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16:真実


France city area


ダグザとモリガンはアパートの屋根の上でエビルユニオンを倒した後だった、建物を壊さないように戦うのは至難の技だが、穴一つで済んだ。

任務を終わらせ、帰ろうとした時だった、後ろを向いた時に目の前に黒い穴が空く。

2人は再び戦闘体制に入り、腕輪に触れた、ダグザの得物はトンファー、名はサラスヴァティー、モリガンの得物は鉄球、名はシヴァ。

更に出てきたモノを見て顔が険しくなる、金髪の短い髪の毛を逆立て、赤黒いローブをはおった悪魔が出てきた。


「また間違えたっつ〜の!何百回使っても慣れないっつ〜の」

「貴様が何故生きている?」


悪魔の後頭部にはサラスヴァティーが突き付けられている、悪魔は冗談混じりで両手を上げて舌を出した。


「何故貴様が生きている、第10階、愛神のアナンガ」

「わぁお!ダグザにモリガンじゃん、久しぶり!」

『死人が何故ココにいるんだい?悪魔に堕ちてるし』

「死人?死んで無いっつ〜の、見りゃ分かるっしょ?」


緊張感の無いその態度はダグザを苛立たせるには十分だった、そして元アナンガはそれを見逃さず、ダグザの隙をついて間合いを取った。


『珍しいね、ダグザが感情をそこまで出すなんて』

「怖いねぇ、更に怖くなったんじゃない?」

「黙れ」

「そんな怒るなっつ〜の、前から俺とお前は馬が合わなかったけどさぁ、少し大人になれっつ〜の」

「……………殺す」


ダグザが怒りに任せてアナンガに殴りかかろうとした時、シヴァの鎖が体に巻き付き、モリガンの後ろまで引っ張られた。

そしてモリガンが一歩前に出て、アナンガに顔を向けた、仮面のせいで分からないが、その威圧感から睨んでると思われる。


『ダグザらしくないね、もう少し冷静にいこうよ』

「やっぱりモリガンは分かってるねぇ、ダグザとは大違いだっつ〜の」

『君も煩いよ、僕の質問以外は喋らないでほしいな』

「なら早く言えっつ〜の」

『君は死んだはずだ、任務でタナトスの怒りに触れてタナトスに殺された、その君が何故ココにいるんだい?しかも悪魔に堕ちてるし』

「俺がタナトスの野郎に殺されたぁ?馬鹿も休み休み言えっつ〜の、俺は悪魔になるためにタナトスを殺そうとした、でも流石‘死神’だ、しぶといのなんのって、それで気付いたら逃げられてた、まぁ悪魔になるのはナイジェリアのホーリナー殺したんだけどね、だから今はアスモデウス、よろしく!」


ダグザがやっと立ち上がると、服の埃を叩き、モリガンの頭をグッと押し付けて、眼鏡を直した奥からアスモデウスを睨んだ。


「でもさぁ、おかしいっつ〜の、タナトス、アイツ大嘘吐きだぞ」

「興味深い仮説だな」

「悪魔になる条件、それは裏切り、つまりホーリナーを殺す事だ、でもタナトスは殺してる、なのにホーリナー、それっておかしいよな?」

「どういう事だ?」

「本人に聞けっつ〜の」


そう言うと、アスモデウスは後ろ向きに屋根から落ちた、二人は慌てて下を見ると、アスモデウスは中指を立てたまま黒い穴に入って行った。

ダグザは怒り、屋根にもう一つ穴を増やしてその場を去った。



















Vatican VCSO headquarters


ダグザとタナトスは、本部に戻るとすぐに会議室に神選10階を集めた、幸い全員が本部にいたため難なく集まった。


楽しみにしているヘリオス、頬杖を付いてるアルテミス、笑顔で感情が読み取れないメルポメネ、仮面で感情が読み取れないモリガン、イライラしてるダグザ、二人の世界に入ってるユピテルとククルカン、机に足を乗せてるタナトス、小さく座り緊張感しているアストライア、飽き始めている阿修羅。


