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温泉旅行編2

ごめんなさい。まだ事件は解決しておりません。

私は、春に見張りを頼んだ後、着替えを済ませて戻ってくる。

先程トイレにいた三人の特長を上げるとすると、1人は小太りの男性で、もう1人はヤンチャそうな金髪の青年、そして最後の1人は…どう見てもそっち系の性癖のガタイのいい男性だ。


「ぐるるる…」


まだ唸ってるし…


「なんだってんだよ、さっきから騒がしい」


「まったくだよ。で、何で女の子が男性用のトイレにいるんだ?」


「なぁにぃ~?いきなり入ってきたりなんかして、もしかして、魅力的なアタシを追いかけてきたの?」


私に向けてウィンクをする男性に対して、背中におぞましいものを一瞬感じとったが、私達がここにいる事情を説明する。


「実は先程、女湯で覗き騒ぎがありまして、私達は犯人を追いかけてここに入ってきたという訳なんです」


「覗きだぁ!?」


「そんないかがわしい事をしたやつがいるのか!」


「あらぁ、それは大変ねぇ…見つけたらボコね」


オネェ口調の男性の声が最後の方だけ1オクターブ下がった。

こわっ…なぜあの人は言動がそんなに暴力的なんだ。


「へっ、そんな変態野郎オレが見つけて取っ捕まえてやるよ」


「大丈夫!犯人はこの中にいます!」


いきなり春がキメ顔で決めポーズ?のような両の指先を前に出し背中を反らせる格好をとりながら語りだした。

けど、そんな体制で探偵っぽい事を言ってもカッコ悪いぞ?


「ん?でも、犯人を追いかけて兄ちゃん達はここにきたんだろ?なら、犯人の後ろ姿を見てるんじゃねぇのか?」


確かに見た…だが、どうしてもこの三人の特長と一致しないのだ。


「確かに…」


「えぇ!私は犯人の後ろ姿を見ましたよ!この目でバッチリと!しかし、あなた達と犯人の特長が一致してないんです!」


どうしよう…私が喋れなくなってきている…

春は並んでいる男性の一人一人を指差して答えていく。


「犯人は、黒髪の細身で少し小柄な男!貴方は髪の色が!貴方は体型が!貴方はガタイが合っていないんです!」


全部台詞とられた…またこのパターンだ。


「じゃあ別の所に逃げたんじゃねぇのか?ここには窓もあるしよ」


「では、訊きますが、この中で窓を開ける音が聞こえた人は何人いらっしゃいますか?」


私がそう訊くと、誰1人として手を上げなかった。


「でしょうね、今さっき確認しましたが、窓には鍵がかかっていた。仮に窓から外に出たとしたら、外から内側の鍵を締める必要がある。つまり、この中にしか犯人はいないと言うことになるんですよ」


