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19:帰還

長らくお待たせしてすみませんでした、作者の個人的事情で連載が滞ってた事をお詫びします。


これから物語がクライマックスに向かって動き出します、作者もピッチを上げて執筆しますので、どうか最後までお付き合い下さい。


Japan airport


阿修羅とヘリオスは調度空港から出たところ、VCSOは各国の空港を使用している、バチカンの権力や協力者を使ってそれを可能にした。


今回は日本支部に一番近い関西国際空港を使用した、そして空港の倉庫には赤いオートバイがある、阿修羅が前もって頼んでおいた物だ。

阿修羅はヘリオスを促してバイクに跨った、ハンドルには簪が刺さっていて、阿修羅は簪で髪の毛をまとめた。


「日本支部は自由過ぎるから、そこまでの交通手段も自由なの」

「何か楽しいッスね!」


阿修羅はニヤリと笑ってエンジンをかけた、図太い音が倉庫に響き渡る、ヘリオスがしっかりと捕まったのを確認すると、ほぼフルスロットルでスタートした。

前輪が持ち上がったのにヘリオスは声を上げ、笑いながら阿修羅の服をしっかり掴んだ。



京都府に入った時、携帯電話がスカートのポケットで鳴った、ヘルメットを着けていなかったのでなんとか聞こえた。


「私のポケットから携帯取って!」


叫ぶようにヘリオスに言った、ヘリオスはビックリしてスカートに視線を移し、恐る恐るポケットに手を入れる、浅く手を入れて指先で携帯を取り出した。


「日本支部ッスよ!」

「私手が離せないから私の耳に当てて!」


ヘリオスは通話状態にして阿修羅の耳に携帯を押し当てた、阿修羅は前傾姿勢のためにヘリオスは阿修羅に抱きつくような状態になり、浅黒い頬を赤く染める。


「もしもし?」

『阿修羅!?俺だよ俺、金色孔雀だよ』

「ボス?今そっちに向かってるところなんだけど」

『その前にさぁ、毘楼勒叉びるろくしゃ毘楼博叉びるばくしゃの援護に行ってほしいんだ、なんかステージ5にエビルユニオンが混ざってるみたいだから、地図は携帯に送るよ』

「はぁ、分かったわよ」


阿修羅が軽く首を動かすとヘリオスは携帯を耳から離した、その瞬間に携帯に衛星からの地図が送られて来る。

ヘリオスは訳が分からずに阿修羅の顔の前に携帯を出した、それにより更に密着した形になる。


「………ってあぁ!」

「な、何スか!」

「今降りる所過ぎた!」

「それヤバくないッスか!」

「しょうがない、しっかりつかまっててよ!」


阿修羅はハンドルを思いっきり切ると、ブレーキを踏んでドリフトUターンする、ヘリオスは振り落とされないように阿修羅にしがみつくが、そんな事をしてる自分が恥ずかしくなってしまった。


高速道路でUターンすれば物凄い勢いで車が迫って来る、阿修羅はそれを軽々と避けながら先ほど通り過ぎた所から高速道路を降りた。

高速道路を降りてから間も無く目的地に着いた、元は大きな墓地だった所は更地になっている、そしてそこには大量のステージ5とエビルユニオン、それを挟むように毘楼勒叉びるろくしゃ毘楼博叉びるばくしゃがいる、得物のハンドアックス、右京と左京でジャグリングをしているが二人は頭から血を流し肩で息している。


「飛ばすわよ!」

「OKッスよ!」


後ろで立ち上がったヘリオスを弾き出すようにバイクが横になる、ヘリオスは弾丸のように跳び上がると同時に腕輪に触れた、得物は片手剣、名はレーヴァテイン。


「インフェルノ【烈火】!」


レーヴァテインから火が出る、そしてダークロードの真ん中に降り立つと、近くのエビルユニオンを一瞬で斬り伏せた。


「「誰だよあれ?」」

「私の仲間よ」

「「阿修羅!?」」


二人は希望に満ちた目で阿修羅を見てその場から退いた、阿修羅は簪を取りバイクのハンドルに刺し腕輪に触れる、得物は長刀、名は夜叉丸。


「阿修羅が何でココに?毘楼博叉びるばくしゃ知ってるか?」

「知らない知らない、でも良いタイミングだね」

「ココからは神選10階の仕事よ」


阿修羅は両手で夜叉丸を握るとダークロードの群れに突っ込んだ、既にかなりの量が減っているダークロード、例の如くヘリオスの周りは火の海になる、阿修羅はその海に躊躇無く入り、他のダークロードを斬り伏せる。

