幼い転移者
雑貨店の店主の言う通りに、里長を訪ねると、
「おや?旅のお方ですか?済みませんが、大騒ぎなんです。異なる世界かららしいんですけど、突然大きな荷馬車の様な箱がやって来て、中に子供が閉じ込められてるんです。どこをどう開けたら良いのか解らずにてんてこ舞いなんです、里長もどこに行ったか解らなくって。申し訳ございませんが後でまた来て下さいますか?」
と、お手伝いさんらしき女性。
「私達も異なる世界から来たばかりです、その子達の事、お手伝い出来るかも知れません!会わせて下さい。」
半ば無理矢理、荷馬車の様な箱の所にやって来た。箱にはゴムタイヤが付いていて、『ニコニコ幼稚園』と書いてあった。
大きな箱は、小さい幼稚園バス。マイクロバスより更に小さい、大き目のワンボックスカーで運転手は居らず、エルフ姿の園児が男の子1人と女の子3人。エルフ達の呼び掛けに怯えているようだった。
「こんにちは、怖くないよ。おなか空いて居ない?」
委員長が日本語で話しかけると、ピクリと反応、更に果物を見せると、男の子が窓に貼り付いた。
「ここのちっちゃい棒、ぴゅって引っ張って。」
何度か繰り返し、抓む手振りしたりして何とかドアロックを解除した。
バスのドアを開ける手段を探していた里長が戻って、やっとゆい達の訪問目的が達成、里長宅の裏の空き家を貸してくれるとの事。
園児達をどうするのか尋ねると、
「街に送るしか無いなぁ。男の子は裕福な所の養子になれるだろうがな、女の子はなぁ。」
取り敢えず借りた家に子供達を連れて行き、食事を与え、また雑貨店に行って子供服を買った。家に帰りたいとか、ママに会いたいとかグズるのを想定していたが、嬉しい誤算で夜まで楽しく遊び、寝落ちすると、朝までスヤスヤ。
全員で雑魚寝。かなり寝坊したゆいが朝起きると、委員長が居なかった。少しして戻って来ると、
「私、ココに残ってこの子達育てようと思うの。」
ミンシルはすぐには受け入れられなかったが、委員長の決意は固く、本人の意思を尊重し、
「じゃ、蜘蛛の代金の残り置いて行くね、何かとモノ入りでしょ?」
とゆいが提案、
「嬉しいけど、そんなに?」
「あたし達なら稼げるから気にしないで!」
ミンシルが革袋を押し付けた。
もう一泊して、また減って4人で出発。委員長は子供達と一緒に見送った。
元のルートに戻るより、海岸沿いを進んだ方が安全との事で、その通りに歩き、何事も日が傾く。
「4人なら、テントひとつでいいよね!」
と、ミンシル。元の性別を気にするゆいは戸惑うがミンシルが良いならと、流れに従った。
テントを張って食事の支度。エルフの里で食材を買っていたので、ちょっとした料理が出来た。
明日も早いので、早目にテントに入る。ミンシルと一緒のテントも、本人が嫌がらなければ、元の世界で男性で過ごしていた倍の期間も女性で過ごしているのでゆいも問題は無かった。




