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9 翌日の放課後

「というわけで、この人形を手渡されました」


 次の日の放課後、私は補習部の部活に参加していた。

 メンバーは昨日と同じ、サーヤ先輩、レオくん、後輩のキィちゃんと私の4人だ。


「体よく不用品を押し付けられたわね」サーヤ先輩が容赦なくコメントする。

「きゃはは、サーヤ先輩もそう思いますか? スー先輩、人が良すぎですよ」キィちゃんは爆笑している。

「だって断れる雰囲気じゃなかったんだもん」私がますます落ち込む。


 他人から見たら面白い話かもしれないけれど、当事者の私は人形を捨てるわけにもいかないし、持て余して困ってるんだよ!


「まあ、気を取り直して、今日の活動を始めましょう」一通り笑った後で、サーヤ先輩が仕切り直して言った。


 今日の活動は基本魔法の復習だ。サーヤ先輩が黒板を背にして講義形式で基本魔法を解説してくれる。

 基本魔法は、火魔法、水魔法、風魔法、土魔法の四種類の魔法で構成される。

 それぞれの魔法は、精霊を召喚して契約することにより行使される。例えば、回復魔法を使いたいなら、水精霊を召喚して契約するといった具合だ。


 また、精霊にはそれぞれ下級精霊、上級精霊と精霊王とがいる。サーヤ先輩が黒板に名前を箇条書きしていく。

 火魔法の下級精霊はトーラ、上級精霊はサラマンダーと呼ばれ、その頂点に火の精霊王がいる。

 同じく、水魔法の下級精霊はマイン、上級精霊はウンディーネで、最上級に水の精霊王。

 風魔法の下級精霊はジン、上級精霊はシルフ、最上級に風の精霊王。

 土魔法の下級精霊はピグミー、上級精霊はノーム、最上級に土の精霊王がいる。

 それぞれ、より高位の精霊を召喚することにより大規模な魔法の行使が可能になるが、上級精霊との契約は困難で、失敗すると魔法使い自身に危害が及ぶこともある。そのため、召喚は慎重に行わなくてはならない。


 サーヤ先輩の講義は要点を簡潔に説明していてわかりやすい。

 今日の内容は主に一年生のキィちゃん向けだが、優等生のキィちゃんはすでに予習済みだろう。

 それでも、呪文を唱える際には精霊の名前を迷ったり間違えたりすることなくスラスラ言う必要があるため、私もメモを取ってぶつぶつ小声で名前を何度も復唱する。


「はい、じゃあ今日の講義はこれでおしまいです。みんなちゃんと家でも復習するように」サーヤ先輩がチョークをしまう。

 はーい、と返事をしながら、私たちもノートを片付ける。


「ところでこの人形、ピットちゃん人形よね」教壇の上に立つサーヤ先輩が、私の机を見下ろしている。

 私の机の上には、昨日、占いババからもらった人形が置かれている。

 関節も動かせたので、ノートを広げるのに少し邪魔だったけど机の上に座ってもらっている。


「なんとなく見覚えがあると思っていました」

「私持ってましたよ! 汚れてるので気づきませんでしたけど、懐かしい!」キィちゃんが元気に答える。


 ピットちゃん人形とは女児に人気の玩具である。

 ぬいぐるみサイズの三等身の魔法使いの人形で、ご飯をあげたり、身なりを整えたり、主にお世話をして遊ぶ。

 色々な種類のローブやマントが販売されているので、洋服を着せたり小物を持たせたりして、着せ替えごっこをして遊ぶことができる。

 また、杖や箒といった小物を持たせて魔法使いごっこをしたり、髪の毛をくくったりしてお世話することもできる。


 いずれにしても女児とは言えない年齢に成長した私には必要ないものである。

ピットちゃん人形は、♪おはよう●ルちゃん〜みたいな人形の魔法使い版を想像してもらえればと思います!

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