エルフの里へ
翌朝、5人になったゆい達は、日の出と共に獣人の集落を旅立った。見送りのミューミュと虎鉄は、結婚祝いに新居に訪れた友人を見送る若夫婦の様に、ほのぼのとしていた。
西に向かって歩き出す。先ずは『ロシューク』を目指す、ヒューマンの街が有るそうだ。
いつまで歩いても、獣道のまま。昼頃になっても森の様子は変わらなかった。ランチが出来る見通しの良いスペースを探していると、
「ストップ!音を立てないで!」
ゆいが、『探索』『鑑定』を駆使すると、微かに魔物の気配、ただかなり薄く、遠いのか弱いのか解らない。
風向きが変わって、気配の方から吹いて来ると、害獣避けの匂い。
「魔物の気配と、害獣避けの匂いがするの、虎鉄さん達が探していた人かもしれないから調べにいきましょ。」
ゆいの提案に皆んなが頷いた。
10分程歩くと、巨大な蜘蛛の巣が有り、何かが掛かっている。蜘蛛には見えないので獲物だろうか?近付くと、何かが2体、生死は解らないが巣の下には蜘蛛の魔物、コチラは死骸だろう。
更に近付くと蜘蛛の魔物は足を広げると2、3メートルも有りそうで、頭が斬り落とされていた。巣に掛かって居るのは獣人の様だ。
巣の糸を1本ずつ切って、獣人達を下に降ろす。動きは無いが、目立った外傷は無いので、気を失っているだけと期待して徐々に高度を落とす。
何とか手が届く高さになると、息が確認出来た。鑑定すると気を失っているだけだった。1人目をヒールで起こすと、
「な!なんでヒューマンが?」
「もしや、虎鉄さん達が、探していた人ですか?」
「・・・?あ、ああ、そうだ、助けてくれたんだな。」
蜘蛛の巣に掛かったが何とか蜘蛛と闘い最後の力を振り絞って斬りつけた所迄しか記憶が無いそうだ。最後の一太刀で倒したと思われる。
ポーションで回復させて一緒にランチ。蜘蛛の腹は、織物に使う糸が採れると、救助のお礼としてゆいのアイテムバッグに収められた。エルフの里で売るのが一番の高値との事で、少し寄り道して、海岸沿いのキサナッハに進路を変更した。
救助した獣人達と別れて西へ進む。夕方やっと獣道が取り敢えず手の入った道になった。少し空き地が有り、馬車の轍。そこを宿泊地に決めて、テントを張った。
朝日と共に起きて歩き、夕日を合図にテント。そんな毎日を繰り返して3日目の午後。キサナッハに到着した。
蜘蛛の腹は獣人達の情報通り、雑貨店で金貨40枚、ザックリの計算で40万円くらいで買い取って貰えた。かなりの珍しい素材の上に状態もサイズも良いとの事。
委員長とミンシルにエルフらしい服や靴、バッグ等を揃えても金貨3枚でお釣りが来た。集落で悪目立ちしなくなったので、宿屋の事を尋ねると、
「宿屋のある集落なんて滅多にないよ、里長の所に行けば、どこか泊まる所を都合つけてくれる筈だ。」
店主のアドバイスで、里長を訪ねる事にした。




