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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

同僚を殺したが、殺してなかった。3 職場殺人事件編

作者: ge

純は疲れている。松井を殺したと思ったが、松井からのメールそして、連続殺人事件の犯人ジータに接触。無事葬ったが、色々疑問が残る事件でもあった。その中でも一番の疑問、なぜ松井は生きているのか。

そんなことも考えても仕方ない。ただ次松井に会ったら絶対に聞く。そう心に決めていた。


鈴木「純課長、チェックお願いします。」

こいつは後輩の鈴木、課長になる前俺が仕事を教えていた。当時も仕事ができ、とても頼りになる後輩にだった。今では、新たにきた新入社員の教育係として、頑張っている。

さらに外見も性格も完璧で、男女問わずかなりの人気がある。

純「おう、完璧だ。もう教えてることはないよ。」


鈴木「そんなこと言わずに、僕は、純課長をとても尊敬しているんですよ。」

なぜ俺にこんなに懐いているのか、悪い気はしないが、少し気になる。

純「あ、もうわかったわかった。みるから。あ、そういえば、松田、今週提出の書類完成したか?」


松田「あ、すみません。忘れてました。」

こいつは松田。鈴木の同期だ。鈴木と比べ、仕事は全然。見た目はまあまあだが、鈴木の方が圧倒的に人気がある。

純「おい頼むぞ。」


松田「わかりましたー」

大丈夫かこいつ。

仕事に戻った。

印刷を頼もうと思い、松田を呼んだ。

純「松田この資料の印刷頼んでいいか?」

松田「はーいわかりましたー」

なんだそのやる気のない返事は

と松田は印刷室に向かった。

その10分後

鈴木「課長松田さんに渡したい資料があるんですけど、どこに行ったか知りませんか?」


純「松田は印刷室にいると思うよ。あれ、でもおかしいな。印刷なのにこんな時間が掛かるのか…」


鈴木「ちょっと様子みてきます。」

あいつまさかサボってるのか?