「タナトス、貴様は何故ホーリナーなんだ?」

「知らねぇよ、俺様が神に愛されてるからじゃねぇの?」

「違う、何故ホーリナーを殺してホーリナーなのか聞いている」

「何が言いてぇんだよ!今頃になってそんな昔の事掘り返すんじゃねぇよ!」


タナトスは椅子を蹴り飛ばし、ダグザの所まで行くと、ダグザの胸ぐらを掴んで立ち上がらせた、しかしダグザはポーカーフェイスを崩さない。


「ホーリナーを殺したホーリナーは悪魔になるらしいぞ?」

「テメェも堕ちたな、誰から聞いた噂だ?」

「アナンガだ」


阿修羅とモリガン以外全員の顔が曇る、阿修羅はアナンガが誰なのか分からない、モリガンは仮面で表情が分からない。

阿修羅はアストライアの肩を叩くと耳打ちをした。


「アナンガって誰?」

「……………元そこ」


アストライアは阿修羅の席を指差した、つまり前に阿修羅の席に座っていたホーリナー、第10階ということ。


「アナンガ、今は悪魔に堕ちてアスモデウスが言っていた、貴様、ホーリナーを殺していないだろ?いなくなったホーリナーは何処行った?」


タナトスは舌打ちをしてその場から去ろうとしたが…………。


『グラビテーション【重力】』


タナトスの体は急に重くなり、立っているのもままならなくなって地面に叩き付けられた。


「モリガン!テメェぶっ殺すぞ!」

『本当の事を言ってほしいんだけど』

「じゃあ俺様を自由にしろ!」

『嫌だ』

「ぐぅああああぁぁぁぁ!」


重力が増し、体が地面に押し付けられる、その力により体は軋み、息をするのも困難になる、それでもモリガンを睨み続けるタナトス。


「モリガン、タナトスが可哀想だよ」

『阿修羅は黙ってて、もしかしたらタナトスは裏切り者かもしれない』

「うら、ぎりも、の、か」

『何がおかしいんだい?』

「ころ、せよ、うらぎり、もの、なんだろ?」


タナトスは汗を滲ませながら笑った、その不気味な笑顔は憎悪に満ち、モリガンですら怯ませるくらいの威圧感だった。


「もう辞めてよ!タナトスが可哀想じゃない、何がいけないの?ホーリナーがホーリナー殺してない事がいけない事なの!?」

「確かにそうッスね、阿修羅の言う通り誰も死んでないんスよ?」

「貴様ら、コイツのせいで敵が増えてるんだぞ、他の二人も悪魔に堕ちてるかもしれない、タナトスのせいで犠牲が増えてるのに見過ごせる訳ないだろ」


阿修羅とヘリオスに背を向けていたダグザが二人を見た時、喉元にに夜叉丸を突き付けられている。


「モリガン、早くタナトスを離して」

『その前に君が―――』

「そうはさせないッスよ」


ヘリオスはモリガンの後ろから、モリガンの喉元にレーヴァテインを当てている。

その間にも徐々にタナトスは衰弱していく、恐らくこのままであったら10分も持たないであろう。


「モリガン、アタイも阿修羅に賛成だよ、今タナトス殺してみな、あんたを輪切りにしてやるよ」

「うちもうちも!何かモリガンとダグザ感じ悪い」

「オラもそう思う」

「しかし私達を騙していたのも事実ですよ?」

「…………タナトス、悪い」


タナトスは様々な反応に苦笑いを浮かべた、最後の力を振り絞ったといえるような笑み、それは死期を悟ったようなモノだった。


「早く離しなさいよ!殺すわよ!」

『ムカつく』

「タナトスも悪いッスけど、今のモリガンの方が悪いッスよ」

「貴様ら、こんな事をやってただで済むと思ってるのか?」

「お互い様でしょ?」

「はや、く、…………ころ、………せ」


タナトスの口からは血が流れ出し、呼吸は不規則で荒い。


「早くしなさいよ!」

『阿修羅は仲間を殺す程鬼にはなれないだろ?』

「…………最低!」


阿修羅はダグザを蹴り飛ばすと、ヘリオスの腕の中からモリガンを引きずり出し、モリガンの肩に夜叉丸を突き刺した。


『クッ』

「仲間に刃を向けるのは初めてじゃないの」

『これくらいで僕が引く訳ないだろ』


阿修羅はモリガンの肩から夜叉丸を抜くと、モリガンの腕に突き刺した、モリガンの真っ白なローブは血で染まり、会議室で二人の間に水を挿せる者はいない。


「アブソルペーション【吸収】」

ズズズズズズズズズズ!

