ガラスを割って摩侯羅迦は下に落ちる。


「うぇえ!?そんな事して良いんスか!?」

「問題ない」


摩醯首羅もそのまま飛び降りた、それに釣られて摩和羅女も飛び下りる。

迦楼羅は腕輪に触れた、得物は鎖鎌、名は首切。

迦楼羅は鎖を逃げようとする金色孔雀に巻き付ける。


「ボスも参戦でしょ?」

「あははは、バレちゃった?」

「バレバレ」


迦楼羅はそのまま窓から飛び降りた、金色孔雀は引きずられながら窓から落ちて行った、それを見てヘリオスは興奮して飛び降りようとするが、阿修羅に掴まれて全く進まない。


「はぁ、ヘリオスは護衛でしょ?」

「嫌ッスよ!俺も飛び降りたいッスよ!」

「阿修羅、ダーリンとの茶番劇は終わりそうだよ」

「本当だ、あそこ見てみなよ」


ホーリナーが飛び降りた窓ガラスとは反対側の窓ガラス、それを見る緊那羅と沙羯羅の視線の先には黒い穴が空いている、そこから赤黒いローブが落ちた、そして別の赤黒いローブが穴の淵に立っている。

4人が睨む悪魔はフードを脱いで4人を睨んだ、真っ黒の長い髪の毛に鋭い瞳、冷たいその瞳は阿修羅を連想させる。


「久しぶりだな、緊那羅」

「今はルシファーだったっけ?帰れば?死ぬよ」

「後ろにいるのは………、ふっ、神選10階か」


ルシファーは嘲笑うように微笑んだ、まるでココに神選10階がいるのが分かっていたかのように。

そしてそのままルシファーが落ちると4人も腕輪に触れながら落ちた、阿修羅は長刀夜叉丸、ヘリオスは片手剣レーヴァテイン、緊那羅は刀と鞘羅刹、沙羯羅は弓幹が刃の弓菊理姫。

沙羯羅は飛び降りる途中で2人の悪魔に大量の矢を放った、それは雨のように2人に降り注ぐ。


「速い、そして無駄がない」

「ルシファー様!やっぱあの雌すげぇな!くうぅぅ、グッチャグチャにしてぇ!」


興奮して取れたフードからはスキンヘッドで大きい瞳、大きな口をした悪魔の顔が覗いた、そして悪魔は腕輪に触れた、得物はモーニングスター、名はパイネル。


「やれシトリー」

「リョーカイッ!」


シトリーは頭の上でパイネルをグルグルと回し、矢を全て弾き飛ばした、それどころかあまりの広範囲で回してるため、4人が着地するスペースがない、このままでは4人はあっけなくミンチになってしまう。


「沙羯羅!」

「OK!行っくよぉ………」


沙羯羅は再び菊理姫に矢を構え、思いっきり引いた、そしてそのまま矢を放ったが、ルシファーやシトリーに当たる気配は全く無い。


「大ハズレッスよ!」

「はぁ、まだミンチになりたくない」

「二人とも沙羯羅を見くびりすぎじゃない?」

「エクスペンション【拡大】!」


矢は巨大化すると、そのまま地面深く突き刺さった、パイネルは巨大な矢に当たり、鉄球の重みでグルグルと巻き付いた。


「スゲェ!あの雌あったま良い!」


関心してるシトリーをよそに4人は地面に着地した、シトリーはパイネルを戻すと全く構えず、地面に鉄球を落としたまま。

4人のすぐ近くではソルジャーとダークロードが交戦している、そして一番近くではシャーリが戦っていた。


「一つ問おう、悪魔になれば生かす、ならぬのなら殺す、さぁどちらを選ぶ?」

「はぁ、それではい行きますって言う人がいると思う?」

「阿修羅、お前は必ずこちら側の住人になるだろう、俺と同じ血が流れているのだからな」


4人の表情は驚きが隠せないようだ、阿修羅とルシファーは血が繋がっている、その意味は…………


「その反応からまだ覚醒していないな?」

「覚醒?それなら私は貴方にホーリナーにされた」

「それは最低条件だ、さぁ阿修羅あすらの正当後継者‘天竜の巫女’にして我が妹よ、その力を俺にしめしてくれ」























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