双子の二人は神選10階の阿修羅と自分達の知ってる阿修羅を照合してみるが、全くもって別人、強さが比にならないくらいに上がっている、それに驚きを隠せないようだ。


ヘリオスと阿修羅が炎に包まれ見えなくなった頃、毘楼勒叉と毘楼博叉の応援に来た摩和羅女まわらにょの車が停まった、中からは緊那羅と摩和羅女が目を丸くして出てきた。


「緊那羅、何か凄い事になってるぞ」

「私達って消防師じゃないよね?」


中に人がいるなど想像もしてない二人はそれを眺める事しか出来なかった、そしてヘリオスが全てを斬り伏せて得物を戻した時、火が全て消えてヘリオスと阿修羅の姿が見えた。


「「阿修羅!」」

「摩和羅女?緊那羅!?」


走って阿修羅に抱きついた緊那羅と摩和羅女の背中に阿修羅は手を回した。


「阿修羅!嬉しいぞ、帰って来てくれたんだな」

「はぁ、一応任務で来たんだけど」

「私がいるのに?それに新人も強いから必要無いよ」

「うわぁ、日本支部って可愛い子ばっかりッスね」


阿修羅の後ろから覗き込んだヘリオスに摩和羅女と緊那羅は驚き、一歩退いてしまった、明らかに日本人では無いところを見ると任務というのを納得し、更に神選10階が来た理由がわからなくなったらしい。


「はぁ、あのボス、また説明してない」

「でもあんた達が出てきたって事はヤバいんだよね?」

「緊那羅、貴女の命がね」


日本支部の面々の顔がこわばった、今や緊那羅は神選10階にも匹敵する力、それを脅かす程の力が日本に迫ってるという事。


「それに新人もッスよ」

「そう、私が抜けた後に入った新人も危ないらしいわよ、神徳が何か知らないけど、かなり強いのよね?」

「神徳は無い、ただ神技を早く覚えて、応用力があるだけ」

「でも沙羯羅しゃがらは凄いんだぞ!一人でステージ5を30体、しかも一瞬で殲滅したんだ、いくら神選10階でも無理だろ」


阿修羅とヘリオスの驚きを見ればどれだけ凄いか分かる、どれだけ頑張ってもそれだけの霊を一瞬で殺す事など不可能。


「あれッスよ!神技が凄いんスよね?」

「ただ大きくしたり小さくしたりするだけ、私や阿修羅みたいに前衛向きじゃないしね」

「会ってみたいわね」

「なら戻ろう!」


摩和羅女は車をすぐ近くにつけると、バイクを特殊な車に装着する、そして全員摩和羅女の運転する車に乗り日本支部に向かった。













Japan VCSO Japan branch office


久しぶりの日本支部に感傷に浸る暇も無く摩和羅女とヘリオスが飛び出した、阿修羅はため息と共に二人の後を追う、隣には色々話がしたい緊那羅、阿修羅はココがホームだと改めて実感した。


「阿修羅の彼氏は元気ね」

「か、彼氏じゃないわよ!」

「そうなの?ずいぶん仲が良かったけどね」

「そ、そうかな?普通だと思うわよ」

「私の目は誤魔化せないよ、私的にはもっとワイルドで大人で自己チューで陰があって、他人を寄せ付けないような人が良いけどね」


阿修羅には一人だけ緊那羅のタイプど真ん中の人物を知ってる、ソルジャーを殺す程ワイルドで、一応他人を思いやる大人なところはある、自己チューなのは恐らく天下逸品、陰はありすぎてどれから触れたら良いか分からない程、他人など阿修羅とヘリオス以外は近寄ろうとしない。


「今度神選10階の人を紹介してあげるわよ、緊那羅にピッタリな人がいるからね」

「何かあんたに男を紹介されるのは気にくわないけど、お言葉に甘えとくよ」


阿修羅は優しく笑うとヘリオスと摩和羅女が待ってるエレベーターに乗った。


エレベーターは最上階に着くとそこには迦楼羅かるら摩醯首羅まけいしゅら、そして金色孔雀がいる、変わっていない二人に思わず阿修羅から笑みが溢れた。


「神選10階第1階と第10階、カミゥムマーンの命により緊那羅、及び沙羯羅の護衛に参りました、お二人は私達二人でお守りします」


神選10階としての挨拶を済ませる阿修羅の横で呑気に欠伸をするヘリオス、任務も本番以外は緊張感の欠片もない、しかし、一度任務になれば絶対的な力で相手を灰にする笑う太陽。


「阿修羅久しぶりだね」

「阿修羅の噂、俺も耳にする」


迦楼羅は小さく笑い、摩醯首羅は襟やらフードやらサングラスで表情は分からないが、声色は優しい。

そして阿修羅達の後ろでエレベーターの停まる音が鳴った、恐らく最後の二人、沙羯羅と摩侯羅迦まごらかの到着だ!