「いよっ!さすが先生かっこいい!」


おだてるんじゃない、恥ずかしいんだから。

ともかく、この三人は重要参考人だ。絶対に帰してはならない。

私は女将である斎藤さんを呼び出し、春には覗きを見つけたであろう女性を呼んできてもらおうとした。


「それよりも先生!私お腹が空きました!」


お願いだから空気を読んで…


「我慢しなさい」


「やだやだ!お料理楽しみにしてたのにぃー!」


駄々をこね始める春は、まるで子供だな。

私がため息をついていると、斎藤さんが笑いながら春の下へやってきた。


「では、先にお食事にしましょうか。こんなことがあった為、この場の皆さんは、ご一緒になりますが、大広間が現在開いておりますのでそちらで料理をご用意いたします」


春の駄々に付き合わせて申し訳ない気持ちになりながらも、私達は大広間へと案内される。


「すみません。春が駄々をこねたばかりに」


「いいんですよ、春ちゃんがお食事したいと言ってくれたお陰でこんなに大勢で食べる機会をくれたんですから。むしろ春ちゃんには感謝してますよ」


「チッめんどくせぇなぁ」


「僕は構わないけど」


「アタシもこの食事会は賛成よぉ~どこを見ても男男男、目の保養だわぁ」


「「「!!」」」


ゾクゾク


反応はそれぞれ違うが、意外と賛成の意見が多いようだ。

というか、あんたも男でしょうが、とは怖くて私達にはとても言えないな。


「でも、貴方も男ですよ?」


春…肝が座ってるんだか、ただのおバカなのか…どちらにしても爆弾を投下しないでくれ。


「ウフッ♪心は乙女よ。お嬢ちゃん」


「ほぇ~変わった人ですねぇ」


君にだけは絶対に言われたくないと思う。


「着きましたよ。ここが大広間です」


私達は広間に案内されると、それぞれ1人ずつ席に座らされていく。


「今お料理をお持ちしますのでもうしばらくお待ち下さい」


私は料理を待つ時間を、先程の事件について考えることにした。


「先生?先生、先生~!せ~ん~せ~い~」


…うるさくて集中できない。


「なんだ?」


「私、やっぱり考えたんですけど、犯人は窓から出たのではないかって思うんですよねぇ」


ほう、珍しく真剣な顔で訊いてくるな。


「どうしてそう思うんだ?」


「だって、トイレに犯人が入って私達が後から入るまでに時間はあったんですよ。充分な準備をしておいたら窓から抜け出して鍵をかけ直すのもできるんじゃないかな?って思って」


春の言い分もわからなくはない、だが、それは可能性としては低いだろう。


「ない…とは言い切れないが、可能性としては低いと思うよ」


「何でですか?」


「窓の周りに埃がついていたのを覚えているかい?」


窓をよく観察すれば気がつけた場所だ。春もそれには気がついて…


「?…??」


ないみたいだ…


「ついてたんだよ…もし犯人が窓から出たとしたら、その埃に足跡くらいついているものだけど、それがなかった。だから私は犯人があの中にいると思っているんだ」


「ほぇ~よく見てますね~」


探偵として、観察力を持つのは当然の事だ。いつか春にも身につけてもらいたいが、この娘が身につける事できるのだろうか?


とはいえ、まだわからないこともある。調査をしなくては

そう考えていると、オネェ系の男性と金髪の男性がこちらを見ていた。


「ねぇ、お嬢ちゃん」


「はい?」


「さっきから、その人を先生って呼んでるけど、その人は教師か何かかしら?」


「オレも気になってたんだ。何でお前はそいつを先生って呼んでんだよ」


「あぁ!この人は実は」

「お料理持ってきましたよー!」

「料理キターーー!!」


話の途中じゃないの…?


持ってこられた料理を待ってましたと言わんばかりにがっつく春を見て、私達も料理をいただくことにした。


「まぁ、先程の話しも含めてお互い自己紹介していきましょう。私は夢見孝と言いまして探偵をしております。そして、隣で料理を貪っているのが助手の小鳥遊春です」


「ふぁふぁぬぅぁひふぁふへふ!」(小鳥遊春です!)


ビシッと敬礼をしながら挨拶をする春。

春よ、食べてるものを飲み込んでからしゃべりなさい…


「あらぁ、探偵だったのね」


「ホントにそんなもんいたんだな」


「それで、彼女は君を先生と呼んでいたのか」


私は、都市伝説か何かみたいな扱いなのかな?


「えぇ、なので今回の覗き事件にも皆さんの協力をお願いしたいのですが」


「勿論よ。覗きなんて女の敵は必ず見つけてしっかりと罰を与えなきゃね」


「構わないけど、僕は部屋で次の仕事に使う資料も作らないといけないから、さっさと終わらせてなるべく早く犯人を捕まえてくれよ?」


「協力くらいいいじゃねぇかよ、あんた随分とケチくせぇな」


「なんだと!?」


「落ち着いてください。協力してくれるだけでも充分ですから」


「ふぅ~食べた食べた」


って早!?もう食べたの!?


食器の上を空にしてお腹をさすっている春を見て全員が驚いた。


「はぇ~」


「身体に悪いよ」


「ポッチャリのあなたが言う台詞でもないわよ」


「と、とりあえず、私達も食べましょう」


私達も食事をいただくことにする。

食事はどれも美味しく、箸を止めずに食べきっていた春の気持ちもわからなくない程だ。


「そういえば、まだあなた方のお名前を聞いてませんでしたね」


「オレは三島竜矢みしま りゅうや


「ボクは上田辰夫うえだ たつお


「アタシは兼松利彦かねまつ としひこよぉ~」


金髪の人が三島さん。ポッチャリ体質の人が上田さん。あっち系の男性が兼松さんか…

兼松さん…思った以上に男らしい名前だった。


「ミシン屋さん…?植えたいさん…?金持ちさん…?」


全部違うよ春。


「アッハッハ!金持ちさんねぇ、面白いじゃない春ちゃん!」


自分の名前を間違えられても笑って返せるとは、かなり器の広い人だな兼松さんは。


「オレは別にミシンを売ってる訳じゃねぇぞ?」


「植えたいさんって…何をだよ」


三島さんも上田さんも怒ってるわけではないようでよかった。


自己紹介を済ませた私は、食事をとりながら事情聴取をとることにした。


「因みにあなた方はトイレに入る前は一体何を?」


「オレは部屋で寝てたんだよ。ここの近くに住んでるダチと明日会う予定でよ。今日ここに来て寝てたらトイレに行きたくなって、で、トイレでクソしてたら表がバタバタと騒がしくなったって訳だ」


