男達は男子高校生 占い
「ここか?」
「あぁ、チラシに載ってる地図通りだとここだぜ!」
俺こと沢川拓人と早川俊介は現在一軒の家の前に来ていた。
何故かというと……。
俺は早川が手に握っているチラシをチラッと覗く。ダジャレじゃないよ。
そこにはざっくりとこんな内容がかいてあった。
・あなたの前世気になりませんか?
・これからどんな人生を送っていくか気になりませんか?
・無料です
・2人で来て下さい
・興味を持った人はここに!(地図がかかれている)
・7月3日火曜日17時から18時に来て下さい
みたいな感じ。
まぁ占いみたいなもの。
ちなみに俺と早川は制服だ。学校が終わりすぐにここに来た。
俺は占いとかはあんまり信じないタイプだが……。
「いやぁ~、楽しみだな!オレ、生の占い師に会うの初めてだからな。テレビとかのニュースにある占いしかお世話にならないからな」
「お世話って言うな」
「じゃあ、兎」
「まったく関係ない」
この男、早川に誘われたからだ。
チラシにかいてあるが2人じゃないと駄目らしい。
「にしても早川、よくそんな怪し……じゃなく珍しいチラシを見つけたな」
「おい、お前今怪しいって言おうとしただろう?」
「……まぁね」
「オレも実は怪しいって思ってた!」
「じゃあなんで来たんだよ!」
「だって占い師をお世話してる兎に会いたいだもん!」
「そんな兎いてたまるか!さっきの言葉達を変な風に組み合わせるな!」
「あとチラシに一目惚れしたんですもん!」
「チラシには一目惚れすんな!」
「こんな理由じゃ駄目ですかぁぁ!?」
「うるさいわ!」
みたいな会話していると家の扉がガチャっと開き、
「おホホホ、そのチラシを持っているということは占いですか?」
指に何個も指輪をはめていてアクセサリーをしていて40歳ぐらいのtheマダムみたいな人がでてきた。
「あっはい、ここで占いが出来るってチラシにかいていて………」
と早川が言う。
「おホホホ、そうですよ、ここで占いが出来ますよ、ほら、家の中に入って下さい」
「はい、失礼します!」
俺も早川に続く。
「失礼します!」
「おホホホ、そんなかしこまらなくて大丈夫ですよ」
◇
家の中に入るとリビングに案内され、リビングにはテーブルを挟んで椅子があった。
「どうぞ、座って下さい」
「「失礼します」」
「おホホホ、真面目なんですね」
「はい、真面目すぎて小学校の時のあだ名が脱税でしたよ」
この子は脱税って意味知ってるのかな?
「……そ、そうですか、ウホホホ」
困惑しすぎて最後ゴリラみたいになってる。
「そ、それじゃあさっそく始めましょうか」
とtheマダム……いや、占い師さんと呼ぼう。なんか机の上に水晶あるし。
占い師さんはその水晶に手をかざす。
「では最初はあなた達の名前を当てましょう」
「えっ!?そんなこと出来るんですか?」
と早川が驚く。
俺も驚いていた。
そんなこと出来るのか?
「はい、簡単ですよ、それではまずあなたの名前を教えて下さい」
と早川に視線を向ける。
「早川俊介です 」
「おホホホ、分かりました、あなたの名前は早川俊介さんです」
「すっ、凄い!なんで分かったんですか!」
……
……
こいつはバカか!
俺が口をヒクヒクさせていると占い師さんの視線は今度は俺に向いた。
「あなたの名前は?」
「……さ、沢川拓人です……」
「分かりました、あなたの名前は沢川拓人さんです」
ドヤっ!
と占い師さんはする。
うん、さっき言いましたからね!?
……
……
……これはもしかして……インチキ占い師さんかも。
……まぁお金とられてないし良いか。
「…凄すぎる…」
早川は今までに見たこと無いぐらい目を見開いていた。
うん、俺は君の脳が凄いと思う。
病院行ってきたら?
「次は前世を当てましょう」
前世か……。
さて何だろう?
占い師さんは水晶に手をかざすのをやめ、水晶をじっーと見つめる。
「おホホホ、見えます、見えます」
「何が見えますか?」
「水晶です」
「でしょうね」
俺は思わず突っ込んでしまった。
まあ今のは俺の聞き方が悪かった。
「おホホホ、嘘ですよ、嘘、水晶なんて全く見えてませんよ」
「それはそれで怖いです」
「あっ、前世見えました」
「急に!?」
「なるほど、なるほど、早川さんの前世が見えました!」
「な、なんですか?」
早川は緊張した面持ちで訊ねた。
「キンタマです」
「……」
「……キ、キンタマ……は、早川、ド、ドンマイ……プフっ、クフフっ」
「沢川ぁぁぁあーー!!!」
早川が俺の肩を揺さぶってくる。
「やめろぉぉぉー!!!」
俺は早川が肩を揺さぶるのを何とかやめさせた。
危ない、危ない、人の家で吐く所だった。
「おホホホ、仲が良いんですね、では沢川さんの前世を見てみしょう、うわっ、見えました!」
「はやっ!」
「沢川さんの前世は勇者でバチくそイケメンです」
……勇者でバチくそイケメンだと!?
「……俺今日から占いみたいなの全部信じるよ、ありがとう、キンタマ今日誘ってくれて、あっ、キャンタマの方が 良いか?」
「沢川ぁぁぁあー!!!俺の右アッパーをくらぇぇぇえ!」
「右じゃないしアッパーじゃなくてストレートぉぉぉお!!!」
俺はなんとか早川の左ストレートをかわした。
全部間違ってる!
「ふぅ、危なかった、死ぬ所だったぜ!」
「それは俺のセリフだ!バカ!」
「おホホホ、うるさ……ウホホ……仲が良いんですね、では最後にこれからの人生どんな風に送っていくのかみてみましょう」
「今、うるさいって」
「言ってませんけど!」
「そ、そうですか」
「おホホホ、ではあなた達がこれからどんな人生を送るか見てみましょう!ほいやぁぁぁあ!!」
そういうと同時に占い師さんが水晶を床にむかって叩きつけた。
「「だ、大丈夫ですか?」」
「おホホホ、大丈夫ですよ、こうしないと見えないんですよ」
「「そ、そうですか」」
「見えました!あなた達の人生はこれからどんどん転落していくでしょう!」
「「ま、まじですか!?」」
「えぇ!しかし、安心して下さい!私の言う通りにすれば大丈夫です!」
「「おぉ!」」
「まずはニート・ナレ宗教に入って下さい!」
「「……」」
「ここに入れば何もかもが良くなります!運気も上がり、良いことづくめ!この紙にさらっとお名前と電話番号、住所を書いて頂ければ幸せな人生が待ってます!」
「「……」」
「どうですか!?」
「「宗教勧誘かい!」」
この後、急いで家を出たのだった。