「ボス!何よあれ!?嘘依頼もいいところよ!もー最悪、エビルユニオンだよエビルユニオン!あぁムカつく!ビックリして汗かいてメイクが落ちちゃったじゃない!」


沙羯羅は七分丈の細身のジーンズにキャミソール、そしてカミゥムマーンの刺繍が入ったカーディガン。

明らかに不機嫌な沙羯羅は腕を組んで後ろを向くと、目の前にはあの阿修羅がいる、そして阿修羅は沙羯羅を、沙羯羅は阿修羅を見て固まった、そして暫くの沈黙。


「志穂!?」

「小町!?」


大きすぎる声が会議室にこだました、阿修羅と沙羯羅以外は耳を塞いでいる。


「こ、小町だよね?あの小町だよね?」

「そっちこそ志穂よね?」

「今は沙羯羅………」

「私は阿修羅………」


二人の目には少しずつ涙が溜まり、静かに流れ落ちた、そこにいる面々は二人の状況を理解するに至らない。


「嘘でしょ?小町があの阿修羅?」

「それは私のセリフよ、貴女全然霊が見えなかったじゃない、あの時もルシファーが見えなかったし」

「どうしたんスか?沙羯羅って阿修羅の神になる前の友達なんスか?」

「そうよ、もう会えないと思ってたのに…………」


そして阿修羅の涙は激しさを増し、見かねた沙羯羅がそっと抱き寄せた、阿修羅の無いたところを見たことの無い男性陣はしどろもどろ。


「小町………じゃなくて阿修羅、久しぶり」

「嬉しい、ありがとう」

「おかしいと思ったんだよ、阿修羅がいなくなった途端みんな阿修羅の事忘れちゃうんだもん」

「えっ、私の事覚えてたの?」

「当たり前だよ、友達だもん」


阿修羅は金色孔雀を睨んだ、金色孔雀は知らないと言わんばかりに明後日の方向を見て口笛を吹いてる。


「ど、どうしたの?」

「沙羯羅、何で自分が他人に見えてないとか、ホーリナーの事を知らなかった事とかを疑問に思わなかった?」

「全然」


沙羯羅のハキハキとした即答にため息だ出た、阿修羅は自分に言い聞かせる、全て日本支部が悪い、それに沙羯羅は超ポジティブシンキングだからしょうがないと。


「私達はホーリナーとダークロードの記憶にしか残らないの、過去も未来もね」

「そうなの!?」

「(それより何で沙羯羅の記憶には残ってたの?これも神に愛されてるから?)」


沙羯羅は目を丸くして金色孔雀を見ると、金色孔雀は椅子に座って背を向けている。

沙羯羅は怒り机の上に乗るのと同時に腕輪に触れた、得物は弓幹が刃の弓矢、名は菊理姫。

矢は金色孔雀の頭に垂直に突き付けられている、このまま放てば体を一直線に矢が貫く。


「何で言わなかったのよ?」

「ほ、ほら、必要無いだろ?」

「本当に?嘘だったら貫くからね」

「め、面倒だから………」

「はぁ、年々説明がおろそかになってる」


阿修羅が頭を抱えてる隙に沙羯羅は金色孔雀を蹴り飛ばし、壁に立たせると矢を3本握って金色孔雀に向けている。


「今日はそこにいてね」


沙羯羅が物凄いスピードで矢を放つと、金色孔雀を縁取るように矢が金色孔雀の服を射た、壁に磔になった金色孔雀はもがいて離れようとしている。


「で、阿修羅とそこのイケメンさんは何でココに?」

「はぁ、貴女と緊那羅の護衛よ」

「何でまた護衛なんて?」


沙羯羅は金色孔雀を睨みながら阿修羅に聞いた、日本支部の支部長の権限は皆無、強気なホーリナーのせいで肩身が狭い思いをしてるのはヘリオスにも分かった。











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