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4 ワイバーン・ホッピング

 操竜士の合図で、先に並んでいた生徒が梯子を登り、小高い丘のような竜の背中に乗車する。

 私たちも続いて梯子を掴み、背中によじ登る。

 ワイバーンは首の付け根には頑丈な縄が巻かれていて、その縄には放射状に縄梯子が括り付けられている。その縄梯子は背中の方に向けて伸びており、乗客は飛行中、落ちないようにこれにつかまるのだ。

 私はその中の一つの縄梯子を握りしめる。


「しっかりと捕まっときな!」


 再び首にまたがった操竜士のお兄さんが手綱で合図を出すと、ワイバーンが大きな二枚の翼を広げた。

 ばさっばさっ、と翼を羽ばたかせると周囲の木々が揺れ、砂埃が派手に舞う。

 そのまま力強く翼を宙に打ち付けると、ふわっと浮遊感がして、ワイバーンの身体が宙に浮いた。

 ぐんぐんと私たちの身体も上昇し、高度を上げていく。


 わぁ、とどこからともなく歓声が上がる。

 ワイバーンが次の目的地を目指し、空中を旋回する。

 右手側の翼の下に先ほどまでいた学校が見えた。すでに全体を見渡せるほど小さくなっている。


 これが森に囲まれた南国、魔法都市国家アダンが誇る交通網、ワイバーン・ホッピングだ。

 テイムされたワイバーンが停留所から停留所へ飛行しながら巡っていく。

 ワイバーンは首にまたがっている操竜士が操縦していて、乗客は背中側に乗車する。ワイバーンの背中は広く、一度に大勢の人を運ぶことが可能だ。


 ちなみに、ワイバーン操竜士は男の子の憧れの職業だ。

 君も男の子なら、一度は憧れたことがあるだろう。

 私は女の子なので、その辺はよくわからない。

 一度、小さい男の子と乗り合わせたことがあるが、キラキラした眼差しでワイバーンを見つめていたのは印象深かった。

 ちらっとレオくんの方を盗み見たけど、レオくんも私の視線に気づいたのか、にこっと笑顔を返されただけだったので、何を思っているかはわからなかった。


 心地よい風を受けながら、遠ざかっていく景色を見つめる。

 アダンは南の暖かい島で、どこもかしこも植物で覆われている。

 特に魔法学校の周囲は他に目立つ建物もなく、空から見ると、鬱蒼とした広葉樹の森のなかに学校の建物とグラウンドだけがポツンと取り残されたように建っている。


 ワイバーンは順調にスピードを上げていく。

 落ちたら一大事なので、しっかりと綱を握りしめる。

 かけている眼鏡も飛ばされないように、人差し指でしっかりと掛け直す。


 ピタンガ商店街は魔法学校からワイバーンで北西に10分程度の距離にある。

 鬱蒼とした森が徐々に明るくなっていき、木々がまばらになっていく。

 細い川を越えると、その向こうは草原で、小さな灰色の建物が密集しているのが見える。


「ピタンガ商店街に着くぜ」と操竜士のお兄さんが叫ぶ。

「降りまーす!」風圧に負けないように、私とキィちゃんが元気よく叫んだ。


 あっと言う間の空の旅だった。やっぱりワイバーンは速い!

 ワイバーンがぐんぐん高度を落としていき、停留所に降り立つ。

 キィちゃん、レオくん、私の3人が降りる。他の乗客も続いて降りてきた。

 乗客を下ろし終わると、ワイバーンは力強く上昇し、高度を上げて、たちまち小さくなっていった。

竜の背中に一度は乗ってみたいものです。

ちなみに、ワイバーンは安全性の低い乗り物のように見えますが、みんな魔法使いで箒で空を飛ぶのが当たり前なので問題ないです。

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