エルフとして生きる
「怖っ!!木の上じゃん!」
唯一は、特に高所恐怖症では無かったが、観光地の展望タワー並みの高さで安全性を担保するような物は一切無いため、幹に抱き着いて震えていた。
「ま!魔法!」
ビギナー特典の様に貰った魔法辞書を探した。恐る恐る視点を下げる、空と枝葉だった視界が、枝の隙間に遥か下方の地面に変わった。
「一応落ちない様になってるんだな。」
枝分かれした所に、丸太が蔦で括り付け、椅子の様になっていて、取り敢えずカンタンに落ちる事は無さそうだった。
落ち着いて見ると、棚の様な所に分厚い本、表紙には記号の様な文字。
「よし、都合の良いスキルで異世界言語をっと。」
手に取って開いてみた。
「えっ?読めない?魔法使えない?ど、どうやって降りよう?」
自力で降りるしか選択肢が無いと悟り、改めて下を観察し降りるルートを探した。勇気を振り絞って真下を見ると、
「えっ?全裸?ヤバイでしょ?何か無いかな?」
辺りを見渡して見つけた物は、蔦を割いた紐状の物だけ。衣類の代用にはなりそうも無い。そちらは諦めて、選択した性別になっている事を確認した。
降りる事に集中。
「この身体なら届く筈!」
自然の枝と所々に蔦で括り付けられた丸太の足場が有り、元の小柄で運痴な高2男子には絶対に無理だろうが、長い手足のエルフなら大丈夫だろう。
読めないがお宝の筈の辞典を紐で縛り肩から下げて、直ぐ下の足場に足の裏を乗せる。少しずつ体重を掛け、安全を確認して両足で立つ。また、次の枝を足の裏が捉える。そんな動作を何十回?百も超えただろうか、何とか地上に降り立った。
落下の危機から脱出。改めて身体の状態を確認した。長命種の16歳はまだ赤ちゃんだったりしないかと心配していたが、元の世界の同年代と変わり無い様だ。イジメの的だった股間のキッズモードの皮付きウインナーは無くなっていて、胸は小道具で作ったハリボテを遥かに超えており違和感を覚えた。
「次は服だな。」
周りを見渡しても、目ぼしいものは無かった。草や葉っぱで工夫してみようと考えていると、
「○✕✕○***✕○〜!」
槍を構えた3人のエルフ女性に取り囲まれてしまった。
「気が付いたらこの木の上に居たんです、怪しい者ではありません!」
両手を上げて無抵抗をアピールすると、槍を収め、リーダーっぽいエルフは荷物の中から布袋を出し底を破いて、
「☆*○✕✕%。」
一度自分がポンチョの様に被ってから唯に渡した。
取り敢えず全裸もクリアすると3人に連れられ、エルフの集落にやって来た。
3人の中で多分一番年下っぽい娘の案内で、自然に溶け込む様に建てられたツリーハウスに入る。何か話し掛けられ、反応出来ずにいると、いきなり胸に手が伸びた。
「$〜!☆♡*!!」
手の平から溢れる膨らみに、驚いた表情の娘は、
『ちょっと待ってて』風な仕草で出て行った。
少しして再登場した娘は、着替えを持っていて、ボディランゲージを読むと、下着のサイズに苦労したと言っているようだった。




