冒険者デビュー
集落に着くと、盛大な歓迎会が開かれた。訓練生の卒業祝いかと思っていたが、
「これは、これは、異なる世界からやって来られた方ですな?ごゆるりとお過ごし下さい。」
思わぬ歓迎ぶりに恐縮するゆいに、
「異なる世界から来た人が、集落の災いを取り払ってくれるって言い伝えがあるの、気にしないでご馳走になりましょ!」
セレスは涼しい顔でグラスを傾けた。
「異世界召喚の勇者みたいな扱いかな?ちょっと心苦しいけど、今の所、他に行く所無いしなぁ。」
アチコチで手伝いをしながら、エルフの習慣や読み書きを身に着けようとしていたゆいに、
「大変、隠れて!」
ベスタが飛び込んで来た。
ベスタが慌てていたのは、魔獣討伐に多種族パーティーが結成されることになり、エルフ代表をスカウトしに来ている為だった。
「ゆいは魔力も強いし、弓も上手くなって来たけど、あんな強いパーティーで倒す魔獣なんて、まだムリだよ!族長はゆいを出す積もりみたいなの!」
「あっ、それなら私、立候補するわ!」
「えっ、でも・・・」
ゆいは、チュートリアルの最中だから、順々に起きるイベントを着実にクリアするだけと高を括っていた。
「言い伝えの通りでしょ?これまでお世話になったし、都会にも行ってみたいの。」
心配するベスタをなだめ、族長に会いに行った。
言い伝え通りに、災いから免れられそうな族長はご機嫌で、
「ゆい殿、そうか行ってくれるか。そなたの勇気に感謝する、コレを持って行くが良い。」
床の間の様な所に、恭しく飾ってあった杖と、金貨が結構入っていそうな革袋をゆいに渡した。
スカウトに来ていたのは、ヒューマン代表の月、黒髪黒眼のクールビューティー、高い位置で結ったポニーテールは腰まで艷やかにのびていた。鮮やかなオレンジ和服は、帯から上は普通のままで、帯から下はミニスカートになっている。腰には日本刀っぽい刀を差している。
ヒューマンが中心に構成している王都に二人で向かう。移動は馬車でその間に、討伐の計画が告げられた。
王都の入口では、検問の長い行列を尻目に、顔パスで通過、大通りの立派な建物の前で馬車が停まった。
その建物は冒険者ギルド。受付では無く、応接室に通された。
そこで待っていたのは、パーティーメンバーになる、ドワーフのディーン、獣人のメルクル、鬼人のブリハスパティ、龍人のウーの4人の女性と、ヒューマンのオジサンと若い女性、多分ギルドマスターと受付嬢だろう。
小柄なディーンはピンクベースのエプロンドレス、ケモ耳のメルクルは黒のワンピース、角を2本生やしたブリハスパティはインドのサリーの様な感じでブルー、黒光りする鱗のウーは赤のチャイナドレス、ゆい自身はエルフ達が普段着ている緑のワンピースだったので、戦隊モノの様でグッと笑いを堪えた。
サクっと登録作業を済ませ、近くの宿屋にチェックイン、繁華街に繰り出して結成祝いのパーティーを開いた。ここでは15歳で成人との事で、ビールで乾杯、ディーンの故郷の名産との事。
「私の郷ではワインが人気なの、こちらも如何?」
メルクルが勧めると、
「祝い酒はコレでしょ!」
月が日本酒風の米の酒で対抗した。
三連休なので三連投です、
月曜日もよろしくお願いいたします。




