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私が探偵になった日

作者: 青山 黒美

友人から本を一冊借りた。


『愛と君へ』



私には小説好きの友人がいて、そいつに何か恋愛ものが読みたいからおもしろいやつを頼む、とお願いしたら彼には珍しく早々にそれは私の手元に渡された。


これは彼に頼んだ時の会話である。


「君、恋愛小説なんか読むのかい?」


「ああ、普段はそんなもの読まないけどね。なんか……最近、恋に飢えているんだ」


「好きな人でもいるのか?」


私が別段そんな事ではない、と言おうとしたら彼は、ニタッと笑い「わかった、わかった。おもしろい恋愛小説を貸してやるから」と言われた。



このような会話を経て、私は手元にある文庫本の表紙を見る。

題名、『愛と君へ』作者の名を見ても元来そんなに小説家など知らないので、すぐに裏のあらすじに目を通した。


――二人は恋に落ちる。けして結ばれてはいけない罪を犯してまで何故、愛し合うのか? それは危険な愛のカタチ。



正直、私はここまで重い内容を望んでいない。できれば純粋で青春的な恋の話を読んでみたいくらいに思っていた私は、ここで少し興味を削がれた。しかし借りたのだから数ページは読んでみようと紙を捲る。


あっという間に半分読み終わった。


何か恐ろしく凄い。読み始めると事件が始まる。それは殺人事件で主人公らしき人物がその事件に巻き込まれてしまい、自らその解決に向かうのだが……。


恋愛の気配がまったくしない。


まだ半分読んだきりでわからないが、恋に落ちるとしたら誰とだろうか?

一番怪しいと思うのは、頻繁に出て来ては主人公の手助けをする奴がいるのだが……それは男である。


主人公も男である。


これはないなとばかりに色々推理してみるが、登場人物の殆どが男で、女といえば、チラッと出てきた犯人と思しきその姉と、タバコ屋の婆さんだけである。

私は姉だろうと決めて先を読む。




――事件は解決した!


全て読み終わったんである。

結局、犯人はどんでん返しの末に姉ということで事件に終止符を打った。おもしろい小説であったが恋愛は一切無く終わった。

私はあんまりの事に茫然自失となると手元から表紙を残して本が落ちた。




『探偵シリーズ~偽装』




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