『クッ!ああぁぁあぁ』

「死ぬわよ?腕干からびてきたでしょ?苦しいでしょ?」

「阿修羅!モリガンが死んじゃうッスよ!」

「あんたそれはやり過ぎよ」

「うるさいわね!」


阿修羅の怒声により会議室には夜叉丸がモリガンの霊体をすする音のみが響く、そして阿修羅は妖しい笑みを浮かべてモリガンを睨む、仮面で分からないがモリガンの顔は恐れに歪んでいるはず。


『……………か、解除したよ』

「本当に?」

「ほ、本当だ」

「阿修羅、早く辞めるッスよ!モリガンが死ぬッスよ」

「エミッション【放出】」


霊体をモリガンの腕に流し込む、夜叉丸の刀身は黒から銀に変わる。

完全にモリガンに霊体が戻った時、モリガンは阿修羅を蹴り飛ばしてエレベーターに向かった。

扉が開くと同時にダグザも乗り込む、そして会議室には床に横たわるタナトスと声の出ない者だけが残った。


「テメェ、馬鹿だろ?」

「私に言ってるの?」

「他に、誰がいる」

「はぁ、命の恩人に向かって馬鹿よばわり?恩知らずも良いところね」


阿修羅がタナトスを鼻で笑うと、タナトスは口から血を吐き出して笑った。

阿修羅に恐れを感じていたヘリオスは、元に戻った阿修羅に安堵の色を浮かべたが、服を引っ張られ無理矢理現実に戻された。


「アストライアッスか」

「……………任務」

「マジッスか?」

「………………怒られる」

「分かったッスよ、あ〜あ、ダグザのせいで阿修羅と遊べなくなっちゃったッスよ」


ヘリオスは愚痴を溢しながらエレベーターに乗り込むと、阿修羅と倒れて動けないタナトス以外がエレベーターに乗り込んだ。

阿修羅は近くにあった椅子に座ると、寝返って仰向けになったタナトスを眺めた。

タナトスは若干不機嫌な目で阿修羅を睨むが、阿修羅は全く動じずに眺め続ける。


「見せ物じゃねぇぞ」

「なら起きて何処かに行けば?」

「動けねぇんだよ、モリガンのクソ、本気出しやがって死んだらどうするんだよ?

まぁ、何処かの女よりはマシか」


タナトスは鼻で笑うと阿修羅は柔らかい笑みを浮かべた、その間もタナトスは動けずにいる、余程重力を加えられてたのだろう。

タナトスは身体中に傷を負っても立っている程の精神力、それを知ってるモリガンも容赦をしなかったのだろう。

しかし阿修羅は目の前のタナトスが可哀想でしょうがなかった、強いハズのタナトスをココまでにしたモリガン、若干の憎悪が生まれた瞬間でもあった。


「聞かないのか?」

「嘘を付いていたこと?それなら別にいいわよ、殺して無いんだから理由なんていらないでしょ?」


タナトスは再び鼻で笑うと、軋む体を無理矢理起こし、近くにあった椅子に座り、他の椅子に足を置いた。


「最初に嘘を付いたのは寄生された時だった、我を失って俺様に斬りかかって来るホーリナーの四肢を斬って仕留めようとした時だ、そのホーリナーはダークロードに頭をプチッと潰されやがった、そん時は殆ど俺様が殺したようなもんだろ?

問題はエビルユニオンに人質に取られた時だ、当時の第10階、草木神のフロラ、そいつが俺様との任務中にミスしやがった、その時から俺は死神になったのかもな……………」













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