そんなことを考えてる時だった。

鈴木「うわああああっ!」

と遠くから鈴木の声が聞こえた。

様子が変だと思い、直ぐに印刷室に向かった。

純「おい、何があった?」


鈴木「松田さんが、、松田さんが」

鈴木の様子がおかしく、印刷室を確認した。

そこには、背を向けて鈴木が倒れていた。

純「おい、大丈夫か鈴木?」

と確認したが、返事がなく、体を起こそうとしたが、目が半開き、呼吸もしていない。

おそらくこれは死んでいる

状況を確認し、すぐに指示を出した。

純「誰か、警察に連絡をあと、印刷室は立ち入り禁止だ」

その5分後、警察が来て、遺体の確認、聞き込みが行われた。そこには田中刑事がいた。

田中「この前の事件ご協力ありがとうございました。」


純「いえいえ私は何もしてないですよ。」


田中「次は職場で事件なんてついてないですね」

その後聞き込みが行われた。

田中「てことはここに松田さんが来たのは純が印刷をお願いしたからなんですか?」


純「はい、あまりにも時間がかかっていたので

部下の松田に確認させに行ったところ、松田の叫び声が聞こえ、印刷室に行くと、鈴木が倒れていました。」


田中「そうですか。それでは事件に関してまだ捜査があるのでそれが終わるまで、待機して頂けますか?」


純「はい、わかりました。」


10分後事情聴取が終わったのか

鈴木が帰ってきた

純「疲れたか?捜査が終わるまでまだ、待機らしいぞ。」


鈴木「そうですか。ちょっと疲れました。」


疲れたのか、珍しく椅子に座り込み、天井を見つめている。


鈴木は天井を見つめたまま、微動だにしない。

その横顔には、疲労とも安堵ともつかない、奇妙な影が落ちていた。


純は違和感を覚えながらも、それ以上は何も言わず、その場を離れようとした。

しかしその時、田中刑事が戻ってきた。


田中「純さん、少しお時間よろしいですか?」


純「あ、はい。」


田中は印刷室へと純を案内し、低い声で囁く。


田中「印刷機を調べたら、こんなものが出てきました。」


彼が指差したのは、印刷ローラーの奥から発見された血の付いたナイフだった。


純「これが……凶器?」


田中「ええ。そしてね……印刷機の中には、かなり新しいインクが残っていて、その上に血痕があった。つまり、殺したあとに隠したってことです。」


純「つまり、殺害後に証拠隠滅を試みた……?」


田中は頷いた。


田中「さらに。取り調べ中、鈴木さんの手にインクが付いていたことに気付きました。しかも、ごく最近付いたような鮮やかな青。」


純「……鈴木が?」


言葉を失う。


田中「これはあくまで状況証拠です。だが……突発的な犯行の可能性が高い。隠蔽の仕方も稚拙だ。ナイフを印刷機に突っ込んだだけだし、手には堂々とインクが残ってる。」


純「なぜ……あいつが……」


田中は静かに言った。


田中「理由も……見えてきましたよ。」


そう言って田中は、純にある書類を手渡した。


田中「これは松田さんの私物ロッカーから出てきたメモです。」


そこには――こう書かれていた。


『また奥さんが連絡してきた。あいつには絶対バレてない。バレたら終わりだ。』


純「奥さん……?まさか……」


田中「鈴木さんの奥さんです。」


純の胸に、凍りつくような理解が走った。


松田は、鈴木の奥さんと不倫していた。

そしてそれを――鈴木は知ってしまった。


純「……嘘だろ。あんなに優しかったのに……」


田中「知ったのは、おそらく今日の朝か、昨日の夜でしょう。まだ怒りが冷めきってない状態で職場に出てきて、松田と顔を合わせて……それで……」


純は口をつぐんだ。


あの日常の中に、突如として狂気が割り込んできた。

完璧だったはずの後輩が、感情の制御を失って――

殺意に飲まれた。


その後、鈴木は再び事情聴取に呼ばれた。

その時、ちらりと純の方を見た。


その目には、以前見せていた無邪気な尊敬も、誠実さもなかった。

ただ――空虚な闇があった。


鈴木が再び呼び出され、取り調べ室へと向かう途中。

純は思わず、背を向けて歩く彼に声をかけた。


純「鈴木。話がしたい。」


鈴木はゆっくりと振り返る。


鈴木「……わかりました。」


人気のない休憩室に場所を移し、二人きりになった。


純「……お前がやったのか?」


鈴木は黙っていた。

しばらくして、ぽつりと口を開いた。


鈴木「……はい。」


純「なんでだ。お前は、あんなに……真面目で、冷静だったじゃないか。」


鈴木の目が、わずかに揺れた。


鈴木「……知ったんです。あいつが……俺の奥さんと、関係を持っていたって。」


純「……」


鈴木「でも……それだけじゃなかった。」


純「……?」


鈴木は、深く息を吐いた。


鈴木「俺に気づいてないと思って……松田は、笑ってたんですよ。

“鈴木のやつ、何も知らずに偉そうにしてる。上司にも取り入って気持ち悪い”って。

“純課長もあんなやつを信じてて哀れだ”って……」


純「……俺のことも?」


鈴木「はい……あいつは、俺たち二人のことを、ただの道具みたいに見てた。

“出世しか考えてないやつら”って。

俺、頭が真っ白になって……気づいたら、ナイフを持ってたんです。」


純「……」


鈴木「止められませんでした。気づいたら、印刷機の中にそれを隠して、手にインクがついて……

でも、もう何もかも、どうでもよくなってました。」


部屋の空気が凍りついた。


純は拳を握ったまま、ただ黙っていた。


“信じていた後輩”

“口数少ないが誠実だった部下”


そのすべてが、脆くも崩れていく。


鈴木「すみません、課長。俺……あなたの信頼を裏切りました。」


純「……ああ。そうだな。」


鈴木の肩が小さく震えた。


ドアがノックされ、田中刑事が顔をのぞかせる。


田中「鈴木さん、お願いします。」


鈴木は一礼し、取り調べ室へと向かった。


その背を見送りながら、純は心の奥で、言いようのない怒りと悲しみを噛みしめていた。


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