三島さんは部屋で寝てた…か


「上田さんは?」


「僕は部屋で明日の仕事の資料作りさ、基本ずっと部屋にこもってたよ」


「ここには仕事の関係で?」


「まぁ、そんなところだ」


「随分と気前のいい職場なんですねぇ~植えたいさんの仕事場は」


だから、植えたいさんじゃなくて上田さんだって…


「うちの会社はこういうところでは、良いところを用意してくれることが多いんだよ」


「ほんと、気前のいい会社ねぇ~アタシなんて、やっすいビジネスホテルとかよ」


じゃあ、兼松さんは一体なぜこの旅館にいるのだろうか?


「アタシはちょうど散歩から帰って来てトイレに入ったのよねぇ~。この辺りって景色のいいところが多いらしいし、夜ならではの絶景スポットもあるらしいからそこに行ってたのよ」


兼松さんは散歩か…なら斎藤さんか他の従業員が見てるかもしれないな。


「因みに兼松さんはなぜこの旅館に?」


「彼氏にフラれたのよ!心の傷を癒しにきたの」


「な…なるほど」


「先生、あの人の恋人って、彼女じゃなくて彼氏さんなんですね」


余計なこと言うんじゃない。


「ついでに新しい出会いも探しにね♪どう?あなた達、アタシと付き合ってみない?」


「ご遠慮します…」


「オ…オレもパス…」


「同じく」


残念ながらそっち系の趣味の人を見つけるのは難しいだろう。


「んもう!冷たいわねぇ」


「金持ちさん!私は金持ちさんの事嫌いじゃないですよ!」


「ありがとう春ちゃん!じゃあ今度アタシの愚痴に付き合ってくれる?」


「奢りなら是非!」


「ウフフ~いいお店知ってるのよ。今度一緒に行きましょう♪」


「やったー!」


なんか意気投合してるし…まぁ、これで三人がそれぞれどういう事をしていたかは大体分かったな。


「ふぅ~ごちそうさまでしたと」


「僕もごちそうさま」


「美味しかったわぁ」


話が終わったぐらいでタイミングよく、他の人達の食事も終わり始めたみたいだ。私も後少しだからさっさと食べてしまおう。


「お?あんた体型の割には少食なんだな、結構残ってるじゃねぇか」


「僕は、元々あまり食べないんだ。でも太ってしまう体質でね」


「あらぁ、大変ねぇ」


世の中には食べても太らない人がいるくらいだ。その逆がいても不思議じゃないだろう。


「そーなのか、んじゃ!残りはオレがもらうぜ?」


「あぁ、好きにしてくれ」


三島さんは上田さんの器を自分の所に運び、残っていた食事を平らげた。


「ふぅ…ごちそうさまでした」


私もようやく食事を終えた。それにしても美味しかった。

機会があればまた食べたいものだ。


「あっ、先生ようやく食べ終わったんですね」


君は、食べるのが早すぎるんだよ。


私達が食べ終わった頃に斎藤さんが、私達の下にやってきた。


「皆様、お食事はお済みになられましたか?」


「スッゴく美味しかったです!」


「それはよかった。では食器はこちらで片付けさせていただきますね」


「いえ、それは後でお願いしてもよろしいでしょうか。斎藤さんには、この三人が出ないように見張ってていただきたいのです」


「えぇ、それは構いませんが」


「ありがとうございます。春!先程覗きを見つけて悲鳴をあげていた女性の顔はまだ覚えているか?」


「バッチリです!犬みたいな顔でした!」


失礼だな。

まぁ、覚えているならOKだ。


「その人からも話が聞きたい。あの時間に風呂に入っていたということはおそらく今日も宿泊する客だろう。従業員に訳を話して連れてきてもらってくれ」


「イエッサー!探偵っぽくてわくわくしてきましたぁぁ!」


人選間違えたかも…いや、悲鳴を上げた女性の顔を見てるのはこの中で春だけなんだ。絶対に人選は間違っていない…と信じたい。

因みにトリック?と言っていいのかはわかりませんが大体できてます。あとは書くだけ!

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