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温泉旅行編1

今回から温泉旅行!少し続きます。

皆さんいかがお過ごしだろうか、探偵の夢見です。

春が私の助手となり1ヶ月程経過し、現在私は、事務所で優雅に珈琲をたしなんでいるところだ。


「ねぇ~先生~何か面白い事件とか無いんですかぁ?」


ソファに力の抜けた様子で横になりながら私に話しかけてくる少女、これが、私の助手の小鳥遊春、女子高生で私の仕事を一応?手伝ってくれている。


「事件がないと言うことは平和ということなんだ。いいことじゃないか」


「でも~、ここ最近受けた依頼なんて浮気調査とペット探しばっかりじゃないですかぁ~、私飽きちゃいましたよぉ。なんかこー、ドン!っと大きな事件とかまい込んできませんかねぇ」


毎日というわけではないが、部活動がない日は基本ここに来てるから、春は依頼の内容もそれなりに知っているのだ。


「物騒なことを言うもんじゃない。元々探偵の仕事なんてこんなものなんだ。テレビの観すぎだよ春は」


「あーぁ、なんか大きな依頼来ないかなぁ。私退屈で死んじゃいますよぉ~あー暇だ~暇だ~暇死する~いいんですかぁ?私がここで暇死したら犯人は先生になっちゃいますよぉ~」


暇死ってなんだ…暇死って…適当な言葉を作るんじゃない。


「仕方ないなぁ」


私は財布から5千円を取り出し、春に差し出した。


「確かトイレットペーパーがきれそうだったから、これで、お使いにでも行ってきてくれ、何もしないよりはマシだろう?」


「え~つまんないですよ~私は事件を解決したり、大泥棒とかを捕まえたりしたいのであって、暇してるわけでは…」

「お釣りは君にあげよう」

「40秒で仕度したくします!」


げんきんだなぁ、まぁ扱いやすくて助かるんだが。

春は、急ぎ足で近くの商店街にお使いに向かっていった。




バタン!


「ただいま戻りました!」


お使いから戻ってきた春が、やたら上機嫌な様子で私の下にやって来た。何かいいことでもあったのだろうか?


「聞いてください先生!今日商店街で福引きをやってまして!」


ほう、そーいえばそんなイベントがあるとかどこかで聞いたな。それが何か関係あるのだろうか?


「そこでなんと!私、2泊3日の温泉旅行券が当たったんです!」


「ホントか!それはすごいな」


確かに、それなら上機嫌にもなるだろう。温泉旅行が嫌いな人は少ないだろうし。


「はい!なので私と一緒に行きましょう!」


…え?


「何で私?」


「だって先生のお使いで買った物で福引券がついてきて、その福引券を使ったら2泊3日の温泉ペアチケットが当たったんですよ?先生も行くべきでしょう!」


まぁ、理屈はわからなくもないが…


「せっかく君が当てたんだから、友達でも誘って行ってこればいいじゃないか、君が当てたんだから、もう君の物だ」


「友達全員に訊いたら予定があるか、さすがに遠出は無理だ。と断られたんです!」


…嫌われてるのかな?この娘は


「それに、このチケットは、必ずペアじゃないと使えないみたいなんですよ!なので一緒に行きましょう!」


「まぁ、そう言うことなら仕方ないか…ところで、両手に袋一杯の荷物は結構なのだが、肝心のトイレットペーパーはどうした?」


「………?」


春は、いってる意味がわからないと、ばかりに首をかしげた。

いや、お使いだったでしょう?


「トイレットペーパーだよ。トイレットペーパー、頼んだでしょ?」


「あー!もちろん!ちゃんと買ってきましたよ!」


「はい!」


ガサゴソと袋を漁り、春はくしゃくしゃになったトイレットペーパーを1ロールだけ取り出した。


「…他は?」


「ありません!」


ありませんじゃねぇよ!

