表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海が呼んでる  作者: 松井勇人
1/1

海のはじまり

「物語は、僕たちに呼びかけてる」。そう言った人がいるけど、僕は物語って僕らの話を聞いてくれているものだとおもう。


誰にも話せない、話したことがない。自分でも忘れてしまっているんだけれど、ものすごく大切なこと。世界にはそんな話を聞いてくれている人がいて、あるとき忘れてしまわないように僕らに届けてくれる。それが物語なんだ。


え?  みんな同じものを本屋さんで買って読んでいるじゃないかって?


その通り。でも、なんでだと思う?

それはね、みんながおんなじ悩みを抱えていて、みんながおんなじ物語を話してくれるからなんだ。だから、ハリーポッターをつくったのも、モモを話してくれたのも、ドラえもんを描いてくれたのも、全部君と君の友達だよ。


だからもし君が今、誰にも信じてもらえなくて、一人ぼっちでも、どこからか話を聞いていてくれている人がいる。しゃべらなくても、何も書かなくても、布団をかぶっていても、川辺で泣いているだけでも、ぜんぜん上手く伝えられなくてもいい。本当に聞いて欲しい話なら、どんなに長い話でも、どんなに辛くなってても、どんなに遠くにいても、全部聞いていてくれてるから。

そいつの名前は「海」っていう。海は一人なのかもしれないし、大勢なのかもしれない。妖怪でもないし、神様でもない。ちゃんとした人なんだ。僕は国立国会図書館にあった本や新聞を全部調べて、やっとのことでその名前を見つけた。大変だったよ。だって4500万冊もあったからさ。


僕も、小さい頃から海にたくさんの話を聞いてもらった。だから今度は辛い話じゃなくって、ちゃんとしてお礼を言うために、海を見つけに行こうと思ってる。この夏休みが終わるまでに見つけたいんだ。海って、夏によく見つけられてるから。



つづく

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