私は今度から春にお使いを頼むときはよく考えてから頼むようにしようと強く心に誓った。



それから旅行当日、私達は旅館が出してくれているバスに揺られて目的地へと向かっていた。


「楽しみですね~温泉旅行♪」


「…そうだな」


「あれぇ?先生楽しそうじゃないですねぇ、もっと元気に行きましょうよ」


朝の4時にたたき起こしに事務所までやって来ておいて、ホントよく言うやつだ。出発は10時だったというのに。


「頼むからもう少し寝かせてくれ」


「フンフンフーン♪」


聞いてないし…

私はバスの中で上機嫌な春を横目にウトウトと睡魔に襲われていた。

そして、それから30分程だろうか、ようやくバスは目的の旅館に到着し、私達はゆっくりとバスを降りた。


「着いたー!」


「もう着いてしまったのか…」


結局、通る道すがら春にたたき起こされ続けて一睡もできなかった。

行きはあまりいい思い出にはならなかったが、本番はここから、せっかく来たのだから楽しまなければ、やはり損というものだ。


「きれいな旅館ですね!」


「そうだな、これならゆっくりできそうだ」


春が大人しくしていてくれればという条件付きだが…


「いらっしゃいませ、この度は当旅館をご利用いただき誠にありがとうございます」


この旅館の女将と思われる女性がわざわざ私達の下に挨拶に来てくださった。


「うわっ、きれいな人…」


確かに、顔立ちも整っているし、容姿端麗とはまさにこの人の事をいうのだろう。

私達は挨拶に来てくださった人に頭を下げる。


「初めまして、今回は宿に泊めていただき有難うございます」


「いえいえ、お金を払っていただいてるんですもの、当然ですわ。私、この蜜宿亭みつやどていの女将の斎藤と申します。以後お見知りおきを」


すいません。お金を払って来ている訳ではないんです。ただの福引きの景品なんです。

とは言えないよなぁ


「いえ!私達は福引きの景品で来たんです!」


言っちゃったよこの娘…


「あらあら、そうでしたか、しかしそれなら福引きを出していた会社からあなた方の分お金をいただけているので、問題ありませんよ。安心しておくつろぎ下さいませ」


微笑ましそうに私達を見ながら斎藤さんが優しく言ってくれた。


「ですって!よかったですね先生!」


「君はもう少し空気を読むということを覚えるべきだと私は思うよ」


「?空気を…読む?アッハッハッ!ここら辺にある空気をどうやって読むって言うんですか?!おかしな先生ですねー!」


君、本当に高校生か?小学生の間違いじゃないだろうか


腹を抱えて笑う春に、あきれた顔をしていた私を見ていた斎藤さんが、クスクスと笑っているのに気がつき、私は恥ずかしくなってしまった。


「では、お部屋にご案内します」


そう言って、春の手荷物を受け取った斎藤さんが、私達の前を歩き始めた。


「お二人は、ご兄妹で?」


「いえ!探偵と助手です!」


春が斎藤さんの言葉に即答するが、君がいうと私が助手みたいじゃないか。


「へぇー随分とお若い探偵さんなんですねぇ」


斎藤さんは、春の顔を見ながら言う。ほら見ろ、やっぱり勘違いされてるじゃないか。


「いえ、探偵は私の方なんです…」


申し訳なさげにだが、私は斎藤さんの言葉を軽く訂正した。


「あら、そうだったんですか?それは失礼しました。しかし、あなたも充分お若いですよ」


「はははっ、ありがとうございます」


若い若いと言うが、この人は一体いくつ何だろうか?私とほとんど同い年に見えなくもないが


「さてさて、着きましたよ」


斎藤さんが、扉の前に止まり、私達もその後ろで立ち止まった。


「ここが、お客様方のお部屋となる竹の間でございます」


「おぉー」


まだ部屋にも入ってないのに、何を歓喜してるんだ。


「それでは、中へどうぞ」


斎藤さんがドアを開け、私達を中へと招き入れる。

部屋の中は、メインの部屋で畳8じょう分、さらに広縁までついている。やはり旅館といえば広縁だ。さらに窓の外は少し下を見れば竹林で、その先はオーシャンビューとなっており、その景色が私の心をさらに高揚させてくれた。


「すごい…」


「わー!キレー!素敵ぃ!」


「お褒めいただき光栄です。それでは、夕食は夜7時にこちらにお持ちいたしますので、それまでにお部屋にお戻りください。何かあればこちらの電話からフロントまでおかけください。お風呂は部屋と、大浴場がございますのでお好きな方をどうぞ」


「はーい!」


斎藤さんが部屋から出て行くのを確認すると、私達はそれぞれ椅子に座り、春は部屋で荷物を広げ、私は明日の予定に何があるのかを確認する。


「えーっと…明日の予定は…」


「え、先生予定とか決めて来てるんですか?マメですねぇ」


「当たり前だろう。ある程度予定を立てて動かないと、後になって「あそこに行っておけばよかった!」なんて事になりかねないからな」


「私は行き当たりバッタリで行動します!」


「そして、道に迷うんだろう?」


「よくお分かりで!中学の頃の修学旅行でもそうでした」


中学で迷っておいて、なぜ学ばないんだ?まぁ、今回は私と行動は一緒だし、よっぽどの事がなければ大丈夫だろう。

それに、春だって子供ではないのだ。それなりの事は対応できるだろう…できるよね?


「とりあえず、初日だし今日は温泉にでも入ろうか」


「はい!」


春は、ウキウキしながらタンスに入っていた浴衣を取り出し、温泉に行く準備をする。


「先生!早く!早く!温泉に行きましょう!」


「わかったから少し待ちなさい。私も準備をするから」


私達が、温泉に向かっていると、何人かのグループになっている人達を見つけた。私達と同じく温泉に向かう人だろうか?その横を通りすぎようとした私達は、通りすぎるさいに軽く会釈する。


「こんにちは」


ペコリ


私が軽く頭を下げて挨拶すると、相手の方達も私達に気がついて、頭を下げてくれた。


「こんにちは!私は小鳥遊春といいまして!探偵の助手を」

「そこまで挨拶せんでいい」


春の挨拶にクスクスと笑い声が聞こえ、恥ずかしくなった私は、春を連れてそそくさと温泉に向かっていった。


「ほぉーなかなか広い温泉だ」


私達はそれぞれ男湯女湯で別れて露天風呂に入っていった。

今は、事件もないし、春もいない…これは、今世紀最大のゆっくりとできるチャンスなのではないだろうか?


私は、湯船にゆっくりと肩まで浸かると、私の身体に溜まっていた疲労がゆっくりと抜けていくのを感じていた。

あぁ、やはり温泉はいい


「先生ー!先生ってば!先生~~!せーんーせー!」


前言撤回、まったくゆっくりできない。

あぁ…周りの視線がいたい…


「…なんだ!恥ずかしいからあまり大きな声で叫ぶんじゃない!」


私は、塀の向こうにいるであろう春に向けて返事をする。


「あ!よかった。先生って石鹸持ってます?私忘れちゃったみたいでぇ」


君、来るときに何か色々と持ってなかったか?


「あれだけ持ってきてたのにか?!」


「えっ?何を言ってるんですかぁ!持ってきた物なんて、シャンプーとぉ、リンスとぉ、トリートメントとぉ、保湿液とぉ」

「もーいい!もーいい!分かった分かった!」


まったく、訊いてるだけで頭が痛くなりそうだ。


私は持ってきた石鹸を上に投げようと構える。


「ん?待てよ?…春!そっちの周りに人はいないな?!」


石鹸を投げてぶつけてしまったりでもしたら大変だからな、そこはしっかりと確認しておかないと。


「はい!なぜか私の近くだけ人がいません!」


危ない人扱いされてないか?


まぁ、自分で撒いた種だ。諦めてもらおう。そして巻き込まれた私も諦めよう…涙が出てきた…


「ほら!」


私は、春の声が聞こえた辺りの場所に石鹸を放り投げる。


「ありがとうございます!今度お礼に私の身体を好きにしても」

「いらんわ!」

「ひどい!?」


軽率に、身体の安売りをするんじゃない。

ケラケラと周りから笑い声が聞こえるのを、私は黙って堪えるしかなかった。


「まったく疲れが取れる気がしない…」


「キャァァァ!!!」


悲鳴!?女湯の方からだ!


「覗きよぉぉ!!」


覗き!?

私は腰にタオルを巻いて一目散に外に飛び出した。


風呂場の外に出ると、ちょうど犯人を追いかけてたのか、春と私がすれ違う。


「春!覗き犯は?!」


「向こうに走っていきました!ってか、先生の身体って意外とセクシー」


んなこと言っとる場合か!


「よしっ、急ぐぞ!」


「はい!」


犯人が逃げたであろう方向へ走っていると、犯人らしき浴衣姿が視界に入った。


「見つけた!」


「待て覗き犯!この私がテニス部で鍛え上げた技で、貴様の頭と身体を真っ二つにしてくれるわ!」


こわっ!ってかテニス部だったの!?しかもテニスにそんな危ない技はないだろ…ってあーーー!ツッコミが追いつかん!




バタン!


犯人は私達の目の前で共有男性用トイレに逃げ込み、私達も後からトイレの中に駆け込んだ。


「犯人は!?」


「多分!あのトイレのどれかに!」


私達の目の前には、3つの使用中のトイレが並んでいた。


ガチャ


私達がやって来ると、扉が同時に開き、三人の男性がトイレから出てきた。


「なんですか?騒がしい」


「うるせぇなぁ、ろくにクソもできねぇじゃねぇか」


「ほんとよぉ、おトイレくらいゆっくりとさせてほしいわぁ」


1人妙なのがいる気がするが、今は、そんな場合じゃない。


「貴様らが覗きの犯人かぁ!」


「「「はぁ?」」」


まとめて犯人扱いするんじゃない…誰か1人だ。

私は今にも三人に襲いかかろうとする春を後ろからおさえる。


「はい、どうどう」


「ぐるるる…ワン!」


犬か君は


さて、ここから犯人探しの始まりだ。

今回の温泉旅行で後1つか2つは事件出したいなぁって思ってます。

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